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あの日々はもう二度と戻らない 〜 outsider's report 後編_2
このお話は、NEW WIND管理人Nの書いた『もう一度あの日のように~再会~』を、「Heel So Bad」のHIGEさんが別の視点から描いてくださった作品です。
 なおHIGEさんの承諾を得て、転載させていただいております。
 ~再会~ と合わせてお読みいただければ幸いです。





以下のSSはレッスルエンジェルスの世界観や、「NEW WIND」のN様により執筆された「NEW WIND」の設定、キャラクターを参考に描かれていますが、内容についてはHIGE個人の創作となります。必ずしも公式設定や開発者の意図、「NEW WIND」の原作、ファンの皆様一人一人の世界観に沿う内容ではない場合がありますことを予めご了承願います。
  ++  ++  ++  ++  ++
電車を乗り継いで行く腹積もりだったが、どうにもまずい時間になっていた。
三流記者にとっては身を切る思いではあるが、タクシーを捕まえることにする。
まあ、仕方あるまい。遠からず大きな報酬となって帰ってくる仕事のためだ。
その埒もない仕事のためであるならば。
何一つ急ぐ理由などないことには、気付かぬ振りをした。
通りに出たところでタクシーを捕まえ、運転手に「新日本ドームまで」と告げる。
タクシーが滑るように走り出したところで、
「お客さん、もしかして女子プロレスをご観戦ですか?」
人の良さそうな丸顔の運転手が笑顔で問い掛けてきたので、そうだ、と短く答えた。
「今日はあの付近混雑してますよ。人気あるんですねぇ女子プロレス」
運転手の声に被さるように、小さなカーテレビからバットの奏でる快音が響いた。興奮気味の実況と歓声が入り混じる中、白球がライトスタンドに吸い込まれていく。
「すまんがチャンネルを変えてくれるか。NEW WINDの大会中継をやってるはずだ」
NEW WINDはこのビッグマッチを、大きな収入の見込めるはずのPPV放送ではなく、敢えて地上派での生中継に踏み切っていた。かつて女子プロレスに熱狂したファンに届かせるため、風間社長が放送局との長い折衝を経てゴールデンの放送枠を勝ち取ったのだ。
「へぇ、この時間に生放送やってるんですか。驚いたな」
チャンネルが変わり、見覚えのない四人の若手選手のタッグマッチが映し出される。ドームの大きさに似合わぬちっぽけな動き、小粒で魅力に乏しい選手たち。
「やあ懐かしいですねぇ。昔はよく見てましたよ。私、南選手のファンでして。なにせファンクラブに入ってたくらいです」
俺は片眉を上げて口の端を歪めた。奇しくも元伊達ファンと元南ファンの邂逅というワケだ。
「その南が、伊達と今日試合するんだ」
「えっ、あれってホントだったんですか!?新東スポか何かで見て、てっきり例によって嘘っぱちの記事だとばかり」
俺も、そんな悪夢は嘘っぱちであってくれと願ったよ。
だけど残念ながら、悪夢は現実となった。
「南と伊達の試合ですか。いやあ思い出しますねぇ、あの興奮。それは見てみたいなあ」
「さあ……どうだろうね。思い出が大事なら見ない方がいいかもしれんよ」
威勢だけはいいが、まるでなってないプロレスもどきを見ながら呟く。
遠い日の思い出となった名勝負が、見るに耐えない三文試合と重なって見えた。
無意識に煙草を口に咥えて、ライターを擦る。二度、三度。
だが、火は着かなかった。
紫煙の代わりに溜息を吐く。
火の着かない渇いた心に去来するのは、とうの昔に失われていたはずの失望感。
この大会観戦記はやはり。三流週刊誌に相応しい記事になりそうだ。


  ++  ++  ++  ++  ++
先ごろNEW WINDにて掲載された『もう一度あの日のように〜再会〜その16「現役の意地・2」』の時間軸におけるマスターシュ黒沢の動きを追ってみました。
すっかりネガティブなスパイラルに陥っている黒沢ですが、いったいどんな記事を書くことになるのでしょうか(何も考えてない顔で)請うご期待!
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2015/06/21 23:45 | Comments(0) | あの日々はもう二度と戻らない 〜 outsider's report 

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