このお話は、スクウェアエニックスから発売されているゲームソフト『ドラゴンクエスト4』を題材にしていますが、設定などはNのオリジナル設定です。
また、大多数に支持されているアリーナ*クリフト(クリアリ)のカップリングではなく、男勇者*アリーナ(勇アリ)を支持した設定になっています。
そのあたりを踏まえた上で続きへとお進みください。
※なお男勇者の名前は「ルーザー」となっています。
5の話を書く時もルーザーですが、これはNのゲームプレイ時のこだわりですのでご容赦を。
また、大多数に支持されているアリーナ*クリフト(クリアリ)のカップリングではなく、男勇者*アリーナ(勇アリ)を支持した設定になっています。
そのあたりを踏まえた上で続きへとお進みください。
※なお男勇者の名前は「ルーザー」となっています。
5の話を書く時もルーザーですが、これはNのゲームプレイ時のこだわりですのでご容赦を。
勇者*アリーナカップリング前提 ドラゴンクエスト4二次創作小説
「気球」
「ねえ、ルーザー」
昼寝をしている天空の勇者ルーザーに、サントハイムの王女アリーナが声をかけた。
「なんだ」
ぶっきらぼうに返すルーザー。眠ってはいなかったが、胸のうちに秘めた想いを隠すためのルーザーなりの工夫である。
「二人で、気球に乗らない?」
アリーナは大きな瞳を輝かせている。
「…なぜ、俺なんだ?」
ルーザーはそう尋ねた。
「…迷惑かな?」
アリーナはシュンとなってしまった。
「いや…迷惑ではないが、何故かとおもってな。お前にはクリフトがいるだろう?」
ややきつめの言い方をするルーザー。
「それはそうなんだけど…クリフトじゃ駄目なの。」
「なぜだ?」
「…とにかく、私はルーザーと二人で気球に乗りたいの。それじゃだめかな?」
ちょっと恥じらいながらたずねる姿にルーザーはやさしい声で「いいだろう」と返事をした。
こうして勇者ルーザーとアリーナは二人で気球に乗り込むことになった。
クリフトやブライに見つからないように注意をしながら…
「気持ちいいね。」
「そうだな。」
ルーザーの言い方はいくらか優しくなっていた。
「サントハイムに行ってみたいな…」
アリーナは呟くようにいった。
「構わないぞ。アリーナの行きたいところに向かって。」
「ありがとう…」
すでにバルザックを倒し、サントハイム城は開放している。だが、まだサントハイム王をはじめとした城の人達はもどっていない。
「なあ、アリーナ。」
「なあにルーザー。」
アリーナの栗色の髪が風になびきキラキラと輝いている。それを見てルーザーはまぶしそうに目を細める。
「…どうして俺を誘った?お前にはクリフトがいるだろう。」
「…どうしてもその答えを聞きたいの?」
「ああ。」
「…わかったわ。クリフトは高所恐怖症だから。」
「…確かにな。」
ルーザーはむっとした声で答えた。
「怒った?」
「いや。どうせそんなところだとおもっていたさ。」
どこかで期待していた自分がバカらしくなり、自嘲気味に答えるルーザー。
「…なんてね。それは口実。ホントはルーザーと二人っきりになりたかったの。」
「!?」
「あっ、サントハイムが見えてきたよ、ルーザー。」
二人の眼下にサントハイム城とサランの町の姿が見える。
「ねえ、ルーザー。お願いがあるんだけど…」
「すでに一つ聞いているぞ。」
気球に乗っていることがそれだといいたげなルーザー。
「こっちの方が本題なの。返事はいまはいいけど、聞くだけ聞いてもらえる?」
「ああ。」
ルーザーはアリーナの瞳をまっすぐ見据えた。
「ありがとう。あのね、ルーザー。平和が戻って、サントハイムにお城のみんなが戻ったらお父様に会ってもらえないかしら。」
やや照れながらいうアリーナにルーザーは驚きの表情を隠せない。
「ど、どういうことだ。」
「…もう。一国の姫が、父王に会わせるといったら……決まっているじゃない。」
「??」
「ホントに鈍いのね。私のお婿さんとして紹介したいの。」
衝撃の発言である。これにはルーザーは驚きうろたえるしかなかった。
「はあっ? お前にはクリフトが…」
(ようやく搾り出した言葉がこれか。)ルーザーは自分を笑うしかなった。
「クリフトが私の事を好きでいてくれるのは知っているけど、私にとってクリフトはおにいちゃんな感じで好きは好きだけど、その好きじゃないの。」
「………」
「私は、ルーザーのことが好き。ルーザーが幼馴染だったシンシアを好きだったこともしってるけど…」
「………」
黙っているルーザーを見てアリーナは耐え切れずに後ろを向いた。
「聞いてくれてありがとう、ルーザー。今は答えてくれなくてもいいから」
「アリーナ、必ずピサロを倒そうな。そして、サントハイムの人たちを…サントハイム王を助け出そう」
「ルーザー?」
アリーナはゆっくりとルーザーの方を向いた。
「その時、アリーナのお願いを必ずかなえてやるよ」
「えっ?それって?」
「俺もアリーナを想っているから…」
ルーザーはそういってアリーナをぐっと抱き寄せた。
「ありがとう。ルーザー。」
二人を乗せた気球はサントハイムを後にして、スカイブルーの空を西へと向かって進んでいた。
二人の未来への新たなる風を感じながら…
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出ました! これぞ嬶天下への端緒とばかりなる情景。互いに奥手を装いながらも実は主導権を女性が握っている。実は色恋沙汰にはとんと苦手な救世の勇者と、勇武の闘姫のしおらしさと押しの強さがよく調和されていると思います。スラスラと読むことが出来ましたが、大事なのは、一度読んでストーリーがすっと頭に入るところなのです。わたしも見習わなければなりません。ありがとうございました。
ちなみに絶対に尻に敷かれるな、この勇者。想像すれば笑みが浮かびます。