~NEW WIND社長 風間新手記より~
「ついでにもうひとつオマケをして差し上げますわ。この試合、ある程度までは片手を……右腕を使わないで戦って差し上げますわ」
「おおおっ!」
おいおい、本当かよ。
「ずいぶん気前がいいんですね。麗華様」
「ふふ。貴女ごとき左腕だけで十分ですわ」
市ヶ谷は左腕を上げ、ぶんという音を立てて、叩き付けラリアットの素振りをしてみせる。
「いっくら麗華様でも、綾を甘くみすぎだよ。油断大敵って言葉教えてあげるもん」
榎本はぷく~っと頬を膨らませた。
「オ~ホッホッホ。チビ助の癖にいいますわね。教えられるものなら教えてみなさい。オ~ホッホッホ」
高笑いをする市ヶ谷に対し榎本は猛然とダッシュ! 頭から市ヶ谷の腹部へと突っ込んだ。
「がふっ!」
みぞおちに頭突きを喰らい、市ヶ谷の顔が苦痛にゆがむ。
「GO~~!!」
妙に通る声で、ミスターDENSOUレフェリーがゴングを要請、メインイベントの開始を告げるゴングが鳴らされた。
「ていっ! ていっ! ていっ!」
榎本はそのまま頭突きを連打。
「がっ! ぐっ! くあっ!」
市ヶ谷はうめきながらも左腕を高々と上げ、榎本の背中へと勢いをつけた張り手を叩き込む。
バッチ~~~ン!! と大きな音が場内に響きわたった。
「いったああああ~~~い!」
榎本は背中を押さえ、ぴょんぴょんとリング内を跳ね回る。
「不意打ちに対するオシオキですわ」
今日榎本が着用しているコスチュームは、もともとのかわいいフリルつきのコスチュームではなく、市ヶ谷とのタッグ用のコスチューム”リトル・ビューティ”仕様であり、ゴージャス感を出すために背中の部分が開いている。その背中には真っ赤な紅葉がくっきりと浮かんでいた。
「いっつう。麗華様のイジワルっ!」
榎本は顔をしかめながら市ヶ谷に対し逆水チョップを繰り出す。
「あくっ……」
チョップは胸元ではなく腹部へと決まり、市ヶ谷はうめき声をもらしてしまった。
「来るとわかっている技は耐えらますが、今のように予想外の場所へ決められると結構効きますぞ」
「ですよね」
そもそも身長差があるので、榎本のチョップが胸元に届くわけがないのだが。
「綾さん! チョップはここへ打つようと言ったはずですわ」
市ヶ谷は右手で自分の胸元をたたいてみせる。
「う~っ!」
「ここに打ってきなさいっ!」
いや、それは難しいんじゃないのか?
「えいっ!」
榎本は飛び上がってチョップを放つ!
身長差を補うにはいい方法ではあるが……。
ぼいい~ん!
「あふっ!」
榎本のチョップは見事に市ヶ谷のバストトップに炸裂。そびえ立つ立派なモノが大きく揺れ、市ヶ谷は思わずあえぎ声を洩らしてしまった。
「まあ、こうなるだろうな……」
「……先程もいいましたが、予想外のところに決められると耐えられないものですぞ」
確かに市ヶ谷は耐えられなかったようだ。
「あ、綾さん! そんなところを!」
「ご、ごめんなさ~いっ!」
怒りに震える市ヶ谷に対し、榎本はペコリと頭を下げてあやまると見せかけて、そのままスクールボーイ!
「ワ~ンッ~!」
「ぬあっ!」
市ヶ谷は素早く右肩を上げ、フォールを返す。
「ていっ!」
さらに榎本はジャパニーズレッグロールクラッチで丸めこむ。
「ワ~ンッ!」
「ぬんっ!」
これもカウント1で返す。
「も~っしぶといなあ~!」
今度は高等技術のラ・マヒストラル! ダンディさんが榎本にねだられて教えた技だ。
「ワ~ンッ~! ト」
カウント1.88で市ヶ谷はこれを返す。
「この、チビすけ~!」
憤怒の表情で立ち上がろうとする市ヶ谷は”片膝をついて”立ち上がろうとする。
「見逃さないもん!」
榎本は素早くダッシュすると市ヶ谷の腿を踏み台にして、シャイニングピーチ! 小柄なヒップが市ヶ谷の顔面を捉える!
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