NEW WIND社長 風間 新手記より
~NEW WIND30万HIT記念特別興行~
※今回のお話は、リプレイの正史ではないため、全員全盛期の力を持って登場します。
ただし、基本的な設定は主に、リプレイサバイバー1版NEW WIND編の設定に準じています。
第8試合 結城千種 VS 永沢舞
トーナメント一回戦最終試合は、NEW WINDきっての投げの名手の対決となる。
結城のこだわりの必殺技バックドロップと、永沢のテキーラサンライズは、どちらもフィニッシュホールドとして認知されている。
どちらの技にもこだわりがあり、そして想いと歴史の詰まった技といえる。
ただ、ファンの間では、永沢のテキーラの方がより、思い入れがあるのでないだろうか。
永沢が師と仰ぐ、伊達から伝授された永沢舞の必殺技。伊達とともに、タッグ王座を奪ったり、師匠越えを果たす際のフィニッシュ技として用いられてきた。
伊達の最後の試合となった引退試合で、涙ながらにテキーラを放ったシーンは、未だ私の心から離れることはない。
「試合時間8分経過、8分経過」
投げ技を得意とする両者にとって、オンリーギブアップルールの時間帯どちらかと言えば苦手な方だろう。
もちろん、関節技や絞め技も使えなくはないのだが、やはりフィニッシャーで決めたいという思いが強いのだろう。
「ふむ。その考え方はこのルールでは危険なのですがね」
そう、ミニッツバイミニッツルールを加えているとはいえ、基本はハイスパート600(10分1本勝負)。短期でねじ伏せるつもりでやらないと、時間切れで両者失格になることはこのトーナメントの結果が示している。
「てえいっ!」
ロープに跳ね返ってくる永沢に二段蹴りを叩きこむが、永沢もさすがにタフだ。倒れずにこらえてみせる。
「てえええええいっ!」
結城はバックロドップのクラッチではなく、サイドスープレックスのクラッチに入ると、そのまま回転させながら高々と持ち上げ、一気にマットへと叩きつけた。
これは結城の得意技の一つである、スーパーフリーク。
「ワン! トゥ! 」
永沢カウント2.5で返す。
「このっ!」
低空ドロップキックで結城の左足を打ち抜き、片膝をつかせると、永沢はいわゆるシャイニングフェニックスを繰り出す。
「そうくると思った」
結城はその蹴り足をキャッチするとキャプチュードで後方へ投げ飛ばす。
「ぐえっ……」
「いくぞーーー!」
結城は右拳を突き上げてアピールすると永沢を引き起こして、バックドロップ!
「もういっちょー!」
さらに急角度のバックドロップ!
「フォール!」
「ワン!」
永沢、結城のバックドロップをカウント1で跳ね返すと、すばやく結城の後ろに回り込んで、バックドロップをお返し!
「決めます、決めます!!」
フォールにはいかず、結城を引き起こすと左手をチキンウイング、右をハーフネルソン気味に固める。
永沢必殺のテキーラサンライズの体勢に観客から大きな歓声が上がる。
「でええええええいっ!」
必殺のテキーラサンライズが完璧に決まった。
「ワン!」
これをカウント1で返す結城。永沢が大きな目をさらに見開いて、信じられないという風に結城を見る。
「ならっ!」
永沢はもう一度テキーラ!
「ワンッ!」
これもカウント1でキックアウト。
「お返しっ!」
結城は本日一番の急角度でバックドロップ!
「ワンッ!」
だが永沢もカウント1ではねのける。
「これは受けの技術の素晴らしさもありますが、なによりもプライドですな」
投げの使い手だからこそ、負けたくないという思い。それがこのカウントで返す理由なのだろう。
二人は、お互いの必殺技をことごとくカウント1で跳ね返し続け、試合終了のゴングが成ると同時に崩れ落ちた。
「ハイスパートルールだからこその試合でしたが、お互い決めきれませんでしたな」
「うーん、やはり時間内で決めてこそなんだがなあ…」
一回戦の後半4試合がすべて時間切れ引き分けとなるとは、正直私の想定外の展開としかいえない。
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