NEW WIND社長 風間新 手記「新たなる夢のはじまり~飛翔編~」より
※こちらはレッスルエンジェルスサバイバー2のリプレイとなります。
旧作版NEW WINDとはお話上のつながりはありませんが、登場人物などは一部同じものを使用しています。
☆IWWF認定アジアヘビー選手権試合
九州ドーム大会の余韻の残る5月シリーズ第5戦。そのメインイベントに組まれたのは、ロイヤル北条が保持しているアジアヘビーの初防衛戦だった。
「私がメインですか?」
この北条の言葉には、“醜態をさらしたばかりですが…”という響きが感じられた。
「当り前だろう?このベルトの歴史的な経緯及び権威については私よりも詳しいはずだが。」
「それはそうですが…」
「なら胸を張ってメインのリングに上がってくれ。相手は小鳥遊だからね。」
「…!」
北条の瞳に輝きが戻る。やはり何年経っていても北条にとって小鳥遊は気になる相手らしい。
「どうやらやる気になってくれたようだな。」
「…初防衛の相手がガルム小鳥遊ですか。さすがは風間社長…やってくれますね。」
北条と小鳥遊のタイトルマッチをアジアヘビーを賭けてやることになるとは旗揚げの時には思ってもみなかったな。
ずっとNEW WINDを応援してくれた人ならばこのカードの持つ重みを理解してくれるだろう。
そして試合当日…有明スポーツアリーナは2万1千人(超満員札止)のファンが押し寄せた。これはこのカードを待ち望んでいたファンが大勢いたという証明だろう。
「ただいまよりアジアヘビー選手権試合60分1本勝負をはじめます。青コーナー“地獄の番犬”がるむ~たかな~し~~!!」
「ガルさ~ん、やっちゃってくださ~い!」
「ガルム~~!!」
「やっちまえ、たかなし~っ!!」
野太い声援が飛び交う。
「赤コーナー、アジアヘビー&NJWP2冠王者、ロイヤル~ほうじょ~う!!」
「さきさま~~~!」
「北条さま~~~!!」
こちらは対照的に黄色い歓声ばかりである。
「いけ~北条さん~~!!」
と思ったら、最後に男性の甲高い声が飛んだ。これは、最近は都内の方が便がよくなったという話を聞いた、ロイヤル北条ファンクラブ“ビーダッシュ”の会長の声だろうな。
「レフェリー、トニー館!」
「トニー!!」とファンが一斉に声をそろえる。岩城も考えたけどこのカードに関してはトニーの方が適任だという意見が多数を占めトニーがメインをさばくことになった。。
「OK、GO!!!」
ゴングと同時に北条はショルダータックル!
「効くかっ!…うぐっ」
体格的にタックルの効果は薄いと思ったが、北条はすぐにスリーパーを極めスタミナを奪いにかかる。
「そんなものっ!…ぶっ!」
小鳥遊が振り解いたところへ強烈な張り手!さらにエルボーで追い討ちをかける北条。
「しゃらくせええっ!」
だが小鳥遊はひるまずに北条を引き倒し、その場飛びのフットスタンプで北条の動きをとめてから助走つきのフットスタンプ!!
「しゃあああああっ!」
さらにギロチンドロップを叩き込むと馬乗りになってチョップを連打。
「くっ!」
北条も反撃をするが、小鳥遊の体重を乗せたハンマーブロー連打で大きなダメージを受けてしまった。
「よっしゃいくぜっ!」
「甘いですね!」
北条はスリーパーからパーフェクトキックへとつなぎ小鳥遊を追いこむ。
「きかねええよっ!」
小鳥遊の重いハンマーが打ちおろされる。
「こっちのセリフです!」
掌底で反撃する北条。
「だからきかねええっ!」
喉へのチョップで反撃する小鳥遊。
「ならばこれで!」
助走をつけてのジャンピングニーアタック!
「いきますよ!」
さらには小鳥遊の巨体を持ち上げてパイルドライバー!!」
「まだまだっ!」
さらには高貴なるバックドロップ!!
「なろおお!」
しかしさすがは小鳥遊。フォールを許さずまたも重いハンマーで北条の動きを止めにかかる。
「…ハアアアアアッ!」
北条はこれを堪えると、ジャンプして小鳥遊の顔面を蹴りとばした。
「ここでロイヤルスラッシュですか!」
「決まりますかな?」
タイミングとしてはバッチリだったが、小鳥遊はカウントを許さず立ち上がった。
「しぶといですね!」
北条はもう一度ロイヤルバックドロップを狙う。
「ぬおおおおおおおっ!」
これを小鳥遊は体重をかけてプレス。女子プロレスで最も重い選手のプレスを受けた北条の動きがとまった。
「決めるぞ!!」
小鳥遊はコーナーへと昇ると、珍しくダイビングギロチンを繰り出した。
「フォール!!」
「ノー!!!」
北条はカウント1も許さない。
「この試合パーフェクトに決める!」
伝家の宝刀…ロイヤルDDTが完璧に決まった。
「ワン…トゥ…」
トニー館レフェリーが首を左右に振った。
「スリー!!!」
アジアヘビー王者ロイヤル北条が、ガルム小鳥遊の挑戦を退けて初防衛に成功した。
「勝った!」
両腕を突き上げる北条に大きな拍手と歓声が降り注いだ。
「…旗揚げ前…私はこういう光景を思い描いていたんだよな…」
私は思わず呟いていた。
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この瞬間をどれだけ待っていたことか。
北条さん、あんた今、さいこーに輝いてるよ!!
当初の目論見がここに来てようやく成立しましたね。
ここまで長かった・・・(笑)