NEW WIND社長風間新 手記より。
※サバイバー1版のリプレイの設定を使用していますが、これはリプレイではありません。
※サバイバー1版のリプレイの設定を使用していますが、これはリプレイではありません。
ここまでダンディ須永は一貫して、相手が女性であるという遠慮を見せていない。同じプロレスラーとして同等に扱っている。
「リングに上がる以上は、同じプロレスラーですからな。遠慮や手加減は無用ということです。それに、みぎり嬢は高いポテンシャルを秘めている立派なプロレスラーですからな。油断をすると私が負けてしまいます」
事前にそんな事を言ってはいたが、まさかもう一つの顔まで出すとは……。
私はこれからどんな展開になるのかを思い浮かべ、背中を冷たい汗が流れ落ちるのを感じていた。
「向かってこないのなら、こちらかいきますよ~~!」
ダンディさんの先ほどまでとは違う雰囲気・場内の異常な空気をまったく読まずにみぎりは腕を振り上げて突っ込んでいく。
空気を読めないのがみぎりの弱点……「強いけど、プロレスが出来ない」と批評されている部分だ。いつもなら弱点で済むが……今回は致命傷になりかねないぞ。
「ぎゃうっ……」
不自然な声をもらし、みぎりの動きがとまる。
「……」
ダンディさんは無言のまま、2発目となる地獄突きを、みぎりの喉元に打ちこんだ。
「ぎゃうっ……」
みぎりは喉を押さえ3歩ほど後ろによろめいた。
「……これがダンディさんの”種割れ”……ですか……」
マスターシュ黒沢がダンディさんから眼を離さずに呟く。
「いや……”角割れ”じゃなかったっけ?」
秘書武藤めぐみも見たことのないダンディさんの姿に驚きを隠せない。
「やれやれ、好き勝手に呼ぶなよ。……まあ最近のファンの中にはダンディ須永”デストロイモード”なんて呼んでいたりする連中もいるらしいが、あれはダンディ須永ではない。ダンディ須永のもう一つの顔……”スーパーヒール須永英光”だ」
「「スーパーヒール……須永英光!?」」
二人の声が重なりあう。
「そう。ベビーフェイスのダンディ須永とはまったく違う別の顔……悪の化身スーパーヒール須永英光……現役時代には、反則を織り交ぜたヒール要素の強いテクニシャンという感じだった。今宵のスーパーヒールがどのようなファイトを見せてくれるかはわからないが……デストロイモードもとい、スーパーヒールモードのダンディさんは、皆が知っているダンディさんとはまったく違うぞ……」
ごくりと唾を飲み込む音が聞こえたかと思った瞬間「きゃあああああああっ……」というみぎりの悲鳴が、場内に響き渡った。
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