あえて第0試合としたのは、この試合はNEW WINDの正式な試合ではないということだ。
さらに対戦相手を務める大空みぎりはNEW WINDの所属選手ではない。つまり村上姉妹にはNEW WINDのリングに上がるだけの実力がないというメッセージが込められているわけだ。
NEW WINDの会場で行われる試合ででありながら、これはNEW WINDではないという空気を作り出すことにより、スカイブルーのマットの秩序を保とうという意思がはっきりとみえるカードだ。
そしてジャック・カザマーこと風間社長をパートナーとすることで実質この試合は2VS1のハンデキャップマッチということになる。つまりとことん村上姉妹を下に見たカード編成といえるだろう。
これを受けたマスコミは大きくこのカードを取り上げるだろう。NEW WINDではないと区別をしているのにも関わらず話題作りには利用するという巧みなマスコミ操作。
これが風間新の真骨頂といえるだろう。
「くそっ!あのくそジジイ!ふざけたカード組みやがって!」
「くそ~~風間の野郎、舐めやがって~~!!なにがジャック・カザマーだ!」
村上姉妹は発表されたカードを見て怒りに震えていた。
「こうなったら風間の野郎をボッコボコにして血祭りにしてやるよ!」
「あたしらを馬鹿にした報いは受けてもらうからな。」
村上姉妹は闘志を燃やした。
「あの姉妹は今頃は怒り狂っているでしょうな。」
「でしょうね…ところでダンディさん。」
風間社長は思案顔である。
「なんでしょうかな?」
「あの姉妹相手に大空を使ってよかったんでしょうか?かなりの確率で流血戦になりますが。」
村上姉妹は試合中に凶器を多用する。
「大丈夫ですよ。それに多少はそういう経験も積ませないとなりませんからな。今後の成長のために。」
キラリとダンディ須永の目が光る。
「それよりも…」
「それよりも?」
風間社長はダンディ須永の言葉を待った。
「社長はご自分の事を心配されるべきではないですかな。流血の覚悟は必要ですぞ。ふふっ…」
「…確かに。」
風間社長の顔が青ざめる。
「まあ血はいっぱいでますがね、あんまり痛くはないものですよ。ふふふ。」
「…楽しんでませんか?ダンディさん。」
「もちろん。いろいろな意味で楽しみにしていますよ。」
「………」
タッグワークに長け、実績十分のタッグ屋村上姉妹。
この凶器をも使いこなすヒールタッグに対するは、圧倒的なパワーを誇る須永プロレス塾の大空みぎり。
彼女のナチュラルパワーはまさに規格外。そのパワーで村上姉妹を粉砕するのか?それとも凶器の餌食となり血の海に沈むのか。
そして最大の注目ともいえるのは、これがリングデビューとなるご存じ風間新社長の戦う化身”C・H・U”のジャック・カザマー。
ジャック・カザマーがどのようなパフォーマンスを見せるのかにも注目が集まる。
ストロングスタイルを中心としていたスカイブルーのリングに新たな風を吹きこむ、第0試合。この新たなる試みがどのような化学反応を起こすのか。
「この試合…見逃すわけには行かない…」と伝説の一期生伊達遥も大注目!!
次回のNEW WINDを見逃すな!!
~第1部 完~
PR