このお話はもう一度あの日のように~再会~後のNEW WINDを舞台にしています。
私はNEW WIND19期生として入寮しました。
「佐久間理沙子よ。よろしく。」
どう見ても同い年には見えないほど大人の魅力を持つ理沙子は、会社の方針でデビュー時にはパンサー理沙子のリングネームを与えられることになる。
「よろしく。岩城彩菜です…」
「どうしたのかしら?」
「うーん…同い年だよね?」
この私の問いに理沙子は顔をしかめた。
「そ、そうよ。あんまりそういうこと言わないでくださるかしら。結構気にしているのよね。」
理沙子はそういって顔に手をあてた。その仕草もドキッとするほど色気がある。
「あ、ご…ごめん。」
そうかコンプレックスだったのかあ。でも本当に大人っぽいよなあ。
「あの、同期の方デスか?」
おそるおそる顔を出してきたのは…褐色の肌の美少女だった。
「19期生は3人って社長から聞いていたけど、あなたがそうなのかしら。」
「外国人?」
「はい。ブラジルから来まシタ。”ディアナ・ライアル”デス。よろしくお願いシマス。」
流暢な日本語で挨拶をするディアナ。
「よろしく、岩城彩菜デス!」
あっ!ちょっと口調が移ったかな。
こうして19期生として入寮した私たちはダンディ須永さんの指導のもとプロレスラーとなるために必死で練習に励むのです。
「ふむ。3人ともブリッジワークがいいですな。」
「ってことはどういうことですか?ダンディさん。」
「風間社長…あなたならわざわざ言わなくてもおわかりでしょうに。投げ技の素養が高いってことですよ。」
ダンディさんと社長がそんな話をしているのが聞こえた。
これは私も思っていたことだけど、理沙子もディアナも投げがうまいんだ。
私も一番自信があるのは投げ技だったから、私たちは3人ともお互いに負けないように切磋琢磨していた。
「ではデビューを間近に控えている3人に私がフィニッシュホールドを授けましょうかな。」
ダンディさんにそう言われ、私たちはリングの上にあがった。
「では3人にお手本を見せます。風間社長よろしいですかな。」
ダンディさんに促され風間社長がリングに上がった。
「では風間社長が今からデモンストレーションをしてくださいます。これをよく見て自分のものにしてください。」
私たちは意味がわからず戸惑った。”社長がデモンストレーション????”という疑問符が3人の頭に飛び交ったのだった。
「いきますよ!ダンディさん!」
「いつでもどうぞ!」
風間社長は素早く距離を詰めるとダンディさんの懐に飛び込んだ。
「はやいっ!」
「嘘でしょう?」
私たちは驚きを隠せない。だが風間社長は素早く両腕をダンディさんの胴に回すと鮮やかなフロントスープレックスで投げ飛ばした。
「すごいデス。」
「フロントスープレックス…」
「さすがですな風間社長。いい切れ味ですよ。」
そして私たち3人はそれぞれフロントスープレックスを徹底的に教え込まれることに。
「まずは基本となる形を完成させる。そのあとでオリジナリティを加えるのです。」
私たち19期生の3人はそれぞれオリジナル要素を加えたフロントスープレックスを身につけ、デビューの日を迎えることになるのです。
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