NEW WIND社長 風間新 手記「新たなる夢のはじまり~飛翔編~」より
※こちらはレッスルエンジェルスサバイバー2のリプレイとなります。
旧作版NEW WINDとはお話上のつながりはありませんが、登場人物などは一部同じものを使用しています。
◇4年目9月
NEW WINDに新たなる仲間が加わることになった。
それも同時に2人。初めての後輩ができる零はどことなくそわそわしていた。
「こ、後輩…」
「よかったな、零。嬉しいだろ?」
朝比奈がからかう。
「う、うん。」
なぜか恥じらう零。
「くくっ…」
それを見て笑う小鳥遊。
「なんだよ大将!何がおかしいんだよ。」
「いや…初めて零を教えてやった時を思い出してな。たしか…あの時のお前も今の零のように緊張していたよな。くくっ…」
小鳥遊は腹を抱えて笑いだす。
「なんだよそれ。オレは零みたいに緊張してなかったつーの。」
朝比奈が口を尖がらせて抗議する。
「そんな朝比奈が先輩顔しているんだからな。うん、うん。」
選手たちは声をあげて笑った。
「ついに来たか。」
「ハイ!」
褐色の肌の華奢な体つきの少女が道場に入ってきた。
「みんなすでに知っていると思うが、ディアナ・ライアル君だ。今日から正式にメンバーとなる。」
「ミナサン、よろしくお願いシマス。ディアナ・ライアル、一生懸命頑張りマス!」
ディアナは頭を下げた。
「頑張りなよ、ディアナ。みんな応援しているからね!」
レインボー岩城レフェリーが真っ先に声をかけた。
「ハイ!アリガトウございマス!私が今ここにいられるのもアヤナさんのおかげデス。もうリングに立てないアヤナさんの分も頑張りマス!」
ディアナはペコリとお辞儀をした。
このディアナはブラジルからの留学生で、11歳の時から兄妹のためにプロレスをしていたという変わった経歴の持ち主だ。
もちろん体が出来ていない状態でのプロレスは無理があり、当然のごとく故障を発生。
そんな体で無理にリングに上がっていたところを、たまたま街を訪れたアルコ・イリス(レインボー岩城の海外でのリングネーム)に拾われ、一緒に日本へとやってきたというわけだ。
以上の経緯から、ディアナは岩城の部屋で一緒に暮らしており、うちの所属選手とは以前から顔なじみだった。
「ディアナもついに仲間なのさね!一緒にガンバルお!」
「はい!ミカさん。よろしくお願いしマス!」
ソニックにもペコリと頭を下げるディアナ。
「…ソニ先輩!お願いですからディアナを変な道には引きずり込まないでくださいよ。」
越後がソニックを睨みつける。
「ぶーちゃん、その目つき怖いのさね。ソニは誰も引き込んだりしないのさね!」
ソニックは天真爛漫に、“にぱっ”と笑うが、他の誰もが苦笑していた。
それは当然だろう。すでにソニックは嫌がる越後を無理やりTV番組“音速ヒロイン”の撮影現場に引っ張り込んでいたのだ。
現場に連れていかれた越後は抵抗もままならないまま、“正義を愛する委員長”という役どころで番組に登場させられていた。
しかも数話後には悪の組織に攫われ、悪の手先となるべく改造手術を施されてしまうとおいうオマケつき。
ある意味おいしい役どころだし、改造人間系ではよくある設定なのだが越後の知識にはそんなものはないだろうなあ。私なら喜んで出演するところなのだが。
おっと!こんな事を書くと本当に引き込まれかねないな。これはあくまでも特撮のファンだった元少年の戯言だと思ってもらえればと思う。
さて捕まった越後は、相手の隙をついて脱走に成功。手術途中だったため脳は改造されないですんだが、パワーアップも不完全で終わってしまった。つまり“右半身の力だけ”がパワーアップしてしまう。
越後は改造されたことに悩むが、最終的に越後はそのパワーを正義のために使うことを決意する。そして音速ヒロインのパートナー“ジャスティス越後”として活躍を開始した…という設定を与えられてしまう。
ストイックに強さを求める傾向にある越後からすれば迷惑この上ないことだったのだが、この番組出演をきっかけに越後の人気は急上昇している。
もちろん番組タイアップの技も強制的にもたされているが、これは逆に越後の幅を広げる役目をはたしてくれている。
「ところで、ディアナの入団は決まっていましたが、もう一人は?」
「やっぱりこの間すごかった88番の方ですか?」
「いや、8番もがんばっていたからなあ。」
選手たちがいろいろ聞いてくる。
「よし、もう一人のメンバーを発表しよう。入っておいで。」
第2部飛翔編-8へ
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