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2024/03/29 13:45 |
NEW WINDクリスマス特別興行 その6「悪役」
 NEW WIND社長風間新 手記より。


※サバイバー1版のリプレイの設定を使用していますが、これはリプレイではありません。

「!?」
 リング上へと視線を移した私たちが見たのは、長い髪の毛を掴まれ、リング上を引き回されるみぎりの姿だった。
「BOOOOO!」
 場内からブーイングが巻き起こるが、ダンディさん……もといスーパーヒール須永英光は無表情のまま、髪の毛を腕の代わりにして鮮やかな一本背負いでスカイブルーのマットへと叩きつけた。
「いたああああああっ……」
 頭をかきむしるみぎり。
「!」
 スーパーヒール須永英光は、そのまま髪の毛をみぎりの首に巻きつけ、スリーパーホールドに入った。
「ゴホッ……く・くるしい……」
 みぎりは左手でロックを外そうともがき、右手を空中でさまよわせる。
「ノー! ノーだ、ダンディ!」
 ミスターDENSOUが反則を指摘し、外すように須永に指示をするが、須永はまったく関係のない空間を凝視したまままったく反応しない。
「BOOOOOOOO!」
 再びブーイングが飛ばされるが、すでに別人格……スーパーヒールモードの須永にとってはまったく関係のない話であった。
「ゴホッ……」
「ノーだ!」
 DENSOUが止めに入ろうとしたところで、須永の視線がDENSOUをとらえる。
「……」
 その視線は、『お前が敵か?』と言っているようであった。
「いや、ちが……」
 思わず後ずさりしてしまうDENSOUに場内からブーイングが飛ぶ。
「何やってんだDENSOU! ちゃんととめろや~~!!」
「レフェリー、反則だぞ~~!!」
「くうっ……わかってるつーの! ワ~ンッ! トゥ~! スリ~! フォー!」
 須永はカウント4で技をといたが、今度は正面に回ってコブラクローで直にみぎりの首を絞める。
「BOOOOOOO!」
 ブーイングが飛び交う中、みぎりの両肩がマットに押し付けれた。
「フォール! ワ~ン! トゥ~~! ス」
「げほっ……」
 これもなんとかカウント2.9で返す。
 さすがだ。スーパーヒールモードでも、テクニシャンぶりは健在だ。自分がもし対戦相手だったら、かなりやりにくいだろうな。
だが……スーパーヒール須永英光はこんなものじゃないはずだ……。


 消耗してきっているみぎりが膝をつき、立ち上がってくるのを無表情の須永が見下ろしている。
「悪いことばっかりして……」
 ぐっと膝に力を入れて立ち上がろうとした瞬間、紫の風がリングを駆け抜けた。
「まさかっ? シャイニングウィザードを?」
 軽やかにみぎりの膝を踏み台にした須永が膝をみぎりにぶち込む。
「!」
 みぎりは長い腕を上げてかろうじてブロックしたが、須永はそれを予期していたようにバックステップするともう一度シャイニング! 両腕を大きく広げ、カチあげるように膝を打ちこんだ。
「あれはシャイニングフェニックス!?」
 武藤が驚きの表情を浮かべた。一発目とは明らかに違うフォームから繰り出されたのは、一期生の伊達遥のフェイバリットホールドだったシャイニングフェニックスだ。
 今度はガードできなかったみぎりがゆっくりと後方に倒れ込んでいく。
「フォール!」
 須永がみぎりの上に体を預けに行くのをみて、ミスターDENSOUレフェリーはジャンプしてカウントをとるポジションへと移動する。
 バンッ!
 DENSOUレフェリーが着地する音がカウント1のように聞こえたが、そのあとカウントが続くことはなかった。
 須永はフォールしにいったわけではなく、マウントポジションを取りにいっただけだったのだ。

 シュッ!

 風を切って須永の右掌底がみぎりの左頬を打ちすえる。
「がふっ……」
 続けざまに左! さらに右左と容赦のない掌底がみぎりを襲う。
「BOOOOOO!」
 大きなブーイングが飛ぶが、須永の表情はまるで変化がない。殺戮マシーンのように冷徹に掌底を打ちこみ続ける。
 これは反則ではないが、見ている側からすれば女性の顔に攻撃を加えるという行為自体が反則に感じられるものだ。
「みぎり、ガードするか攻撃を返しなさい!」
 セコンドが声を飛ばす。
「ええいっ!」
 その声に反応し、みぎりは下から須永の顔面に張り手を叩きこむ。

 バチイイッ!

 カウンター気味に入った張り手に須永の顔が歪み、唇の端から血がにじむ。
「…………」
 須永は鋭い眼光でみぎりを睨みつけながら左手の人さし指で血を拭い、その血を舐めた。
 観客もレフェリーもその須永の左手に意識をとられ、密かに振り上げられた右手に気づくものはほとんどいなかった。
「ぎゃうっっ!」
 次の瞬間、右手がギュッと硬く握りしめられ、みぎりの顔面にグーパンチがぶちこまれていた。

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2009/12/29 18:00 | Comments(0) | 特別興行

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