NEW WIND社長 風間 新手記より
~NEW WIND30万HIT記念特別興行~
※今回のお話は、リプレイの正史ではないため、全員全盛期の力を持って登場します。
ただし、基本的な設定は主に、リプレイサバイバー1版NEW WIND編の設定に準じています。
トーナメント決勝戦
本来ならAブロック勝者とBブロック勝者による準決勝第1試合のはずだったが、C・Dブロックの選手が想定外の全員失格となってしまった為、この試合が決勝戦として開催されることになった。
「引き分けはせいぜい1・2試合かなと思ったんですが……」
「ふむ。10分一本で決めるにはいささかカードがよすぎましたかな。まあ、私から言わせてもらうなら、まだまだ皆甘いというべきでしょう。新人が行う前座の10分一本勝負と、ハイスパート600は10分という時間は同じでも中身が全然違うものなのですから」
「ミニッツ・バイ・ミニッツという変則ルールが採用されていたから、というわけではないですよね?」
「まあそれも一部ありますが、短時間であのレベルの選手達が試合を決めるためには、プロレス頭が必要です」
そう。いつも30~60分の勝負になれている選手達ばかりだからこそ、ハイスパートでやる面白さがある。
「なるほど。正直、吉田VS市ヶ谷だけは勝負がつく気がしていなかったんですねえ」
「まあ、私もあそこだけは引き分けだろうと予想していたんですがね。まあ、武藤VS榎本は、榎本の想像以上の頑張りと、武藤が非情になりきれなかった結果でしょう」
「確かに。時折プロレスラー武藤めぐみではなく、”むとめさん”の顔になってしまっていましたからね」
そういう意味では相手が悪かったともいえるか。
「伊達と越後はアクシデントが、結城と永沢はお互いの投げ技使いとしてのプライドが早期決着に至らなかった理由の一つでしょうな」
C・Dブロックが全滅したため、Aブロック勝者 サキュバス真鍋、Bブロック勝者藤島瞳の二人がファイナリストだ。
「にっひっひ~。アイドルの唇奪うのたのしみ~っ」
1回戦・2回戦ともに”ときめもwith毒霧噴射”絡みで勝利している真鍋。この試合も狙っているようだ。
それも相手は汚れを知らぬ(?)超アイドルレスラーの藤島瞳。燃えるのも当然か。
「つかさはバカなのですか。試合前にはっきりと狙っていることを公言してどうするのです?」
「そうです、そうです。美沙様の言うとおりですわ」
セコンドのウイッチ美沙と栗浜亜魅が騒ぎ立てる。
「うるさいなー。美沙ちー達にはわからないんだよね~。やっぱ最初を奪うのってさいこーじゃん」
うっとりとした表情を浮かべる。
「さすがは淫魔……なのですよ」
美沙が肩をすくめる。
「外様に好き勝手はさせないよ。ここは、スカイブルーのマットは私が守る!!」
藤島がビシッと言いきった。そう、真鍋はうちの選手ではない。ロイヤルスキュアー所属の”ハロウィン・パーティ”というユニットのメンバーだ。
言動はどうあれ、立派な外敵である。特殊ルールがあったとはいえ、鏡・南と連破されているのは、少々よくない状況といえるだろう。
「……最後の砦って奴? 正直役不足だよ~ にっひっひ~」
「役不足かどうか……自分の体で味わってもらうよ」
なお、この一戦はスペシャルレフェリーとして白ベースの覆面に鯉の文字でお馴染みの、カルパッチョ真岡(もおか)レフェリーが久々のレフェリングを披露することになっている。
また本部席に緑の覆面レフェリー、ミスターDENSOUが着座し、一仕事を終えてリラックスししている。
緑と白の覆面レフェリーの邂逅というのもなかなか観れるものではない。
緑と白の覆面レフェリーの邂逅というのもなかなか観れるものではない。
「そいじゃセニョリータ達、ゴング鳴らすぜい」
カルパッチョ真岡の合図で試合開始のゴングが鳴る。
「セイッ!」
ゴングと同時に仕掛けたのは藤島。対角線を走ると、綺麗なフォームのフライングニールキック!
「げぶっ……」
綺麗に顔面を捉え、真鍋の小柄な体は青コーナーまで吹き飛ばされてしまった。
「いっくよ~~!」
藤島はコーナーに凭れかかる真鍋の顔面に、威力抜群のドロップキック!
「うぎゅう……」
ぐったりと仰向けにダウンする真鍋を見て、藤島はひらりとと青コーナーのポストに飛び上がる。
「……!」
無言でピースサインをしてから、藤島は舞った。
コーナーから距離が近いので、高さを意識したジャンプから前方回転してのダイビングフットスタンプ!
「つかさ、よけるのです!!!」
セコンドの美沙が声を張り上げるが、真鍋は動けず思いっきり藤島の両足が腹部に突き刺さってしまった。
「うううう……」
腹部を抑え、のたうち回る真鍋。
「フォール!」
ロープに近い腕と足を取り変形の片エビで押さえ込む。
「HAAAA、ワン! ト」
かろうじて真鍋が肩を上げる。
「つかさっ!」
バンバンと両手でエプロンを叩き奮起を促す美沙と栗浜。だがダメージが大きい真鍋はほぼ反応しない。
「ほら、起きて」
藤島は首根っこを掴んで立たせると、フィッシャーマンバスター!!
「決めるよっ!」
藤島はフォールにはいかず、さっとコーナーへ駆け上がると、ヒトミツイスタープレス(スカイツイスタープレス)!
高速捻りを加えたムーンサルトプレスであるが、西陣織のコスチュームが一瞬の風のように駆け抜けるということから、西陣の風とも呼ばれている。
「ワン! トゥ!」
これはスリーまで入ったな。カウント2ルールの時間帯だから数えられることはないけども。
「0分57秒、0分57秒。ヒトミツイスタープレスにより、勝者藤島瞳! トーナメント優勝は藤島瞳選手に決定いたしました!」
秒殺とは。真鍋には何もさせなかったか。
「ふー。もうちょっと抵抗してくれるかと思ったらずいぶんあっさりだったな」
ちょっと不満そうな藤島に、よろよろと立ちあがった真鍋が歩み寄る。
「ぶー。ゆだんしたー」
「ふふ。やられるわけにはいかないからね」
これもまたプロレスということなのだろう。藤島が叩き潰すプロレスができるとは思わなかったが。
「まあ、おめでとっていっとくよ」
「ありがと…」
握手を交わした両者だったが、真鍋が藤島の隙をついて”ときメモ”!
「へっへっへ~油断大敵ってね。初めていただきました~~」
目的を果たしルンルンの真鍋に、藤島ファンから大ブーイングが巻き起こる。だが当の藤島は平然とした顔だった。
「もうお仕事でもしてるんやし。別に減るもんやないし」
藤島はそういうと真鍋を無視して赤コーナーへと駆け上がり、拳を突き上げ優勝の喜びを表した。
第一回トーナメント優勝 藤島瞳
PR
HIGEさんとこまではオンタイムで読んでたんですが……
想像以上にうちのサキュバスが目立ちたがったようで決勝までいくとはw
それでも藤島が勝ってひと安心、ダイスと10分2カウントフォールは試合描写が難しそうだと思いました。きっちりまとめ上げたのは流石です