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2024/04/26 04:50 |
NEW WIND外伝 第10話「決別の時」
 ☆注意喚起情報☆

 このお話はレッスルエンジェルスサバイバー リプレイ『NEW WIND編』およびその続編である『栄光のスターロード編』の設定を受け継いでいますが、このお話は『NEW WIND』のお話ではありません。

また、登場人物の設定は前述の『NEW WIND』での設定を受け継いでおり、公式とは違う設定がなされています。
 本来なら先輩であるはずの登場人物が、後輩として登場したりしますのでその点についてはご留意ください。
 
 また基本的にこのお話は管理人のオリジナルであり、リプレイではありません。
 ただし、外伝という位置づけですので、リプレイの設定を受け継いでいます。
 リプレイでいえば、13年目4期生永沢舞の引退後あたりを舞台に展開していきます。
 
 以上注意喚起情報を留意の上、つづきへとお進みください。

※感想はOKというか歓迎しますが、苦情は一切受け付けませんので、あらかじめご留意ください。

 管理人 N 

 

NEW WIND外伝 伝説のダンディドラゴン 第10話「決別の時。」



「ここで極めにくるとは、完璧だわ。」
 ハイブリット南は思わず呟いた。
「ふふ、果たしてそうかな?」
 ダンディさんは意味ありげに笑った。

「ぐおおおおっ!」
 関節を極められた堀だったが、右腕一本で須永を持ち上げると、空いている手でチョップ!
「ぐうっ!」
 さすがに技をといた須永だったが、ダウンせずに何とか踏みとどまる。
「ハアッ!」
 須永は珍しく左のミドルキックを放つ。
堀は自らの肉体に自信を持っているので、それをノーガードで受ける。
 猛練習によって磨き上げた鉄(くろがね)の肉体で、どんな攻撃でも受けきり、そして相手を叩き潰す。
 プロレスラー堀雄也が人気を集めるのは、この鉄の体に説得力があるからだ。
「ハアッ!」
 須永は連打でキックを叩きこむが、堀はびくともしない。
「オラアアッ!」
堀は10発近くの蹴りを受けたあとで、手刀を抜いた。
「ぐうっ!」
 一撃で動きを止める強烈なチョップが炸裂し場内が沸く。
しかし須永も負けていない。再び左のミドルを放つ。
堀はまたもノーガードで受けにいくが、今回はキックの狙いが違った。
「ぐおっ!」
須永の左足が堀の右腕を蹴る。予想しない攻撃に思わず顔をしかめる堀。
「ハアッ!」
 須永はスピードを上げて腕にキックを連打する。
「タアッ!」
 カカト落としまで混ぜて堀の右腕を殺しにいく。
「このおっ!」
 怒りに燃えた堀が突っ込んでくるが、須永はそれを予測し振り下ろした堀の腕に飛びつき、腕十字を極めた。
 不意を突かれた堀の腕は伸びきってしまっている。
「ぐあっ!」
 堀がたまらず悲鳴を上げる。
「逃がさん!」
 絞りあげる須永。
「ぐあっ!」
 悲鳴を上げる堀だったが、須永の足に狙いを定めると空いている左腕で須永の足を殴りつける。
「ぐうっ!」
 さすがに技をとく須永。
「やってくれたなっ!」
 立ち上がった堀は須永の肩をつかんでコーナーへと振った。
そしてそれを追いかけるとチョップを顔面に叩き込む。
「ぐうっ!」
 コーナーにもたれるように倒れこんだ須永に向かって、堀は逆水平チョップと袈裟斬りチョップを交互に繰り出す。

 須永は堀に髪をつかまれ無理やり引き起こされる。
「オラアッツ!」
 堀は須永をロープに振ると、カウンターで『トンガの赤い雨』を狙う。
堀の左の手刀が須永の首筋を襲う!

「くっ!」
 須永は両腕でそれをブロックすると、素早く堀の胴に腕を回し、高速フロントスープレックス。
さらに引き起こして高速のダブルアームスープレックス、さらにDDTを決め、最後はくるりと丸めこんだ。

 須永得意の連続コンビネーション『S・Bラッシュ』だ。

 カウント2.5で返した堀はお返しのチョップコンビネーション!
須永がひるんだところで組み付くと、ブレーンバスターの体勢に持ち上げ、そのまま前へと叩きつけた。
 後年この技はアメリカで『ジャックハマー』と呼ばれるようになるのだが、それは後の話で、当時国内では『ブレーンバスタースラム』と呼ばれていた。
 堀の数少ないチョップ以外の技である。
バン!バンッ!
「おおっ!」
 須永はカウント2.8で右肩をあげた。
「この野郎・・・!」
 堀は須永の髪を掴んで起き上がらせると、左の袈裟斬りチョップを須永に打ち込む。
「ぐうっ・・・」
 須永の白い肌はミミズ腫れだらけになってしまっている。
「終わりだ、須永!」
 堀は左の手刀で須永の首を狙った。『トンガの赤い雨』である。
「ハアッ!」
 だが須永はこれを待っていた。
堀の腕を掻い潜り、素早くバックヘ回ると、高速のドラゴンスープレックス!
「!!」
 堀はカウント2.5で返したが、須永は休む間を与えない。
無理やり引き起こすと、堀の頭を太ももで挟み込む。
 そして足の付け根で両手をクラッチさせて持ち上げた。
「お~っと須永、ゴッチ式パイルドライバーだ!」
 自分より重い堀をキレイにマットに垂直に突き刺した。
「フォールだ!」
 バン!バンッ!
「なめるなああっ!」
 カウント2.8でクリアする堀。
「さすがっ・・・だけどなっ!」
 須永はさっとロープに飛び、反動をつけてフライングニールキック。
 さすがの堀も片ヒザをついた状態ではよけきれず、まともにもらってしまった。
「行くぞっ!」
 須永は右拳を突き上げてアピールすると、コーナーへ駆け上がり、ダイビングセントーン!
 が、これを堀はギリギリでよけた。
「ぐっ!」
 腰を強打し、呻く須永。
「オラアッツ!」
 ここをチャンスと見て堀が空手チョップの嵐。
「オラアッツ!」
 動きが止まったところで『トンガの赤い雨』を繰り出すが、またしても須永はこれをブロック。
「なっ・・」
 驚く堀に対し、須永はニヤリと笑う。
「これで終わりだ!」
 須永はそのまま飛びついて腕ひしぎ逆十字固め!
リング中央でガッチリと技が決まった。
「ぐわああっ!」
 悲鳴を上げる堀の姿に場内からどよめきが起きる。
「そのまま決めろ!」
「折っちまえ!」
 ぶっそうな声援が飛ぶ。
「堀!負けるな!」
「堀!」
 セコンド陣がエプロンをバンバンと叩いて声援を飛ばす。
だが須永は突然技を解くと、堀を無理やり引き起こした。
「おーっと須永バックドロップを狙うのか?」
「無謀ですよ。体重差がありますからね。」
「あっ、持ち上げました!」
 須永は堀を持ち上げたが、途中でクラッチを解き自分の前方へと堀を落下させた。
「あれはドラゴンバックブリーカー?」
 だが・・・これはバックブリーカーではない。
「ぐわああっ!」
 堀が悲鳴を上げた。
「ああっ!今左腕を狙いましたね!」
「ええ。須永選手、左腕から落としましたね。」
 須永は角度を変えることにより、自分のヒザへ、堀の左腕を打ちつけたのである。

「上手い・・・完璧だわ。」

 須永は素早くエプロンへと出ると、トップロープに飛び乗ってダイブ!
 そして堀の左腕へのフットスタンプを敢行した。

「スワンダイブ式ダイビングフットスタンプ!エグイ技だわ・・・」
「あれ痛そう・・・」
「瞳、あれは痛いなんてものじゃないわよ・・・」
「あれは食らいたくないなあ・・・」

「ぐわあわあああああっ!」
 悲鳴を上げる堀。
須永はその堀の左腕を取り、アームバーで絞りあげる。
「ぐわああああああああああっ!」

「これは完璧に決まっていますね。堀選手まずいですよ、これは。」
「堀、ギブアップ?」 
レフェリーが確認するが、堀は首を振る。
「須永、そのまま絞れ!もう堀は虫の息だぞ!」
 関野が声を張り上げる。
「SPW王者堀、大大大ピンチです。ついに堀政権が崩れるのか?SPWの至宝が、流出してしまうのか!」
「これは危ないですよ。堀選手はもう限界です。」
「これで終わりだっ!」
 須永は腰を入れて、さらに絞りあげる。
「ぐわあああああああああああああっつ!」
 堀の右手が動いた。

『ギブアップか?!』
 という空気が流れた時だった。
覆面をしたレスラー2人が突如リングに乱入し、堀と須永へ攻撃を加え始めたのだ。
「お~っと乱入者だ!こいつらの正体は誰だ~っ!」
 謎の覆面レスラーとはいえ体格を見れば正体はバレバレだったりするのだが。
 その二人はSPW所属レスラーであることは確かだった。
   
 カン!カン!カン! 
 ゴングが打ち鳴らされた。
「ただいまの試合は乱入により両者戦闘不能の為、ノーコンテスト、無効試合となります。」
 このリングアナのアナウンスに場内から不満の声。
 リングへビールの空き缶などが投げ込まれる暴動になってしまった。
「物を投げないでください!危険ですから物を投げないでください!」

「静まれ!」
 須永がマイクを掴み一喝すると、場内がシーンとなる。
「おい、堀!これはお前の差し金か!」
 堀は無言で須永を見ている。
「そんなに俺に負けたくないか?SPWの至宝が外部へ出るのがそんなに嫌なのかよ!」
 堀は無言だ。
「見損なったぜ。お前ほどプロレスが好きで、チョップにこだわりを持っている奴が、こんな卑怯な真似をするなんてな。俺はな・・・堀、お前のファンだったよ。すっげえこだわりを持っているプロ中のプロだと思っていた。だけどな、堀雄也。お前は最低のレスラーだ。そして、SPW!最低だよ。」
 多少のブーイングはあったが、概ね観客からは拍手で迎えられた。
 須永はここで一呼吸置いた。
「関野、折角巻いたSPWタッグのベルトだけどよ、返上させてくれ。俺は、もうこのリングには上がらないから。」
「ちょ、ちょっと待てよ、須永!」
 関野はびっくりしている。場内もどよめく。
「すまないな。SPWには絶望したよ。」
「おい、須永!」
「だけどな、俺はお前には希望を持っている。今はまだ無理かもしれないけど、いつか関野がシングル王者になったら、またやろう。」
 須永はそれだけいうとマイクをリングへ思いっきり叩きつけた。

 そしてその後、須永はタッグ王座を返上し、SPWのリングから姿を消した。


「これ酷いね。堀さんって凄いレスラーだと思ったのに。」
「がっかりです。」
「完璧じゃないわね・・・」
「ダンディさんはこの後どうされたんですか?」
「私はね、この後メキシコへと渡ったんだ。ミステリアスルチャドール『男爵龍』としてね。」
「男爵龍って?」
「ダンディドラゴンに、プロモーターが適当な漢字をあてただけさ。プロモーターの中でダンディといえば男爵というイメージだったのだろうな。いい加減なものだよ。」
「ずっとメキシコにいたんですか?」
「それから先は長くなるから、また別の機会があればまた話そう。」

    
 NEW WIND外伝 伝説のダンディドラゴン 第1部 若手時代編(終)     




あとがき

 NEW WIND編に登場した、オリジナルキャラ『ダンディ須永』にスポットを当てた外伝いかがだったでしょうか。
 書き手としては若き日のダンディ須永の話を掘り下げるのは、元があるリプレイとは違う面白さがありました。
 
 まだまだストーリーは書けますが、区切りがいいところまで来たので、一度区切ります。
 ストック切れともいいますが(苦笑)

 毎週連載は意外と大変でした。
オリジナルを書いていく作業は思った以上に難しいですね。

 ダンディ須永の再登場をしばしお待ちください。
なお現在アップしているNEW WIND改訂版ではダンディさんの出番が意外と増えています。
 そちらもあわせて読んでいただけると、より楽しめるのではないかと思っております。

 ご愛読ありがとうございました。

 
    N 

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2007/09/02 20:29 | Comments(0) | 伝説のダンディドラゴン

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