「これでよかったんですかね?これじゃうちの遙クンは何のために…」
「バカヤロー、これでよかったんだ、よかったんだよ。これでまた夢をみれるってもんだよ、見れるよな?」
東洋女子社長…通称ヘタレ社長が秘書に言いくるめられている。
「これでよかったんだよね。」
「そうですよ、今野社長。」
井上霧子は優しく微笑んだ。
「そうだよね、SPZキックを見せることもできたしね。」
今野社長はウンウンと頷いた。
「王座は防衛か…」
「よかったですね、社長。我が団体の至宝の流出は避けられました。」
「負けるはずはなかったからなあ…でもホッとしているのは確かだが…」
一番星社長は懐からシルクの長手袋を取り出した。
「なんですか、それは?」
「頑張ったご褒美に遙クンに…」
「やれやれですな。」
「それにしてもオールスターでの大きなイベントになったものだ。」
「そうですな。プロレスファンの間で話題になっていた夢のカードが実現したわけですからな。私もワクワクしてみていましたよ。」
「だな。またいつか見てみたいものだね。今度はちゃんと決着をみたいね。」
風間と須永は頷きあった。
伊達遙VS伊達遙の夢の対決。夢の続きを見てみたいものである。
「…出損ねた…」
「あれだけの乱入者がいましたから…これはしかたありませんね、遙さん。」
「…そうだね…」
花道の奥からリングを見つめていた5人目の伊達遙は、草薙みことと短い言葉を交わした。
「さ、帰りましょう。」
「…そうだね。」
「帰ったら大仕事が待っています。」
「うん。エボリューションとの5VS5だね。」
5人目の伊達遙と草薙みことはリングに背を向けて会場を後にした。
「あれは…ROAの…」
「彼女たちも来ていましたか。」
風間と須永は二人が見えなくなるまで見送っていた。
「ROA VS エボリューションか。見逃すわけにはいかないな。」
「ふふ…そうですな。いよいよクライマックスですからな。」
「うちは出なくてよかったんですか?」
「新世紀は”レッスル離れ小島”だからね。このような大舞台は…ね。」
「…出てみたかった。」
「いずれチャンスはあるだろう。その時こそ新世紀プロレスの凄みを見せ付けてあげよう。」
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せっかくだったのでレフェリーさんかヘタレ社長でも足蹴にしたいところでした…。