NEW WIND社長 風間新 手記「新たなる夢のはじまり」より
※こちらはレッスルエンジェルスサバイバー2のリプレイとなります。
旧作版のNEW WINDとはお話上のつながりはありませんが、登場人物などは一部同じものを使用しています。
◇1年目2月
朝比奈の怪我がようやく完治した。
「なっ、リハビリだっていっただろ?」
朝比奈はニッと笑う。
「うーむ。さすがはプロレスラーといったところなのかな。でも、悪化する可能性も十分あったわけだし…」
「わ~ってるよ社長。さあってと今月は大暴れするぞ~~!」
朝比奈はそういって鼻歌を歌いながら出て行った。
「ふむ。よほど嬉しいのでしょうな。」
「でしょうねえ。この調子なら今月の朝比奈には期待できそうですよね。」
私は朝比奈の活躍を楽しみにしていた。
「でも…一言だけいいですかな。先月も十分大暴れしていましたよ。」
「あはは…確かにそうですけどねえ。」
こんなことを言っているが、私もダンディさんも今月は先月以上に大暴れしてくれるだろうと思っている。
「これで決めるぜっ!」
朝比奈のオーガクラッシャーが決まり、そのまま3カウントが入った。
「どーでぃ!」
バニーとの3番勝負に勝ち越した朝比奈は勝利の雄叫びをあげた。
「くっ…短期間の間に強くなったわね。お姉さん、気持ちよくイカサレタわ。」
バニーは恍惚とした表情で朝比奈に語りかけ、去り際に朝比奈の頬にチュッとしてから去っていった。
「な、なにしやがんだっ!」
真っ赤になって動揺する朝比奈。
「うふふ…あとでイイコトしましょ。」
「誰がするかっ!」
試合はともかく、キャラクターという部分では朝比奈の完敗といったところだろうか。
「それにしても朝比奈は逞しくなりましたな。」
「ええ。朝比奈がこのまま上位に食い込んでくれれば、団体としても喜ばしいですね。」
私とダンディさんは朝比奈の今後を熱く語り合った。
だがしかし、朝比奈はその直後の大会で不覚をとってしまう。
「やったのさね!」
渾身のフライングニールキックで朝比奈からピンをとったソニックがリング上でぴょんぴょんととび跳ねている。
「くそっ!」
リングに右拳を打ち込んで悔しがる朝比奈。
「うむむ…これは意外な結果でしたな。」
ダンディさんが唸る。
「ええ。私も同感です。朝比奈が休んでいる間に差が縮まったのですかね。」
「ふむ朝比奈が休んでいる間に力をつけたのは間違いないでしょう。思った以上にこの短期間に伸びたんでしょうね。」
ダンディさんは勝ち名乗りを受けるソニックを優しい瞳で見つめている。
「正直なところ”まさか!”でしたけどね。ソニックは南に連敗しているように調子があがっているわけではなかったですから。朝比奈がこうあっさり負けるとは想像できませんでしたね。」
このソニックの勝利がフロックでないのなら、ソニックに連勝している南も十分朝比奈を破ることができるという計算になる。
「上を目指していた朝比奈にとって後輩からの突き上げというのは刺激になるでしょうな。今後はさらに面白くなりますぞ。」
ダンディさんは実に楽しそうだった…というか私も楽しい。選手の実力がついてくると面白いなと思う。誰が勝つかわからないという状況はある意味理想的な構図だから。
これからのNEW WINDは見ている側としてはかなり面白い構図になりそうな予感がしている。
第30話へ
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