ＮＥＷ ＷＩＮＤ社長 風間新 手記「新たなる夢のはじまり～飛翔編～」より
※こちらはレッスルエンジェルスサバイバー２のリプレイとなります。
旧作版ＮＥＷ ＷＩＮＤとはお話上のつながりはありませんが、登場人物などは一部同じものを使用しています。
第５戦 オーガ朝比奈 ＶＳ 越後しのぶ
試合前から朝比奈は越後を睨み続ける。
「鬼退治は正義の仕事。きっちりとやってやるぜ！」と越後は前回の大会後マスコミの囲み取材に対して答えていた。このことも影響しているのは間違いがない。
「てめええええっ！」
ゴングを待たずに朝比奈が仕掛けた。
「先に仕掛けましたか。どうやら精神的には越後の方がゆとりがあるようですな。」
朝比奈のハンマーブローが強烈に決まったが、越後は顔色一つ変えずにそれを堪えると、正面飛びドロップキックを朝比奈の顔面に３連続で打ち込みハードにお返しする。
「ぐううっ…」
朝比奈は後方へと受身をとった。さすがにダメージを逃がさざるをえなかったか。
「たてええええ！」
さらにスーパーミサイルヒップを発射し、越後は早々にペースを握った。
「てめえ、このやろおおおお！」
「ハッ！」
ここからは両者ともに譲らず激しく技を繰り出し合う。
「フィニッシュバスター！」
「ぐうっ…」
朝比奈のフィニッシュバスターが炸裂するが受けに長ける越後相手では決め手にならない。
「なろおおおっ！」
ラリアットもアルゼンチンバックブリーカーも越後は受け切った。
「天空ゥ剣！」
正義ジャブで動きを止めてからの越後の右ハイキック“天空剣”が炸裂するも頑健さが売りの朝比奈はダウンすらせず反撃に出る。
「なっ…」
“受け”の越後と“頑健”の朝比奈。両者ともに技は出すものの決着には至らない。
「だああああああっつ！」
朝比奈のダイビングギロチンドロップが決まるが越後はこれをカウント２．５で跳ね返す。
「はああああああああっ！」
越後はパイルドライバーで朝比奈をマットに突き刺し動きを止めるとコーナーへとよじ登った。
「決めるぞ！」
越後は右腕を突き上げ場外に向かってフィニッシュ宣言。
「スーパーミサイルヒップか？」とだれもが思ったが越後は両手のひらとひらを合わせて
上へと突き上げた。
「超電磁スピ～～～～～ン！！」
ジャンプする瞬間まで越後は手を伸ばしていたが、さすがに飛んでからは両手を交差しバランスを保っている。
「おおおおおおおっ！」
単なるムーンサルトプレスではなく捻りを加えている。この技はいわゆる天空つむじ風“スカイツイスタープレス”だ。
「完璧ですな。」
自身もスカイツイスタープレスと同型の男爵龍トルネードを使ったダンディさんが思わずうめいた。
「さすがの朝比奈もこれは返せないでしょうな。」
この言葉通りに３カウントが入った。
「１６分４４秒…超電磁スピンによりまして勝者越後しのぶっ！」
越後はもうＮＥＷ ＷＩＮＤのトップレスラーの一人であることを認めざるを得ないだろう。
絶対王者となりつつある南を止めるのは、意外と後輩の越後なのかもしれない。
などと思ったのもつかの間で、続く第６戦で同期の桜崎に不覚をとり、さらに第７戦では祐希子のムーンサルトプレスで３カウントを奪われ、最終戦では十六夜の裏投げでフォール負けとまさかまさかの３連敗を越後は喫してしまった。
「うーん…」
ギミックが一人歩きし、ともすれば人気先行気味だった越後に実力が追いついてきているのは間違いないのだが、安定性には欠けている。ようはまだまだ粗削りでありこれからの選手だということだろうか。
なお後輩相手に連敗を喫し、実力低下を指摘されつつあった小鳥遊だが、北条＆祐希子＆市ヶ谷相手にシングルで３連勝！まだまだ衰えていないことを証明してみせた。
さらには朝比奈と保持しているＧＷＡタッグの防衛戦に出陣し、北条＆祐希子を相手に王者の貫録を見せつけ、最後は北条からフォールを奪って防衛に成功している。
「おいおい…」
売り出し中の越後を撃破し存在感を示した桜崎がタッグマッチとはいえ後輩永原のジャーマンで撃沈。
「ふむ…世代交代は勝っただけでは終わりませんからな。これからですよ。」
女王南だけが突出し、それに続く選手がいないという状況は変わってはいないが、確実に全体のレベルは向上してきている。５年という一つの区切りが終わり、ＮＥＷ ＷＩＮＤは６年目の春を新たなるステージを迎える。
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