18年目11月頃のNEW WINDの中堅カードの出来事です。
スカイブルーのリングに外敵として登場した大空みぎりは、その恵まれすぎた体格を活かしたスーパーパワーでNEW WINDの若手選手たちを次々と撃破し猛威を奮っていた。
「須永さんがどういうつもりで送り込んできたのかは知らないけど、これ以上スカイブルーのリングを荒らさせるわけにはいかない。」
こういって大空みぎりとの対戦に名乗りを上げたのは14期生、前田龍子こと2代目サンダー龍子である。
かわいい後輩を4人病院送りにされ、新人時代から面倒を見てくれた先輩を傷つけられ、さらにたった一人の同期であるフォクシー真帆までもがみぎりの前に敗れ去った。
ダンディ須永の教え子…同門ともいえる存在ではあるが、ここまでやってくれたからにはオトシマエはつける必要がある。
「2代目が本当のサンダー龍子になるための試練かもしれないな。」
風間新はカードを決定した後一人つぶやくのだった。
「くっ…こんなに差があるものなのか…」
龍子は改めてみぎりの大きさを感じていた。遠目から見るのとリング上で実際に対峙するのとでは明らかに違う。
「いきますよ~~」
みぎりは剛腕チョップを繰り出した。
バチイイイイイッツ!!
「ぐはあっ…」
単なるチョップでありながら、威力は普通の選手のキックよりもある。
(なんだこの重さは……だけどなっ!)
龍子はキッ!とみぎりを睨みつけた。
「あう…」
その鋭い眼光にみぎりは一瞬恐怖を覚えた。
「はあっ!」
龍子はグーパンチでみぎりのボディを殴りつける。
「こ、拳は…」
「反則だってかっ!」
龍子はみぎりのセリフを先読みしながらさらにボディへのグーパンチを連打する。
「そ…そうです…ぐっ…」
ボディへの連打をもらいみぎりの体がくの字に折れる。
「!!」
バチイイイイイイッ!
龍子は下がったみぎりの顔面に強烈な張り手を打ちこんだ。
「きゃうっ…」
潜在的なパワーならみぎりの方が上かも知れないが、龍子には日本人トップクラスと言われる鍛え上げられたパワーがある。
「あっ…」
みぎりはガクンと片ヒザをついた。
「いくぞっ!」
龍子はチャンスとみてロープへと走る。
「おおぞらっ!!」
龍子の左腕がうなりをあげてみぎりの首を襲う。
「!?」
みぎりの巨体は軽々と持ち上がり、そのままリングへと叩きつけられた。
「おおおおおっ!」
観客も驚く龍子のパワー。
「龍の遺伝子が目覚めたようですな。」
龍子の覚醒を感じ、ダンディ須永は嬉しそうな顔になる。
「しかし、この程度では…」
みぎりは首をさすりながら立ちあがってきた。
「今のは痛かったですよ~~。」
「くっ…私のラリアートを受けて平然と…そうこなくちゃ!」
龍子は一瞬驚きの表情を浮かべたがすぐに闘志を燃やした。
「一度で倒せなければもう一度だっ!」
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