NEW WIND社長 風間新 手記「新たなる夢のはじまり」より
※こちらはレッスルエンジェルスサバイバー2のリプレイとなります。
旧作版のNEW WINDとはお話上のつながりはありませんが、登場人物などは一部同じものを使用しています。
「おい、岩城!」
私と談笑していたレインボー岩城に小鳥遊が声をかけた。
「あっ、小鳥遊さん。お久しぶりです。」
岩城は屈託のない笑顔を小鳥遊に向けた。
「ああ…ひさしぶりだな。あの日以来だから何年になるんだ。」
「うーん、もう5年は経っていると思うよ。あれはちょうど春のことだったから。」
アメリカへ行くという岩城を小鳥遊は最寄りの駅まで送っていったという話を聞いたことがある。
「あの時お前は、“じゃあ、またね!”って笑顔でいっていたっけな。ガキが“じゃあ、また明日ね”っていうような軽い調子でよ。」
「“「じゃあまたね!」 笑顔で別れた春でした”って感じだったよね。たははははっ…湿っぽいのは苦手だしキライだからね。」
「まあ、お前らしかったけどな。」
「5年も経っちゃったかあ……思ったよりも長くなったけど、ただいまです、小鳥遊さん。」
「ああ、お帰り岩城。」
二人はがっちりと握手を交わした。
「それはそうと……ところで、おまえはこれからどうするんだ?」
小鳥遊の問いに岩城は私の顔をみる。
「?」
小鳥遊は首を傾げた。
「それは私が説明するよ。」
「風間社長…どういうことか聞かせてもらおうじゃねえか。」
「ああ。レインボー岩城は今後うちの専属レフェリーになる。」
「なにっ?レフェリーだと?」
小鳥遊はびっくりしたらしい。
「ああ、レフェリーだ。」
「なんで、レフェリーなんだよ。根性のあるいいレスラーだぞ、コイツは。」
「ありがとう小鳥遊さん。でも、私は元レスラーなんだよ、小鳥遊さん。」
岩城はちょっぴり寂しそうな顔をする。
「なに?元レスラーだと!」
小鳥遊は予想外の言葉に驚き、言葉がすぐには出てこなかった。
「………いってえ、どういうことなんだよ。」
「だから私が説明するといっただろう?岩城は試合中のアクシデントによりレスラーとしては再起不能となってしまったんだ。」
「さ……再…起…不…能だと…」
小鳥遊は予想しなかった言葉に視線をさまよわせた。かなり動揺しているようだ。
無理もないだろう。5年ぶりにあった、たった一人の同期がよりによって再起不能だと聞かされてはね。
「たはは…首をやっちゃってね。」
「そうなんだ。岩城は首に爆弾を抱えてしまってね。私とダンディさんは小鳥遊が入団してくれることになった段階で、レインボー岩城も所属選手として採用すべく動いていたんだ。だが接触した段階で岩城はすでにレスラーとしては再起できない状態になっていた。」
「うーん、なんてこったい。」
「私も小鳥遊さんと同じリングにもう一度立ちたかったんだけど…そういう事情があったから。でも、また一緒にやれるって思ったからレフェリーとして、そしてトレーナーとして戻ってきたんだ。小鳥遊さん、またいろいろ迷惑かけるかもしれないけど、よろしくお願いします!」
岩城は深々と頭を下げた。
「…負けられねえ理由が増えちまったな。私は岩城の分も頑張るよ。こちらこそよろしくな、岩城!」
「はい、小鳥遊さん!頑張っていきましょう、ぶいっ!」
「おう、ぶいっ!だったな。」
小鳥遊は懐かしそうに言いなおした。
こうしてNEW WINDは二人目の専属レフェリーとして、レインボー岩城を採用することになった。
岩城の明るさはきっとプラスになるだろう。
「本音を言えば…レインボー岩城を選手としてうちのリングにあげたかったですよ。」
私はダンディさんにそう告げた。
「気持はわかります。あのアクシデントさえなければ…とね。」
「はい。このNEW WINDのスカイブルーのリングに岩城はきっとあっていたはずですからね。」
「確かに。青空に虹が輝いていたでしょうな。ですが…かなわぬことを願うよりも、今はレフェリーとして輝く事を願いましょう。」
「ですね。でもこれでトニーさんの負担も軽減されますからね。きっといい効果が期待できますよ。」
選手としてNEW WINDで輝くことはできなかったが、レインボー岩城はレフェリーとして“青空に虹が輝く”ように光を放ってくれるだろう。私はそれを願っている。
1年目総括へ
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なんらかの形で岩城は出てくるだろうと思っていましたが
武藤みたいに第二秘書かなと思ってたらレフリーの方とは。
岩城の登場もなってますますGGJ(ガルさんグッジョブ!)が膨らんできそうな気配です(笑)