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2017/11/24 12:37 |
『もう一度あの日のように~再会~ その3「アフタヌーンティ」』

 NEW WIND社長 風間 新 手記より。

※このお話は全126話で終了した、長編リプレイNEW WIND編および栄光のスターロード編のアフターストーリーです。
 ただし、リプレイではなく創作になりますので、通常のゲーム上ではありえない展開になっております。

 その辺りをふまえた上で続きへとお進みください。

 単独でも楽しめるとは思いますが、人物の設定などはNEW WINDに準拠していますので、NEW WIND編を先に読んで頂く事をお勧めいたします。

 ※※ご注意事項※※
 ストーリーの都合上、登場人物に恋愛などの設定が加味されています。
 そのような表現が苦手な方はご遠慮ください。 
 かつてマッキー上戸と組んで『ジューシーペア』として活躍していたラッキー内田こと内田佐知子は、現在もNEW WINDの関連会社ハッピープロジェクトの代表を務めている。
 最近のハッピープロジェクトは以前とは内容が異なり、もっぱらファンクラブの管理・運営や、グッズショップの新規商品開発などを行っている。
 その関係で内田は来社していたので、私は打診も兼ねて、内田を午後のティータイムに呼んだ。

 いわゆる英国式の“アフタヌーンティー”だな。

 社長室(事務所)のテーブルはローテーブルなので、ちゃんとテーブルの高さにあわせ、三段重ねのティースタンドを用意してある。
 この三段重ねのティースタンドが、正統なものだと思っている日本人は多いようだが、ハイテーブルでは三段重ねのティースタンドは使用しない。
 目線の高さより下になるのが“マナー”である。

「そうですか。蒔絵にも打診したのですね。」
 紅茶を口に運ぶ内田。手に持ったカップはアンティークものだ。
 パトリシア・ルイス、エミリー・ネルソン、マリア・クロフォードといったイギリス出身のレスラーが来日する際に依頼して買ってきてもらったものだ。
 私はフランスの香りを楽しむ紅茶よりも、英国式のミルクティーの方が好きなんだ。
 ちなみにフランスの香りを楽しむ紅茶と、英国式の紅茶ではティーカップの形も違ってくる。

 それにしても知的な内田には、アンティークのカップがよく似合うよなあ。
 ロイヤルアルバートのカップだから、そんなに高くはないけど内田のイメージにピッタリだな。 
 日本ではウエッジ・ウッドやミントンが人気だが、やはり英国式にはロイヤルアルバートや、ロイヤルドルトンといったロイヤルがつく方が似合う気がする。

「ま、ノロケられたよ。」
 紅茶を飲みながら私は笑った。
「蒔絵とダンナさん、仲いいですから。」
 内田は影のある笑みを浮かべたあと、一段目のサンドイッチを口に運んだ。
 三段重ねの場合、一段目はサンドイッチ、二段目はケーキやクッキー、三段目がスコーンというのが正統である。
 嘆かわしいことに日本ではなかなかこの正統な形に出会うことは少ない。
「・・・なあ、内田。前から聞きたかったのだが・・・」
 私は聞きにくいことなので口ごもった。
「なんでしょうか。」
 手を拭きながら内田はこちらを向いた。
「噂で聞いたのだが、マッキーと・・・その・・・マッキーのダンナを取り合ったという話を聞いたんだが。」
 内田の眉がピクリとする。まずいことを聞いたか?
 気まずい空気が流れたので、私はサンドイッチを口に放りこんだ。
 このサンドイッチは、口の中をさっぱりさせる為のもので、キュウリやハムなど塩気のあるものをメインにするのが正しい。
 ひどいところだとジャムサンドが出てくる場合があるけど、それは本来の意味をわかっていないのだろう。

「・・・その通りですよ。」
 内田はしばしの沈黙の後、口を開いた。
「正直、負ける気はしなかったんですけどね。」
 内田はそういうと、紅茶をぐいっと飲み干しカップを私に突き出した。
 私はその意味を察し、カップを受け取ると牛乳を先に注いでから、ティーコジー(※保温の為の布製の覆い)をとって、ティーポットの紅茶を注いだ。
 先に牛乳を入れるのは、色を見ることで、いつも同じ味で提供できるというのと、紅茶を後から注ぐことで、勝手に混ざるという利点があるからだ。

「・・・どうぞ。」
「ありがとうございます。」
 内田はカップを口に運んだ。
「ふう・・・社長の入れてくれる紅茶は美味しいですね。」
「そういってもらえると嬉しいよ。少々こだわりがあるものでね。」 
「こだわりですか・・・」
 内田の顔が曇る。
「・・・悪いことを聞いたな。その・・・まだ・・・こだわりがあるのか?」
「ううん、もうありません。・・・昔の話ですよ。」
「そうか・・・」
 私は再び気まずくなって二段目のクッキーを一つ手に取り、口に放り込んだ。

「社長、告白しますけど・・・」
「な、なんだ?」
 妻がいるというのに私は『告白』という言葉にドキドキした。
こんな事を知られたら、きっと痛い目に合わされるだろうなあ・・・

「ふふ。社長・・・私・・・」
「・・・」

「今『いい人』いますから。」

 だよな。いや、そうだと思ったんだよ。私は紅茶を飲んで、気を落ち着けた。
「だから、もうその事にはこだわっていませんし、それに・・・」
「それに?」
「私と蒔絵は、親友ですからね。水と油、氷と炎・・・静と動。色々と合わない部分もありますけど、基本的には信頼しあえる大事な親友です。だから蒔絵が幸せなら、それでいいと思っていますし、そもそも・・・」
「・・・?」
「今の人の方が、いい男ですもの。」
 ・・・最後はノロケかい。
「そ、そうか。それならいいんだが・・・で、内田は復帰についてはどうだい?」
 私はようやく本題へと話を戻した。
「うーん、私には無理ですね。もう後ろに受身とるのが怖いですし。」
「そうだよな・・・ブランク長いものなあ。」
「足の方はよくなったし、動けることは動けるけど・・・今受身を取れといわれても取れるかどうか・・・」
「・・・」
「それにもし受身が取れたとしても、ドームのお客さんを満足させるだけの動きができるとは思えません。エキシビションならともかく、正式な試合となると、そうとう難しいと思いますよ。蒔絵じゃないけど、『しょっぱい!しょっぱい!しょっぱすぎるぜっ!』と思われてしまいます。」

 うーん、やはりそうか・・・みな『体力の限界』を悟ってリングを去っていったのだから、無理もない。

「この企画・・・今までの企画の中で、もっとも無謀だと思いますが。」
「わかっているよ。」
「もし、集客だけのためにこの企画を進めるのであれば・・・私は反対です。」
 内田は語気を強めた。
「・・・もちろん、集客も見込んではいるけど、それはあくまでもその場しのぎでしかないよ。」
「だったら、何故、こんな無謀な企画を?」
「もちろん、この後に繋げるためさ。これを今のNEW WINDを変えるきっかけにしたいと思っているんだ。」

 そして私はビジネスパートナーである内田に、その真意を告げたのだった。

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2007/11/18 18:45 | Comments(0) | もう一度あの日のように

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