NEW WIND社長 風間新 手記「新たなる夢のはじまり~飛翔編~」より
※こちらはレッスルエンジェルスサバイバー2のリプレイとなります。
旧作版NEW WINDとはお話上のつながりはありませんが、登場人物などは一部同じものを使用しています。
◇5年目10月
新女との対抗戦が終了し、スカイブルーのリングに通常の光景が戻ってきた。
初戦の朝比奈&零との試合を落としたソニック&越後の正義軍。続く第2戦では“カラミティ・メイデン(仮)”に快勝し存在感を見せる。
だが、ディアナを加えたフルメンバーでの6人タッグでは、“大将”小鳥遊が加わり、パワーアップした師弟トリオ相手に完敗を喫してしまった。メンバーの戦力差があったとはいえ、好き放題にやられてしまった印象は拭えない。
「災厄の力思い知ったかしら。」
第4戦…シングルマッチで巻き返しを狙った越後であったが、十六夜のカラミティボムの前に3カウントを奪われ完敗を喫した。
「くっ…」
「…貴女の正義の力など災厄の力の前には無力。」
うーん越後はなかなか結果が出ないな。
「オーホッホッホ、これが私の実力ですわ。オーホッホッホ!」
市ヶ谷のいつも以上の高笑いが場内に響き渡った。なにしろ、ビューティスペシャル(高貴かつ華麗なる裏投げ)で小鳥遊から完璧な3カウントを奪ってみせたのだから、高笑いにも熱が入ろうというものだ。
「女王から陥落して以降負けが増えてきましたね。」
小鳥遊は第1戦・第2戦のタッグ&6人タッグで、現MAX WIND女王である南に2戦ともフォールを奪われている。
「…社長が気づいているかはしりませんが…小鳥遊は衰えを見せ始めています。」
「衰え?」
「ええ。年齢的なものでしょうな。今まではできていたものができなくなりはじめている。今はわずかな綻びにすぎませんが、いずれ大きな影響を出すようになるでしょう。」
ダンディさんの顔は真剣そのものだった。
「砕け散れえっ!!」
小鳥遊がコーナーから飛んだ。
「ぐうううううっ!」
強烈な飢餓地獄が決まり、南は腹部を押えてうめき声をあげていた。
「もう一丁いけっ!」
「ワンモア!」
パートナーの祐希子とコーディが同時に指示を出す。
「いくぜえ!」
小鳥遊はもう一度飢餓地獄…ダイビングフットスタンプを南の弱った腹部へと突き刺した。
「あああああっ!」
女王南、さすがにこれは返せず3カウントが入った。
「しゃあああっ!」
勝利した小鳥遊が吠えた。それはまだ終わらない、終わらせない!というメッセージと私は受け取った。
「小鳥遊はまだ終わっていませんよ。」
「そのようですな。だが覚悟はしておいてください。そう遠くない将来…小鳥遊はリングを去るのです。お忘れなきように。」
今日の動きを見ている限り、衰えたとは私には思えなかった。
最終戦
現在スカイブルーのリング上では軍団闘争と世代交代という二つの戦いが交錯している。
最終戦らしく、その両方の要素を含むカードを2つ用意してみた。そのどちらも“クール&ビューティ&エレガント”として活動している市ヶ谷と北条が、下の世代の挑戦を受けるもので、北条は桜崎と、市ヶ谷は越後との対戦になる。
「くっ…」
北条の顔に焦りの色が浮かんでいた。
「こちらから参ります!」
桜崎はメイデンストレッチで北条のスタミナを奪う。
「…この程度っ!」
北条はなんとかロープへ逃げた。
「ブレイク!」
トニー館レフェリーの合図で桜崎はさっと技をといた…珍しくクリーンなブレイクだな。
「これで終わりです!」
やはり罠だったか。クリーンブレイクに油断した北条が無防備に立ちあがった瞬間…桜崎の萌える裏拳“萌拳”が北条の顎を的確に打ち抜いていた。
「14分57秒、萌拳からの体固めで勝者メイデン桜崎!」
十六夜の元で身につけたインサイドワークが勝利の要因といえようか。
「なんてことだ!」
北条は歯噛みするがもはや後の祭りであった。
「うおおおっ! 天空ゥ剣!」
越後の正義パワーのこもった右ハイキックが市ヶ谷のテンプルを打ち抜いた。
「…その程度ですの?」
しかし市ヶ谷は身じろぎもせず、越後をギロリと睨みつけた。
「手ごたえあったのに…うぐっ…」
呆然とする越後の喉を市ヶ谷が掴んだ。
「私の前にひれ伏しなさい!」
市ヶ谷の強烈な喉輪落とし…素敵な麗華様が炸裂しそのまま3カウントが入った。
「…なかなか楽しい試合でしたが、まだまだですわね。その程度の実力ではこのビューティ市ヶ谷は倒せませんわよ。オーホッホッホ!」
越後の実力もついて来ているのだが…まだまだ市ヶ谷のレベルまでは届かようだ。
「くそ~っ!」
越後は今月かなり悔しい思いをしただろう。これを糧としてより高みへと飛翔してもらいたいものだ。
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