NEW WIND社長 風間 新手記より
~NEW WIND30万HIT記念特別興行~
※今回のお話は、リプレイの正史ではないため、全員全盛期の力を持って登場します。
ただし、基本的な設定は主に、リプレイサバイバー1版NEW WIND編の設定に準じています。
第6試合 伊達遥 VS ジャスティス越後
ジャスティス越後は、その名の通り、”正義の味方”として活動している。
正義の味方とは、簡単にいえば悪(ヒール)を許さず、弱き者(新人・若手・ケガ人など)を助けるということ。
セコンドの介入があれば、自分とは関係のない試合でも止めに現れたり、新人や若手が試合後にヒール軍に痛めつけられるようなことがあれば、颯爽と登場し、救い出すというのは日常茶飯事である。
同じように正義に燃える熱血漢(女子?)を集めた、正義ユニット、正義戦隊ジャスティス5のリーダーを務めている。
技名にも、正義の味方っぽいネーミングがついており、子供たちにも人気の高い選手で、第二期NEW WIND(サバイバー2版)では主力選手として活躍中である。
また別称として”リングの風紀委員”と呼ばれることもある。
なお正義の名のもとに、竹刀(ジャスティスソード)を使うこともあるのだが、これはもちろん反則。
それを表現した『受けてみろ 正義の竹刀! えっ?反則?』という有名な川柳がある。
VSヒールが一番の輝きの場であり、通常は”S・H・U(スーパーヒールユニット)”との抗争がメインになっている。
VSヒールが一番の輝きの場であり、通常は”S・H・U(スーパーヒールユニット)”との抗争がメインになっている。
今回の対戦相手は、NEW WINDの初期エース、”偉大なる鳳凰”とも呼ばれる伊達遥。絶大なファンの支持を受ける選手であり、どちらかといえば越後の方が悪役になりかねない。
「あっぐうう……」
場外に転がってエスケープした伊達が右足首を抑え、苦しそうに呻く。
「遥さん!」
と、いつもならセコンドの永沢舞が駆け寄ってくるところだが、今日はこの後に試合があるためセコンドにはついていない。
「遥っ!」
駆けつけたのは、同期の南。手に持ったコールドスプレーを吹きかけるが、伊達は苦悶の表情のままだ。
「HEY、続けられるのかい?」
覆面レフェリーのミスターDENSOUが普段の軽い口調のまま尋ねるが、マスクからわずかに見える表情は心配そうである。
「……無理ね」
南は状態をみてそう告げるが、伊達は「……やれる」とそれを打ち消すように応える。
「何を言っているのっ!」
「だって、私はプロレスラーだから……試合しないといけないから……」
伊達は南の肩を掴んでよろめきながらも立ち上がる。
「……社長っ!」
南は私に訴えかけてくるが、本人がやると言っている以上はこの場では止められない。
「……レフェリー、動きを見て、無理だと思ったら止めてくれ」
私はミスターDENSOUを呼び寄せてそう告げた。
「……任せてくれ」
いつもならHAHAHAとここで笑うミスターDENSOUなのだが……。今日はさすがにそうできないようだ。
「ファイッ!」
両者リングに戻り、試合再開。
「伊達~っ!」
場内から大きな伊達コールが沸き起こる。なお試合時間は7分を経過。まだオンリーギブアップルールの時間帯だ。
「足を狙えば、確実に仕留められるとは思いますがね……」
相手の負傷個所を狙うのは、定石ではあるのだが、越後は多分それをしないはずだ。
「レーザーブレード!」
越後は左手をかざし、右腕の肩口から手首までをなぞりながら、正義エネルギーを注入する。
「だてええええええっ!!」
正義パワーの込められた右ラリアット(レーザーブレード)が決まると、踏ん張りのきかない伊達は簡単に倒れてしまう。
「たてええええええっ!」
やはりギブアップを奪いにはいかないようだ。
「……くっ」
伊達はふらふらしながら立ち上がる。
「レーザーブレード!!」
越後はもう一度右腕にエネルギーを注入すると、助走をつけて走りこむ。
「越後ダイナミック!!」
大きく腕を振り上げ、叩き切るように伊達の首筋にラリアットを叩きこむ。
「試合時間8分経過、8分経過」
技と同時に8分経過のアナウンス。
「なにっ!」
先程よりも大技を繰り出したにも関わらず、伊達は痛む足で踏ん張り倒れない。
「……お返し」
無防備な越後の腹部に伊達の”暴れん坊なヒザ”がめり込んだ。
「うぐっ……」
「勝機……見逃すわけにはいかない……」
がくりと片膝をついた越後を伊達の閃光鳳凰弾”シャイニング・フェニックス”が襲う。
「29のカーテン!」
越後はかろうじて両腕のガードを上げ、直撃を避ける。
「……やはりいつものスピードがありませんな」
ダンディさんの言うとおり、伊達の動きがいつもより遅い。その分だけガードが間に合ったというべきだろう。
私はレフェリーを見たが、「まだ大丈夫」とミスターDENSOUは目で返してきた。
試合は続行され、越後が猛攻を見せたものの、伊達の高い受け身の技術の前に攻めきれず、
また伊達も単発でしか攻め込めず、両者決め手を欠いてしまい結局試合は時間切れ引き分けとなってしまった。
PR