NEW WIND社長風間新 手記より。
※サバイバー1版のリプレイの設定を使用していますが、これはリプレイではありません。
※サバイバー1版のリプレイの設定を使用していますが、これはリプレイではありません。
◇X年目11月◇
NEW WINDの年内最終興行といえば、普段では見る事の出来ない対戦カードや、サプライズな企画が用意されることが常だ。
「今度は何がくるのかな?」
そのようなファンの声が11月も終わりに近づくと、私の元へも届いてくる。
「社長、今年はどんなカードにするんですか?」
2代目社長秘書の武藤めぐみがストレートな質問をぶつけてくる。私はちょっと困ったような笑みを秘書へと返した。
「?」
武藤はその意味がわからなかったのか怪訝そうな顔でこちらをじっと見る。……しっかりしていることはしっかりしているが、まだ前任者のようにはいかないようだ。
前任の井上さんなら、すぐにも察してくれたのだがなあ。人はそう便利にはいかないか。井上さんは井上さんであり、武藤は武藤なのだから。
「私も同じ質問をしようかなと思っていたんだよ。ということは武藤にはアイディアはないという事になるな」
「そういうことでしたか。確かにアイディアはないですね」
南と伊達の再会試合を思いついた武藤ならいい案があるかなと思っていたのだが、そうアイディアが簡単に浮かぶものでもないか。
「所属選手同士のマッチメイクはほとんどやっているからな……」
「かといって他団体に派遣を求めるのは趣旨に反しますしね」
他団体に協力を求めたところで、そうそう面白いカードにはならないだろう。
「これがヘタレさんのところだったら、”やさぐれ霧子さん VS ヘタレ社長”とか出来るんですけどね」
「ははは、それは注目のカードだな。後楽園プラザくらいなら簡単に埋まるだろうよ」
私はやさぐれさんの強力なキックにヘタレ社長が吹き飛ばされる光景を思い浮かべた。
「もっとも勝敗は目に見えていますけどね」
武藤はクスクスと笑いだす。
「だな。まず100%ヘタレ社長の負けだろう」
「ふふ、そうですね。でも、あの人はアレでかなりシブトイですからねえ。もしかするとドローになるかも?」
「はは……勝敗が読めていたとしても、ファン感謝デーならメインイベントだろうな。もし勝敗が読めなければもっと……」
私はここで言葉を止めた。
「社長? どうかしたんですか??」
武藤は突然黙りこんだ私を心配そうな瞳で見つめた。
「通常ありえないカードで……それが勝敗が読めなければ面白いんだよ。ふふ……これだ!」
……この瞬間私の脳裏に一つのカードが浮かんでいた。
「社長?」
「今度の目玉カードは……大空みぎりVSダンディ須永だ!」
「ええっ!?」
武藤は瞳を大きく見開き、口をポカンと開けていた。
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