NEW WIND社長 風間新 手記「新たなる夢のはじまり~飛翔編~」より
※こちらはレッスルエンジェルスサバイバー2のリプレイとなります。
旧作版NEW WINDとはお話上のつながりはありませんが、登場人物などは一部同じものを使用しています。
第2WIND IWWF認定世界ジュニアヘビー級選手権試合 真壁那月デビュー戦
この試合がNEW WINDデビュー戦となる5期生の真壁。なんとデビュー戦でIWWFジュニアへ挑戦という破格の待遇である。しかもNEW WINDの本拠地福岡で最大の会場…九州ドームでのデビュー戦だ。
「ク、クール&エ、エレガントでや、やってくるわよ。」
クールぶってはいても真壁はガチガチに緊張しているようだ。まあそれもいたし方ないだろう。
「…ずいぶん緊張しているようね。」
声をかけたのはダンディさんとともに真壁の指南役を務めている南であった。
「み、南さん…」
憧れの先輩の登場にさらに固くなる真壁。
「…デビュー戦といってもあなたはすでにリングデビューは果たしているわ。いつもよりもちょっとお客さんが多いだけ。クール&エレガントを心がけていれば問題ないはずよ。」
「は、はい!」
実は真壁はダンディさんの意向で観客数50人程度の道場マッチ(通称ガレージマッチ)であったり、ノーロープで低反発マットの上で行われる“スカイブルーリボン”と呼ばれる試合形式でのデビューは果たしている。
すでに実績も積んでおり、今回のドーム大会がスカイブルーのリングへのデビュー戦となるだけだ。実際昨年の新人賞にも選ばれたのはこのガレージマッチなどでの実績を考慮されてのことだった。
「やああっ!」
王者シュウ・メイファが果敢に攻め込む。ヘッドバットとドロップキックでペースを握ると、ローキックで真壁の足を止める。
「イヤッ!」
「!」
真壁は鋭いバックステップでキックを回避すると素早くメイファの懐へと飛び込みエルボーを打ち込んだ。
「シュウ!」
「この程度っ!」
メイファのローキックを堪え、真壁は張り手でお返ししてみせる。
「グッ…」
しかしメイファにも王者の意地がある。すぐさまドロップキックで反撃!
「まだっ!」
真壁はドロップキックを受けても倒れず、目の前で受身をとったメイファの右腕を南直伝の脇固めで固めた。
「ぐあああっ…」
これは効いたようで、メイファはうめき声を上げながら慌ててロープへと逃げた。
「ブレイク!…だよ。」
DENSOUレフェリーに言われるまでもなく、真壁はエレガントに技を外した。見事なクリーンブレイクにパチパチパチと拍手が送られる。
「いくわよっ!」
真壁はアピールを入れてから強烈なタックルでテイクダウンを奪い、すかさず基本の押さえ込みに入ったが、これをメイファはことごとくカウント1で撥ね退けてみせた。
「くっ…」
真壁の顔に若干の焦りの色が見える。
「ふむ…ここからどうしますかな。」
真壁はやや大ぶりのエルボーを繰り出したが、これは案の定メイファによけられてしまい、逆にメイファに反撃のチャンスを与えてしまった。
「イヤッ!」
「タアッ!」
ここからメイファが逆襲に転じ決めにかかるが、真壁はなんとかこれをしのいでみせた。
「クール&エレガント!」と叫んだ真壁が繰り出したのは、エレガントさすら感じさせるしなやかなフォームからのエルボーだった。その一撃は的確にメイファの顎をとらえていた。
「フォール!」
真壁は片エビに固めフォールを要求。
「OKだよ!」
DENSOUレフェリーが楽しそうにカウントをとる。
「ワン…トゥ……スリー!!」
カン!カン!カン!真壁の勝利を告げるゴングが打ち鳴らされた。
「ただいまの試合は16分26秒、クール&エレガントエルボーからの片エビ固めで真壁那月選手の勝利!」
「きゃ~っ!やった~~~!!」
真壁は両手をあげてぴょんぴょんとジャンプする。
「…コ、コホン。これくらい当然ね。」
真壁はクール&エレガントを目指す自分を思い出し我に返った。
「おめでとう。」
真壁の腰にIWWFジュニアのベルトが巻かれる。
こうして真壁那月はスカイブルーマットデビュー戦でIWWFジュニア王者に輝くという快挙を成し遂げたのであった。
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