NEW WIND社長風間新 手記より。
※サバイバー1版のリプレイの設定を使用していますが、これはリプレイではありません。
※サバイバー1版のリプレイの設定を使用していますが、これはリプレイではありません。
「ワンッ~! トゥ~~! ス……」
「おおおっ!」
カウント3ギリギリでみぎりが肩を跳ね上げる。
「ほお……まだ返しますか」
逆さ抑え込みを返されたダンディさんは残念そうに立ち上がる。呼吸はまるで乱れておらず、その顔は15分以上戦っているとは思えないほど涼やかであった。
「ぜえ……ぜえ……」
対照的に大きく肩で息をしながら、みぎりは苦しそうに立ち上がった。
序盤、チョップによる打撃戦やボディスラム合戦など、みぎりの領域で戦っていたダンディさんだったが、10分経過のアナウンスとともに返し技・丸めこみ技を多用するスタイルにシフトチェンジしていた。
前半の戦い方は、若手時代のスタイルで、丸めこみを中心とするのはベテランと呼ばれるようになってからの顔だ。
切れ味鋭く不意をついてくるスクールボーイ、回転エビ固め、スモールパッケージホールド、首固め。さらにはラ・マヒストラル。次から次に繰り出される丸めこみ技の鋭さは芸術品の域に達しており、みぎり達のフィニッシュホールド並みの説得力を持っていた。
その全てをカウント2.9でクリアするみぎりの消耗は当然の結果であろう。
「えいいいいっ!」
不意をついて巨体を翻させ、みぎりのオーバーヘッドキックがダンディさんの鎖骨を打ち砕く。
「ぐっ……」
一瞬の油断を突かれ、大きなダメージを受けたダンディさんはガクリと右膝をついた。
「いきますよおおおおおっ!」
みぎりは助走をつけるとダンディさんの膝を踏み台にして、シャイニングボレーシュート(シャイニング式ミドルキック)を放つ。
「ごあっ……」
大きくダンディさんが吹き飛ばされ、みぎりがそれをカバーしに行く。
「甘いですな」
カバーに来たみぎりの腕と頭をダンディさんは三角絞めでしめあげる。
「ぎっ……ぬうううううううんっ!」
みぎりはそれを堪え、ダンディさんの体を持ち上げ、立ち上がった。
「なっ……」
驚きを隠せない表情を見る限り、この切り返しはダンディさんの頭にはなかったのだろうな。
「いきますよおおっ!」
みぎりは腕を抜くと、頭上でパワーボムのクラッチに切り返し、バイオハザード・ボムを狙う。
「ハアッ!」
ダンディさんはこれをさらにウラカン・ラナで切り返す。
「エエッ?」
驚きの声を上げながらみぎりの巨体が舞い、綺麗なウラカン・ラナが決まった。ダンディ須永のフィニッシュホールドの一つだ。このまま決まる可能性も十分ありえる。
「ワンッ~! トゥ~~! スリ」
「おおおおっ!!」
だがみぎりはカウント2.99で肩を上げた。
「……決まりませんでしたか……」
こう呟いたのを最後にダンディさんの顔から表情が消えた。先ほどまでダンディさんを包んでいた熱が急速に冷え、冷たい……近寄り難いオーラをダンディさんが身にまとい始めた。
「20分経過……20分経過……」
ダンディさんの変化に気付き始めた観客の歓声が小さくなり始め、やがて場内はシーンと静まり始めた。
気がつけば照明も薄暗くなっており……場内には風の音が聞こえていた。
どうやら……ダンディ須永のもう一つの顔が……復活するようだ。
男子vs女子はどう書いて良いかわからんかったけど、みぎりならアリかもですな。
しかしみぎりとダンディさんて10パウンドしかウェイト違わないんすね。
スマートなイメージあったけど、筋肉だから重いのかな?