NEW WIND社長 風間新 手記「新たなる夢のはじまり~飛翔編~」より
※こちらはレッスルエンジェルスサバイバー2のリプレイとなります。
旧作版NEW WINDとはお話上のつながりはありませんが、登場人物などは一部同じものを使用しています。
◇4年目6月
MAX WINDの創設を発表してから、賛否両論様々な意見が飛び交っている。
その意味についてもいろいろといわれているが、簡単に言えばMAX WINDというのは、女子プロレスの王座の頂点に立つベルトとして創設したということだ。
ボクシングとは違って女子プロレスには団体の数の分だけ世界王者のベルトがあるといっても過言ではない。ハッキリしたランキング制などもないし、それぞれの世界王者が一同に会して最強の王者を決定する大会が行われるわけでもない。
“どのベルトに一番価値があるのか?”というのはファンの間では熱く議論されることは多々あるが結局結論は出ないままだ。
「“老舗”新女のベルトが一番だ!」という者もいれば、「そんなことはない!」と“WWCA至高説”を唱えるものもいる。もちろん「“IWWF究極説”」も根強い。
決まらないのであれば、決めてしまえ!という少々乱暴な理屈からこのベルトは創設されたのだ。全ての頂点に立つベルト、真の最強を決めるベルトこそがMAX WINDなのである。
もっとも、いまだまだなんの権威もない新設のベルトではあるのだが(苦笑)
まあ…うちの選手たちが、きっとその価値を高めてくれるだろうから、あまり心配はしていないのだけどね。
☆第3戦富山大会☆
「いくぞ~~~!!」
越後がロープへと走る。
「くっ…」
その前に攻撃が効いている桜崎は動きが鈍い。
「さくらざきいいいっ!!!」
越後が跳び、反転しながら鍛え上げられた“くろがねの城”…もとい”鋼鉄のヒップアタック”が桜崎の顔面にめり込んだ。
「ぎゃふっ!」
「レフェリー、フォールだ!」
越後はがっちりと押さえ込み、レインボー岩城レフェリーのカウントを要求。そのまま3カウントが入った。
「よしっ!」
小さくガッツポーズをする越後。うーん、こういうところは控えめだな。ここはもうちょっとアピールしてもいい場面だと思うのだが。
「勝ったと言ってもリーグ戦の最下位に勝っただけですよ。まだまだ喜ぶには早いです。」
越後は開幕戦でソニックとのシングルで敗れているだけにその差を実感しているのだろうな。今後の越後の成長に注目したい。
「か、勝った…」
零がロザンヌを撃破し、デビュー3か月目にしてシングル初勝利を挙げた。
「若手が成長してきましたな。」
「先輩たちの熱さが伝播したのでしょうか。」
「そうかもしれませんな。NEW WINDがより上を目指すには新たなる風を生み出す源が必要です。これから先、越後たちがその源になってくれるでしょう。」
すでに上では先輩・後輩関係なしの個人闘争が激化している。それに越後・零が加わってくれればより面白くなるだろう。
「よっっし!」
祐希子からフォールを奪った越後は、前回よりも少しだけ派手なガッツポーズを見せた。
「よくやったのさね。いい子いい子してあげるお!」
パートナーのソニックが越後の頭をクシャクシャに撫でまわす。
「そ、ソニ先輩!よ、よしてくださいよ!」
「照れるなんて、やっぱり“ぶーちゃん”は可愛いのさね。」
「だ、誰がぶーちゃんですかっ!」
越後はソニックに反論するが、ソニックはまるで聞いちゃいない。
「くっ…」
祐希子は歯噛みするが負けたという事実は消えてはいない。
「残念でしたね。祐希子お嬢様。」
パートナーの桜崎が声をかける。
「うるさい!」
祐希子はキッと桜崎を睨みつけた。
「祐希子はポロが多いですな。」
「ええ。実力的はあるのですけど、どうにもムラがありすぎます。今日は完全に悪い方に行っていましたね。」
「まあ次は巻き返すでしょうけどな。なにしろ負けず嫌いですからな。」
このダンディさんの言葉通り、祐希子は最終戦で越後をムーンサルトで沈め、借りをきっちり清算してみせた。
「これでフィニッシュだ!」
北条のパーフェクトキックがこれ以上ないほど完璧に決まり、強敵コーディをマットに沈めた。
「まだ禊は済んでいませんから。」
北条はWWCAナンバー2からのフォール勝ちにも顔色一つ変えなかった。
この程度ではリーグ戦でのブービーという汚名を返上することはできないと考えているのだろうな。
第2部ー2へ
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