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2024/04/20 07:31 |
あの日々はもう二度と戻らない 〜 outsider's report 後編_1
 このお話は、NEW WIND管理人Nの書いた『もう一度あの日のように~再会~』を、「Heel So Bad」のHIGEさんが別の視点から描いてくださった作品です。
 なおHIGEさんの承諾を得て、転載させていただいております。
 ~再会~ と合わせてお読みいただければ幸いです。


以下のSSはレッスルエンジェルスの世界観や、「NEW WIND」のN様により執筆された「NEW WIND」の設定、キャラクターを参考に描かれていますが、内容についてはHIGE個人の創作となります。必ずしも公式設定や開発者の意図、「NEW WIND」の原作、ファンの皆様一人一人の世界観に沿う内容ではない場合がありますことを予めご了承願います。
  ++  ++  ++  ++  ++
NEW WINDの風間社長から招待状が届いた。
電気代の伝票やらダイレクトメールなどの雑多な郵便物の中で、角に折れ目もない凛とした書簡は異彩を放っていた。
立て付けの悪い郵便受けを軋ませて開いた途端、一目で理解した。
その新風を思わせる純白が、NEW WIND新日本ドーム大会への招待状であり、
NEW WINDからの挑戦状なのだということを。


そして迎えた大会当日。新日本ドーム大会へは試合開始後随分経ってから到着した。
別に斜に構えて「アンダーカードなんぞ見るまでもない」などと思ったわけじゃない。


さあ新東京ドームまで観戦に出ようかというタイミングで、「週間セキララ」副編集長が、
「やあ忙しいとこすまんね、ちょっと近くまで来たもんだから」
 相変わらずゴルフ焼けした40代のツラを破顔させ、本革のゴルフバッグを担いでやって来たのだ。
 この部屋をゴルフ場だと思い込んでるんじゃないとすれば、仕事よりも大事なはずのゴルフの時間を割いて、わざわざ俺に会いに来たってことになる。
 俺にとって一番大口の買い手でもあるスポンサー様を、そうそう無碍にできようはずもない。
我が家唯一の椅子をお譲りして、普段は入れない茶を入れさせて頂いた。
「こないだの記事ね、アレ良かったよォ。何しろあの大会が随分と話題になったからさァ、雑誌の売れ行きがグンッと上がったんだよねェ」
 全盛期に比べれば陰りが見えているとはいえ、女子プロレスが今もって巨大な娯楽産業であることに変わりはない。
 その女子プロレス界が上昇の願いをかけた一大イベント「NEW WIND17周年記念大会」を盛り上げよう——ってな記事一色の中、あの批判的な記事は目立ったらしい。
 話題になった理由には、筆者が昔NEW WIND番のプロレス記者であったことも影響していた。経験に裏打ちされた説得力云々てのもあるが、「かつてプロレス記者廃業に追い込まれた記者の復讐か」などという楽しい憶測が主な要素だ。なんとも三流ゴシップ記事らしい受け方ではないか。
「まァそういうワケでさ、次号にババーンと“NEW WIND特集”を組むことが決まってねェ。その軸になる記事を、ぜひキミに頼みたいって話になったワケ」
 実入りの良さそうな仕事だった。しかも簡単な依頼である。つまり、
「例の調子でさァ、全くもって趣味の悪いロートルショーで、完膚なきまでに幻滅させられた……なァんて、ズバーッと斬っちゃってよ」
 NEW WINDを貶めるような刺激的な言葉さえ並んでいれば、中身などどうでもいいのだ。
「締めがギリなんで、終わったらスグにいつもの調子でガーッと上げちゃってくれる?何だったらさ、試合なんて見ずに今から書いてくれちゃっても全っ然OK」
 ガマ蛙が潰れたような笑い声で「冗談冗談」と言いながらも、目は全く笑っていなかった。
眇めた目が、どうせ悪口雑言を並べるだけなんだから一緒だろ?と雄弁に語っていた。
 俺は、とにかく大会が終わり次第記事を上げることを約束してから、副編集長をゴルフに送り出した。一人になってもしばらく、胸中には言葉にならぬモヤが渦巻いていたが、煙草を一本吸い終わる頃にはそれも紫煙に混じって虚空に消えた。
 まあいいさ。俺は試合を見て、記事を書く。
結局のところそれは——三流ゴシップ向きの辛辣な記事になるだろうから。
  ++  ++  ++  ++  ++


※下記は当時のHIGEさんのコメントの抜粋になります。

Nさんの「『もう一度あの日のように〜再会〜」で、ついに運命の大会が開催日を迎えました!
そんなわけで今回は「その15「現役の意地」』」更新までの時系列における“マスターシュ黒沢”の動きを追ってみました。
 
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2015/05/27 23:50 | Comments(0) | あの日々はもう二度と戻らない 〜 outsider's report 

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