NEW WIND社長 風間 新 手記より。
※この手記は基本的にリプレイですが、風間 新 社長視点で書かれており、創作要素を多分に含んでいます。
ここでの各登場人物の設定は公式なものでなく、管理人N独自のものです。
それをご了承の上、つづきへとお進みくださいませ。
※この手記は基本的にリプレイですが、風間 新 社長視点で書かれており、創作要素を多分に含んでいます。
ここでの各登場人物の設定は公式なものでなく、管理人N独自のものです。
それをご了承の上、つづきへとお進みくださいませ。
”一番大事なもの~が一番遠くへいくよ~”
うーん・・・遠くから徳永さんの歌声が聞こえる。
ああ、私の携帯の着うたか・・・
いい歌なんだけど、この時間に鳴らされると、うるさいなあ・・・
折角の休みだってのに朝っぱらから携帯鳴らすなよな。
私が床についたのは午前2時。
辺りの様子からするとまだ朝の八時といった所だろうか。
「もう少し寝かせろよ・・・」
私は携帯を放りなげると布団をかぶる。
”一番近くにいて~も一番わかりあ~えない。”
しつこいって・・・もう。
「仕方ねえなあ・・・」
私は右手で頭をわしゃわしゃと乱暴にマッサージして頭を起こすと携帯を手に取った。
「はい、風間・・・」
「社長!とっとと出なさいよ!」
いきなり南に怒鳴られた。
「な、なんだよ朝っぱらからでかい声だして・・・」
「た、大変なんだから!!」
「は、はあ??何が大変なんだ?」
南の取り乱し方からすればこれは大事なんだろうけど・・・
「いいから、ともかくとっとと事務所にきなさい!!いいわね!15分できなさいよ!!」
ガチャン!! ツーツー・・・
「お、おい南!ってもう切れてるし。なんなんだ一体。」
ともかく私は急がねばならない事だけはわかったので、慌てて用意をして出かけていく。
玄関から飛び出し車を止めてある駐車場へと向かう私の口には食パン。
よくアニメや漫画でみかける”遅刻しそうな人”の絵になっているな。
まさか自分がやる事になるとは・・・
私は車を事務所へと走らせながら食パンを食べ終えた。
しばらく前までは事務所のあるビルに住んでいたのだが、年頃の女性達と同じ建物にいる不便さを感じて私はちょっと離れたところに部屋を借りていたのだ。
「こんな風に呼び出されるなら・・・引っ越さなければよかったよ。」
私が事務所のある建物の前につくと、パトカーが数台止まっている。
「な、なんだ・・・?救急車がいないところを見ると、怪我人がいるわけではないようだけど・・・」
私はちゃんと駐車場に車を止めると(最近は駐車違反の取締り厳しいからね。)事務所へと急ぐ。
「あ、社長おはよう御座います。」
秘書の井上さんがすでに来ていた。
いつもと変わらぬ声だったのだが、彼女の表情は冴えない。
「おはよう井上さん、南から連絡を貰ってきたんだが、一体何があった?」
「聞いてないのですか?・・・どおりで平気でいられると。」
「?」
「社長、驚かないでくださいよ。」
井上さんが真顔になる。
「な、なんだよ?」
「実は・・・」
「実は?」
井上さんは間をとる。
「空き巣に入られました!!」
「な、なんだとおおお!!!」
衝撃走る・・・
これぞディープインパクト・・・これほどまでに衝撃を受けた事はかつてない。
「そ、それで被害は?」
「は、はいタイミングが悪い事に現金で支払いをする業者さんへの対応の為、かなりの金額を事務所の金庫に用意してありましたので、総資金の50%近い損害です。
「な・・・なんてこった。総資金の50%がたったの3分で全滅とは・・・」
「あ、あの?3分ってどうしてわかるんですか?それに50%ですから半壊だと思いますけど?」
どうやら井上さんには理解してもらえなかったらしい。
ジェネレーションギャップだろうか・・・
って余裕あるなあ私。
それにしても困った。
ベルトの新設、宿舎の増築、道場の強化などこれからも資金がかかるというのにここでこういう事態になるとは・・・
参ったな・・・
私は目の前が真っ暗になった。
「あ、あの私のお給料大丈夫ですよね?」
井上さんの声が遠くから聞こえる。
まったく、自分のお給料の心配かよ(苦笑)
「大丈夫」
と言った記憶があるような・・・ないような?
前の警備会社との契約は打ち切り新しい警備会社と契約。
ついでに窓ガラスを全て防犯ガラスに変えてみた。
資金はかなりかかったものの、選手達の安全も考えるとこうせざるを得ない。
「参ったなあ・・・宿舎を増築する予定だったのに・・・」
私は頭を抱えていた。
来年は2人は新人を確保したかったので、それに向けた増築を予定していた(現在は14人まで入れる状況で13人が所属)。
このままだと8期生まで1人しか採用できなくなってしまう。
一期生の残り現役期間を考えれば8期は最低二人はとりたいのに。
私は計画が揺らぐのを感じていた。
「人生もプロレスも会社経営も・・・予定どおりには行かないか。」
「予定は未定、一寸先は闇。」
「そしてこれもまた運命・・・ってか氷室?」
ドアのところから私を見ている氷室に声をかける。
「はい。運命ならば受け入れるしかないかなって。」
「で、用件は?」
「うん、社長・・・私達に出来ることがあったら言って下さい。私達だって貯金はしてますから。」
「・・・この風間新、大事な選手の貯金に手をつけるほど落ちぶれてはいない。」
私は笑う。
「でも、ありがとうな。」
「は、はい。」
「うちは皆の頑張りのおかげで万年黒字会社だから、この程度のダメージなんて今年度中にカバーできるよ。計画が狂うのは確かだけどね。」
「なんなら、アタシたちが芸能活動やって稼いでもいいんだぜ?」
「そうそう。協力するわよ。」
ジューシーペア以下所属選手が全員集まってきていた。
「ははありがとうな。でもジューシーペアはダメだなあ。」
「な、なんでだよ!」
「・・・CD売れなかったからに決まってるのに。」
はい武藤ちゃん正解ね。
「ぐっ・・・」
「私・・・芸能活動してもいい。」
と伊達。
「えー舞もしたい~~!!」
「私もしてもいいですよ。協力できればと。」
吉田も名乗りを上げる。
「あ、私も!」
結局大騒ぎ。
まあ実際オファーは来てるんだけどね・・・
ひとまず10月は南姉妹をIWWFへ遠征させなければならないし、伊達とみことがケガで欠場する事もあり芸能活動は無理。
残りのメンバーでツアーをしっかり回ってくるしかないだろうな。
オファーの来てる芸能活動は受けないと厳しいのは確かだなあ・・・
そしてリングでは吉田が結果を出してくれた。
武藤・結城には完敗だったが、IWWFのエース、クリス・モーガンからピンを奪ってくれたのだ。
どうやら吉田がトップ戦線へと食い込むのは時間の問題となってきたようだ。
×モーガン(14分50秒 プラズマサンダーエクスプレス※)吉田◎
※プラズマサンダーエクスプレスとは吉田のフィニッシュコンボ。
プラズマサンダスライド(高角度プラズマサンダーボム)を投げ放しで決め、その後コーナーからフライングボディプレスで飛び圧殺するという連続技。
永沢は武藤、カンナに完敗。
トップ戦線にはあと少し足りないようだった。
今回もツアーは全会場で超満員札止めを記録。
欠場者が多いのに会場に足を運んでくれるお客様に感謝しなければ。
でも・・ゴメンナサイでもある。
11月ツアーも今月と同じく4人欠場者が出てしまうんだ・・・
管理するベルトの数減らさないとなあ・・・
そのためにも団体のベルトを作りたかったのに・・・ああ空き巣が痛い・・・
私の計画は・・・まだ揺らいだままだった・・・
ファンの支持あってのプロレスなのだから、基本的に欠場はさせたくないんだけど・・・
選手、お金、ファン・・・
どれが一番大事なものなのか・・・とても難しいと思う。
どれを優先させるにしても一番大事なものが一番遠くへ行きそう。
お金を優先させればファンを裏切る事になるし、選手も裏切る事になってしまう。
でもお金がなければ、よいものをお客さんに提供できなくなるし、選手も雇えない。
だからといって選手がいなければお金にもならないし、ファンもいなくなる。
結局トライアングルなのかなあ・・・
選手とお金とファン・・・どれが欠けてもNEW WINDは成り立たない。
うーん・・・難しい・・・
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なおこの話で、風間の携帯から流れている着うたは徳永英明さんの名曲”最後の言い訳”です。
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