NEW WIND社長 風間新 手記より
と書き始めたものの、手が止まってしまう。やはり、人間ブランクというものは恐ろしいものだな。
私は、すっかり感覚の鈍った頭を叩き起こす為に、紅茶を口にした。
「ふう……そう考えると、ブランクを乗り越えてあれだけの試合を見せてくれた南と伊達は凄いよな。文章を書くということだけでも人はこれだけ衰えるというのに、あの二人はプロレスをして見せたんだ。それも単なるエキシビションマッチではなく、新日本ドームのラストマッチを飾る、素晴らしい試合を見せてくれたのだから……」
私は二人の試合の模様を綴った本に目をやった。あの日の二人は、あの頃と同じ……いやそれ以上に輝いていたな。
「社長、お時間ですが」
秘書の武藤めぐみが私を呼ぶ。なんだかその呼び方が、だんだん先代秘書の井上さんに似てきたな。
「社長、何がおかしいんですか?」
こういうめざといところが似ているんだよな。
「いや、なんだもないさ。ただ、武藤を秘書にして正解だったなと思ってさ」
「そうですか? ありがとうございます。最初は私も秘書なんて……って思っていましたけど、やっていると結構楽しんです。そんなことよりも社長、時間ですよ」
「わかった、わかった。紅茶だけ飲ませてくれよ」
私は返事を待たずにカップを口に運んだ。やわらかな香りが私の心を癒してくれる。
「もう。1杯だけですよ」
あきれ顔の武藤だったが、その目は紅茶を欲しがっている。
「お前も飲むか?」
「……はい」
紅茶を飲み終えた私たちは、記者会見の会場へと向かって社長室を出た。
「あー時間ないですよ。急がないと!」
「わかった、わかった」
そういえばデスクに本を忘れてしまったな……。南、伊達……本当にありがとう。
って、これは旧NWだった。適当に書き始めたので、こういう話になるとは思わず。
ちゃんと新NWの感触を思い出そうと思ったのに。とりあえず風間社長視点では書けるということで(苦笑)
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