NEW WIND社長 風間 新手記より
~NEW WIND30万HIT記念特別興行~
※今回のお話は、リプレイの正史ではないため、全員全盛期の力を持って登場します。
ただし、基本的な設定は主に、リプレイサバイバー1版NEW WIND編の設定に準じています。
2回戦第2試合
藤島瞳 VS スターライト相羽
後輩である藤島は11期生、先輩の相羽は9期生として、入団してきている。その差はたったの2年のはずなのだが、この2人の対戦は私の中で記憶が薄い。
入団が2年違いであれば、南や伊達を代表とする一期生と結城&武藤の三期生との世代闘争、
そのさらに2年後輩の吉田龍子が結城・武藤に噛みつくなど印象深いものがあるのだが……。
相羽と藤島を考えてみると、やはり相羽は同期のジーニアス武藤とのライバルストーリー、
”最強の龍”吉田龍子、”炎の女帝”マイティ由希子の先輩・後輩相手の頂点を巡る戦いなどが印象深い。
常に上を目指していた相羽に対し、藤島はトップ戦線に参加していないので、対戦の印象が薄いのかもしれない。
今回は変則ルールでの1DAYトーナメント。先輩食いができるかどうかが最大のポイントか。
藤島はギムレット美月を、相羽はガルム小鳥遊をそれぞれ撃破して勝ち上がってきているが、蓄積ダメージは相羽の方が大きい。
「力で劣る藤島からすれば、狙いは最初の4分でしょうな」
「ですね」
カウント2ルールなら藤島にも十分勝機はあるだろう。
「とお~っ!」
開始早々仕掛けたのは藤島。打点の高い綺麗なフォームのドロップキックが相羽の顔面を打ち抜く。
「うっ……」
相羽はなんとかふらつきながらも倒れずに堪えたものの、さすがに前の試合のダメージが大きいのだろう。
「えいっ!」
すかさず水面蹴りを放って相羽に膝をつかせると、藤島はその場飛びのニールキック!
「もういっちょいくよ~~~!!」
藤島はロープへ走り、反動をつけてのフライング二ールキック!!
「甘いっ!」
だがこれは相羽が空中で易々とキャッチし、投げっぱなしジャーマンで放り投げる。
「きゃうんっ! いったあ……」
子犬のような悲鳴をあげた藤島は、左手で後頭部を押さえながら立ち上がる。可愛らしい顔は若干痛みにゆがんでいる。
「……作戦変更しよっと」
藤島はそういうと、ゆっくりと相羽に近づいていく。
「むっ……」
相羽も警戒してガードを上げる。それを見た藤島はにこっと微笑むと、低空タックルで押し倒し華麗にダウンを奪う。
仰向けにダウンした相羽の両足を掴むと、前転してブリッジで着地してみせる。
「ワンッ! ト」
ジャックナイフ式エビ固めはカウント1.8というところで返す。
「っとお!」
「まだっ!」
フォールを返し、一瞬うつ伏せになって立ち上がろうとした相羽。
それより早く立ち上がっていた藤島は、すっと相羽の脇に足を差し込んでひっくり返し、フォール!
「ジャパニーズレッグロールクラッチ」
これも、カウント1.8で返す。
「このっ!」
ようやく起き上がった相羽はエルボーを放つが、その腕を掴まれ、あっという間にスモールパッケージで丸めこまれてしまう。
「うわわっ!」
返したところを、ラ・マヒストラル。
「うばああっ!」
今度は変形のマヒストラル。腕をとるところまでは一緒だが、最後は回転しないで、コロンと相羽を倒してフォール。
ちょっと手抜きなマヒストラルといったところだが、実は”ラ・へなストラル”という名称がついている。
「ワン! トゥ!」
相羽が肩をあげたのは、カウント2が入った直後であった。
「もう一度マヒストラルと思っていたようですから、タイミングが合わなかったんでしょうな」
「回転せず、手抜きな感じのする技だからこそ、タイミングを外したってことですか」
「ただ今の試合は、1分35秒、”ラ・へなストラル”により、勝者 藤島瞳」
「やったねっ! ぶいっ!」
藤島は右手でVサインを作り、ぴょんぴょんと飛び跳ねて喜んでいる。
「へなストラルって……名前めっちゃ恥ずかしい……」
後輩に負けた上、ちょっぴり恥ずかしいネーミングの技で決められた相羽はしょんぼりとリングを去っていった。
こうして決勝のカードは真鍋VS藤島という戦前の予想とはまったく違うものになったのであった。
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