「担ぐんだ。さっさと担ぐんだよ。」
ヤサグレ社長秘書がヘタレ社長を蹴り飛ばす。
「は、はあ。ぐっ重い…」
「おら、てめえの大事な遙なんだよ、大事なんだろ?ちゃんと運ぶんだよ。」
ヨタヨタとしながらも伊達遙を担いで退場していくヘタレ社長とヤサグレ霧子。
「…ヘタレ社長とヤサグレ社長秘書か。噂どうりですな。」
ダンディ須永は苦笑する。
「いいコンビではあるけどねえ。」
「ライトニングエッジと呼ばれた井上霧子もいまやヤサグレですからな…過去を知る者としては少々複雑ですぞ。」
「なるほどね。昔はヘタレ社長が暴走しそれを止めるのが秘書の役目だったとは聞いているが…今や逆のようだな。」
「ヘタレ、ヘタレと呼ばれていますが、あそこの団体は侮れませんぞ。今日出てきた伊達遙の中で最強の数字を誇ったのは紛れもなく、東洋女子の伊達遙でしたからな。」
「1590か…まともにあたっていたらどうだったかわからんな。」
「苦戦は免れなかったでしょうな。」
「ひかる…社長…」
「よかった、どうやら気がついたようだな。」
「ひかるさんが資格を持っていてよかったですね。」
「本当だよ。」
「ともかく、今日はお疲れ様。このあとはよこ川ですよね、社長?」
「だな。」
SPZのメンバーは伊達遙を気遣いながら、打ち上げ会場へと移動していった。
「SPZか…」
「歴史の長い団体ですからな。侮れませんぞ。」
「さあ、帰ろう。一番星へ。」
動けない一番星伊達遙をお姫様だっこで抱え上げる一番星社長。
「…しゃ、社長…」
恥ずかしそうに頬を染める伊達遙。
「さ、行こう。」
二人の後を井上霧子、真田美幸、近藤真琴が続く。
退場していく一番星プロレスのメンバーたちに大きな拍手が送られる。
「社長、忘れ物だ。」
その行く手に風間新が立ちふさがり、一番星伊達遙の体の上にFSPのベルトをそっと置いた。
「風間…社長」
「…いい選手を育てたものですね。また会いましょう。」
風間はそういって自らの大事な所属選手である伊達のところへと足早に向かっていった。
「…ああ、またな…NEW WIND」
試合前には舌戦を繰り広げた両社長であったが、お互いに認め合うことができたようだった。
戦い終わればノーサイド。また一つ新たなる歴史が刻まれようとしていた。
「HAHAHA!いい大会だったな。ま、この俺のレフェリングあってのことだけどなHAHAHA!さて、伊達遙に負けないように、帰ったらうちのコバでも鍛えておくか。」
謎の覆面レフェリー、ミスターDENSOUはそう呟いて、自分の団体(田宗女子プロレス)へと戻っていった。
”FSP世界ヘビー級選手権” 一番星プロレス VS NEW WIND 完
出演
☆一番星プロレス
伊達遙 (FSP世界ヘビー級王者)
一番星プロレス社長
井上霧子
真田美幸
近藤真琴
☆東洋女子プロレス
ヤサグレ霧子
伊達遙 (レーティング1590)
ヘタレ社長
☆SPZ(スーパースターズプロレスリング・ゼット)
伊達遙
今野社長
井上霧子 秘書
小川ひかる
☆ROA(Ring Of Angels)
伊達遙
草薙みこと
☆新世紀プロレス
社長
伊達遥
ラビ
☆NEW WIND
伊達遙
風間新
ダンディ須永
南利美
永沢舞
トニー館
☆田宗女子プロレス
ミスターDENSOU
※なおミスターDENSOUのイラストは、GUYさんが描かれたものです。
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