このお話はもう一度あの日のように~再会~後のNEW WINDを舞台にしています。
負けはしたけれど理沙子はデビュー戦とは思えない動きを披露し、パンサー理沙子という存在を満員のファンに見せつけた。
「さすがデス。」
「だね。私も負けていらんないよ!」
私は両手でバチンと顔をはたいた。
「よっしゃ!レインボー岩城いっきます!!」
「応援してマス!」
ディアナの声に私は拳をあげて応え、控え室の扉を開ける。
「よっしゃ、いくぞ~~~!!ぶいっ!!」
気合を入れた私は、デビュー戦のリングへと向かった。
「スカイブルーのリングに虹の妖精が降臨。青空に虹が輝く…レインボー岩城入場!」
リングアナの声がして、私のテーマ曲”虹色の青春”が流れ出す。
私は新人らしく全力疾走でリングへと駆け、深々とお辞儀をしてからリングへと上がった。
「がんばれよ~~!」
「応援してるぜ~~!!」
「彩菜~~!!」
「岩城~~~!!」
デビュー前に私は何度か売店の売り子をしたことがある。その時に買い物をしてくれたお客さんの声がいくつかまじっていた。
(先輩たちに比べればわずかな声援だけど、勇気をもらった感じだっ!)
ドキドキが止まらない私に勇気をくれた声援。私はこの声援に応え、瞳先輩との試合に臨む。
「青コーナー……本日デビュー戦、”出身は七色包む虹の国”彩の国埼玉県出身、129パウンド~~レインボーいわ~き~~!!」
丁寧に四方にお辞儀をする私に七色の紙テープが投げ込まれる。
「さあ、いくよ!」
対角コーナーに立つ瞳先輩がそう声を出す。
「はいっ!レインボー岩城!いっきます!!」
カアン!
スカイブルーのリングにレインボー岩城の誕生を告げるゴングが鳴り響いた。
「うおおおおおおおっ!」
私はドロップキックで宙に舞った。
そしてそのあとのことは覚えていない。
ドロップキックが当たったのかどうか、それすら記憶にないんだ。
ただリングに降り注ぐライトの光が眩しかったこと、お客さんの声援がうれしかったことだけは覚えている。
第3試合 NEW WINDネオ・ソウルバトル レインボー岩城デビュー戦 シングルマッチ15分1本勝負
○レインボー岩城(14:23 虹色パッケージ)藤島瞳●
ご覧のとおり私は試合には勝ったらしいけど、頭の中が真っ白で何も覚えていないんだ。VTRで見た感じだと試合序盤の瞳さんの強烈な張り手で意識が飛んだみたい。
ダンディ須永さんにとことん鍛えられたおかげで体は勝手に反応していたようだけど…
最後は瞳さんのフライニングニールキックをスカしてからフロントスープレックスで投げ飛ばしそのまま裏ラ・マヒストラルで丸めこむオリジナルホールド虹色パッケージで瞳さんからフォール勝ち。
まさかまさかのデビュー勝利だったんだけど…なあ。記憶がないからまったく実感がないんだ。
私のデビュー戦は勝利という結果だったけど、いきなり記憶をなくすなんて…という感じだよ。たははっ…
青空をイメージしたこのスカイブルーのリングに虹が輝くにはまだまだ先になりそうだなあ…
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