このお話はもう一度あの日のように~再会~後のNEW WINDを舞台にしています。
瞳さんが出た大きなイベントの一つ目は、なんと新日本ドームでの単独コンサートだった。
歌って踊れてプロレスもできて、さらにモデルもできてしまうスーパーアイドル藤島瞳。
その人気はただ可愛いだけのアイドルなんてまるで相手にならない。新日本ドームを埋められるアイドルなんて、今は藤島瞳だけしかいないのだから。
「みんな~今日はありがと~~!!」
ドームを埋めた大観衆から、大きな声援が湧き上がる。
「ひ・と・み!ひ・と・み!」
「最後にもう一曲歌いたいと思います!」
拍手と歓声がドームにこだまする。
(ホント、瞳さんってすごい…)
私はただ感心するしかなかった。
「…私はアイドルである前にプロレスラーなんですけど…そのプロレスラーとしての私の先輩が映画に出演した時に歌っていた曲です。この曲を最後に歌いたいと思います。」
「おおっ!」
「来週…この場所で私の所属しているプロレス団体NEW WINDの17周年記念興行があります。私も出場するんですけど…」
場内から「観るよ~」という声が飛ぶ。
「ありがとうございます~~その興行で私の大先輩が一夜限りの復帰をします。この歌はその先輩たちと同期だった先輩が歌っていた歌です。実はデュエット曲なんですけど…」
「おおおお?」
「一緒に歌ってくれる、大先輩歌手を紹介しますね。かつてお嬢様アイドルとして一世を風靡した神楽坂ユイナさんです。」
その瞬間、セリを使って一人の女性が上がってきた。その女性は数年前に突如引退し、消息が不明となっていた伝説のお嬢様アイドル神楽坂ユイナ本人だった。これには私もびっくり。
「みなさ~んこんばんは~~~~」
「こんばんは~~~~」
大観衆のこんばんはに思わず私は鳥肌が立った。
「神楽坂ユイナです。ご無沙汰しています。南利美選手と伊達遙選手が一夜限りの復活を遂げるときいて、私も今宵一夜限りの復帰をします。私の大切なお友達…氷室紫月さん。
藤島瞳さんの先輩にあたります。運命の再会を応援するために歌わせていただきます。曲は『月と太陽のおくりもの』…藤島さんとの最初で最後のデュエットでお届けします。」
瞳さんと神楽坂さん…新旧スーパーアイドルの初競演に5万の大観衆は酔いしれていた。
「凄い…」
二人の歌う珠玉のバラードが幸せを運んでいるのが見えた。
「これがアイドルの仕事よ。」
「代表!」
「どう?アイドル藤島瞳は?」
「凄いです。」
「ふふ…でも瞳はこれだけじゃない。一週間後…もう一つの顔を楽しみにしておいてね。それにあの二人が復帰するわけだし…」
もう一つの顔…プロレスラーとしての藤島瞳…か。
「そういえば…佐知子代表って…もしかして…」
私はこの時になってとあるプロレスラーの名前を思い出していた。
「私?もちろん元プロレスラーよ。」
佐知子代表はニッと笑った。
”ラッキースマイルだ!”これで完全に思い出した。佐知子代表はNEW WINDの伝説の一期生ラッキー内田だったんだ。通りでどこかで観たことがあると思っていたんだよなあ。
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