NEW WIND社長 風間 新手記より
~NEW WIND30万HIT記念特別興行~
※今回のお話は、リプレイの正史ではないため、全員全盛期の力を持って登場します。
ただし、基本的な設定は主に、リプレイサバイバー1版NEW WIND編の設定に準じています。
第7試合
”最強の龍”吉田龍子 VS ”史上最凶のお嬢様”ビューティ市ヶ谷
”最強の龍”と呼ばれた5期生吉田龍子は、文字通りNEW WINDの歴史の中でも、最高峰に位置する実力者の一人である。
栄華を極めた諸先輩達から女王の座(MAX WIND)を奪い、また頂点を狙う後輩達を退け続け、ベルトを守り続けた実力は”最強の龍”の称号に相応しい。
総合的な評価なら初代MAX WIND女王である3期生の結城千種を上とするとの声が多いが、純粋なパワーや威圧感では並ぶものはいない。
対するビューティ市ヶ谷は、現在のスカイブルーマットの頂点に立つ選手である。日本人離れしたパワーを持ち、どんなところでも、どんな時でも必殺のビューティボムでフィニッシュを狙うというスタイルで勝ち星を量産している。
同時期にリングにあがることがなかった両者の初対決に、長いこと社長を務めている私自身も心躍るものがある。
「社長もワクワクしますかな?」
「ですね。ダンディさんも、楽しみにしている一戦ですよね?」
ダンディさんの答えを待つまでもない。長い付き合いだ。表情を見ればダンディさんが、どれほど楽しみにしているのかはわかる。
「全力でいかせてもらう」
「……ふん、望むところですわ。ロートルとはいえ、リングに上がる以上は容赦しませんわ」
「生意気な」
睨みつける吉田に対し、市ヶ谷は余裕の笑みを崩さない。
「OK,GO!」
トニー館が右手を振りおろすと同時に、試合開始を告げるゴングがなる。
「らあああっ!」
「ふんっ!!」
そのゴングとともに、両者は鏡写しのようにコーナーから飛び出し右ラリアット! リング中央で激しい衝突音が鳴り響いた。どちらも身じろぎもせず、相手を睨みつける。
「打ってこい!」
「そちらこそ!」
互いに挑発し合うと、二人はほぼ同時にロープへと走る。
「らあああっ!」
「いやあああっ!」
それぞれ時代の頂点に立った二人の剛腕が唸りを上げる。威力はまったくの互角。二人とも倒れずに踏みとどまると、またまた走りこんでのラリアット!
「おおっ!」
これも三度互角。なお、二人はこの後も5度にわたるラリアット合戦を繰り広げるが、まったくの互角であった。
「8発も繰り出して、互角とは」
「どうせなら、とことんやって欲しいところではありますが……」
ダンディさんのコメントはそうはならないであろうことを示している。
「チッ!」
「むんっ」
吉田の袈裟斬りチョップと、市ヶ谷の麗華ハンマー(前腕部内側で相手の顔面を殴りつける技)がそれぞれの右腕から同時に繰り出される。
「ぐっ」
「うぐっ…」
双方ともに想定外の技を受けたため、多少なりともダメージがあったとみえる。
「私は、同時にショートレンジラリアットにいくと思ったのですがね」
ダンディさんも、二人の戦いを楽しんでいる。
「ヤアッ!」
先に回復した市ヶ谷は、吉田の首根っこをつかむと強烈な右の膝蹴りを吉田の腹部へと突き刺す。
「ぐっ……」
呻きながらも、吉田は右の拳を市ヶ谷のボディへと叩きこむ。
「うっ……卑怯な」
「グーは駄目だ!」
トニー館レフェリーの注意を無視し、吉田はさらに拳をめり込ませる。
「フンッ!」
だが市ヶ谷も負けてはいない。何事もなかったかのように、もう一度膝を鳩尾へと突き刺す。
「まだまだあっ!」
さらにニ度・三度と膝を打ちこむとさすがの吉田も耐えきれず、くの字に折れる。
「うぐっ……」
「いきますわよ!」
クイックモーションでビューティーボムがさく裂!
「ワンッ!」
吉田はこれをカウント1で返すと、起き上がりざまに市ヶ谷の首根っこをつかむと右ボディーブローを3発!
「はい、ノー!」
「くらえええええっ!」
レフェリーのチェックを無視して、一気に担ぎあげると、プラズマサンダーボム!
「ワンッ!」
市ヶ谷もカウント1で跳ね返すと、両者は睨みあう。
「試合時間4分経過、4分経過」
気がつけばあっというまに最初の4分は過ぎていた。
「両者互角ですね」
「ですな」
互角の戦いを見せる両者。この試合がどうなったかというと、
結局10分という時間では決着はつかず、時間切れ引き分けに終わってしまった。
どちらもギブアップを狙うことなく、叩き潰すスタイルで大技を出し合い、そして耐えきった両者。
その後の6分で出した技は、最初の4分で出した技に、それぞれ”プラズマサンダースライド”と”素敵な麗華様”とそれぞれ一つずつ加えただけであった。
やはり、この二人の対決に10分は短すぎたか。
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