「みなみさん! 大丈夫ですか?」
息せき切って道場に駆け込んできた相羽が大きな声で南へ呼びかけた。
息せき切って道場に駆け込んできた相羽が大きな声で南へ呼びかけた。
「別になにもないけど? そんなにあわててどうしたのかしら?」
南は普段とまったく変わらない態度で答えた。
「だって、南さんが坊主になったってきいて……あれ? あれれ? 髪ある……」
相羽は南の姿を見てようやく己の間違いに気が付いたようだ。
「……見ての通りだけど……」
「おっかしいなあ……南さんが坊主になったって、ネットで大きな話題になってたのに」
「……それは別の”みなみ”ね。だいたい髪切りデスマッチなんて、この団体ではやらないでしょうに」
南は呆れ顔だ。
「そっか! そうですよね。アハハハ……」
「まったく。だいたい騒ぎすぎなのよ。ばかばかしい。まったく完璧じゃないわね」
「はあ……でもよかった南さんじゃなくて。南さんだったらどうしようかと……」
相羽はほっとしたようだった。
「ところで、その右手に持っているのはなにかしら?」
「えっ? あっ……その……」
相羽はあわてて背中に隠そうとする。
「あいたたたたた」
だがその前に南に腕を決められ、悲鳴を上げるはめになってしまった。
「!……こ、これは……」
「か、かつらですよ……髪なかったらあれかと思って……美月ちゃんとノエルちゃんが持って行けって……」
「ふ~ん。この波平かつらでどうしろというのかしら?」
「えっ? そんなのきいてない……」
この後道場には相羽の悲鳴が響きわたり、道場の入口では美月とノエルがニヤリと笑うというシーンが展開されることになる。
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相羽の慌てっぷりに計画・便乗する杉浦と白石が可愛い!
と思ってしまうのは、私だけでしょうか…。