NEW WIND社長風間新 手記より。
※サバイバー1版のリプレイの設定を使用していますが、これはリプレイではありません。
※サバイバー1版のリプレイの設定を使用していますが、これはリプレイではありません。
「レフェリー、反則だっ!」
セコンドの声が飛ぶが、その瞬間を見ていなかったDENSOUレフェリーにはどうすることもできない。
「…………」
無表情だった須永の顔に突然笑みが浮かんだ。いつも私の横にいるときの穏やかな笑みとは違う、不気味な笑み……そしてもう一度右手が振り上げられる。
その手は掌底の構えになっていたのだが、今度はレフェリーの目の前でギュッと硬く握られる。
「須永、パンチはNOだぜ~~!」
だがレフェリーの制止を無視し、須永は思いっきり拳を振りおろした。
「BOOOOOOOOOOOO!!」
今日一番のブーイングが巻き起こるが、須永はまったく構うことなくまたも拳を振り上げた。
「やめろ、須永! 反則だ!!」
そう確かに反則だ。だが、5秒以内の反則は反則ではない。三度振り下ろされる拳。
「トオッ!」
ミスターDENSOUレフェリーは軽やかにとび上がると、須永の顔面にドロップキックを叩きこんだ。
「おおおおおおっ!!」
まさかのレフェリーの動きに場内が沸きに沸く。
「いいぞDENSOU!」
「さすがDENSOUだぜ!」
「DENSOU! DENSOU!」
DENSOUレフェリーはマスクの鼻を直し、照れを隠した。
「…………」
レフェリーのドロップキックで吹き飛ばされた須永は、ヘッドスプリングで立ち上がると、ダウンしたままのみぎりに背を向け、DENSOUレフェリーに近づいていく。
「HAHAHA! おイタがすぎるぜ、ミスター。俺は自分の仕事をしただけだ……だから……」
必死に抗弁するミスターDENSOU。
「ダンディさんならともかく、スーパーヒールには通用しないぞ。どうするDENSOU?」
私はなぜかわくわくしていた。
「HEY、HEY。よせよミスター。わかってるだろう? HAHAHA……ぷわっ!」
緑色のマスクのDENSOUレフェリーの顔面……いやマスクが紫色に染まった。
「「毒霧!?」」
武藤とマスターシュ黒沢記者が同時に驚きの声を上げた。
「うわー目が見えない~~~~!! それにくせええ~~~!」
こういうときでも声にビブラートのかかるミスターDENSOU。その腕を掴むと、須永は鮮やかなサイクロンホイップで放り投げた。
バンッン!
レフェリーも受け身の練習はしている。この程度の技ならなんとかなるだろう……とはいえ痛いんだが……。
「ぐわっ! 背中が~~~っ!!」
のたうちまわるミスターDENSOU。
「BOOOOOO!」
ちょっと遅れたブーイングが飛ぶ中、須永の肩を掴む者がいた。
「須永~~~~っ!!」
顔を真っ赤に腫らしたみぎりが須永の顔面に拳を叩きこんだ。
「いいぞ、みぎり~~~~!!」
大歓声が湧き上がる。みぎりにしては空気を読んだ行動だな。
「今のはDENSOUさんの分です。そしてっ!!」
膝をガクガクと揺らす須永のボディにもう一発拳を叩きこんだみぎりは、須永の体を超高層ボディスラムの体勢に担ぎあげた。
「これでフィニッシュですっ!!」
ズダダ~~ン!!
約2メートルの高さから叩きつけられる、大空みぎりのフィニッシュホールド”超高層ボディスラム”が完璧に決まった。
「フォール!!」
みぎりはドンッ! と須永の上にのしかかり、両腕で須永の肩を抑え込む。
「フォール!!!」
みぎりはもう一度叫んだが、カウントは入らない。
「DENSO~~~!」
「レフェリー、カウントだ、カウントー!!」
セコンドがバン! バン! とエプロンマットを叩き、ダウンしたままのDENSOUレフェリーに覚醒を促す。
「うううっ……」
まだ視覚が戻らないのか、DENSOUレフェリーは這うようにみぎり達に近づき、なんとかカウントを取り始めた。
「ワ~ンッ! トゥ~~!! スリ」
プシュッ!
カウントスリー直前で須永の口から紫色の霧がみぎりの顔面に浴びせられ、みぎりはたまらずフォールをといてしまった。
「ああっ!!」
上手い……。
視界を奪われ、リング上で彷徨うみぎりを残し、須永はトップロープを掴んでジャンプしさっとエプロンへと着地してみせた。
「まさかっ? あれをやるつもりなのか?」
私は須永の動きからその意図を察し、驚きの声を上げた。
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