第3回レッスル駅伝第7区走者 伊達遥のお話。
「勝機…見逃すわけにはいかない!」
伊達遥の瞳がキラリと輝く。これがプロレスの試合であればこの場面で出る技は決まっている。閃光鳳凰弾ことシャイニングフェニックスである。この技は伊達のフィニッシュホールドとして完全に定着している。
しかし今回は駅伝だ。前を完全にとらえた瞬間こそがこのセリフを口にするポイントである。というかその瞬間しかない。
「くうっ!じゃにすゥ!!頑張れじゃにすゥ!」
邪風監督の悲痛な叫びが聞こえる中、伊達はハッスルエンジェルスのジャニスをあっさりと抜き去った。
「じゃにすゥ!」
ジャニスのペースもかなりのものなのだが、伊達のペースがそれを上回った形だ。
「…はあ…はあ…」
スタミナ切れを起こし、スピードが落ちたマッスルテブクローズの橘を抜きさった後で首を捻る伊達。
「…どうして…たすきではなく手袋…なんだろう。」
それは監督の好みなのだが…それを伊達が知る由もない。
「ま…いいか…」
伊達はさらにスピードを上げる。
「いいか…うちは優勝など狙ってはいない。今回は初参加だし、こういうイベントには参加することに意味があるからね。だけど、ハッスルエンジェルス、マッスルテブクローズ、カタラータ・カルパの3チームだけは絶対倒したいと思っているんだ。最後の永沢はどうなるかわからない。エースの伊達の走りにすべてかかっている。」
伊達は風間社長の言葉を思い出していた。
「あとは…カタラータ・カルパ…だけ…」
しかし元々の差が大きかった上に、7区の走者である斎藤彰子の走りは伊達とほぼそん色ないペースであった。最後の最後で30秒ほど縮めることができたものの追い抜くどころか追いつくことすらもままならない状況だった。
「遥さん!早く!ハヤク!」
永沢が大きな声を出す。
「舞ゴメン、あとお願いね!」
「はい!任せてマカセテ!」
永沢は師匠伊達から綺麗にたすきを受け取り走りだした。
「差は3分15秒か…舞…なんとか頑張って…」
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7区については……触れないで下さい。る~るる~(涙)