NEW WIND社長 風間新 手記「新たなる夢のはじまり」より
※こちらはレッスルエンジェルスサバイバー2のリプレイとなります。
旧作版のNEW WINDとはお話上のつながりはありませんが、登場人物などは一部同じものを使用しています。
コン…コンと遠慮気味なノックの音がする。
「小鳥遊か?」
「…ああ。私だ。」
「鍵はあいているよ。」
しばらくするとガチャリと扉が開き小鳥遊がぬっと入ってきた。
「…来たぜ、社長。」
「おお、来たか。まあそこに腰かけてくれ。」
私は小鳥遊にソファを促す。
「お、おう。」
小鳥遊は戸惑いながらもソファに腰を下ろした。
「さすが小鳥遊だな。時間ぴったりだ。」
「まあな。そういうところをきっちりやっておかないとフリーレスラーとしては身の破滅だったからな。」
ちょっぴり照れくさそうな小鳥遊。
「さすがだね。それを期待して準備していたんだけど、ちょうどいいタイミングだったよ、今紅茶入れるからな。」
私は自慢のロイヤルコペンハーゲンのカップに、ミルクを注いでからポットの紅茶を入れた。
「今日の茶葉はアッサムだ。ミルクティにぴったりなんだよな。」
「お、おう。紅茶ってガラじゃないんだがな…おっ…これは美味いな。」
小鳥遊はぐいぐいと紅茶を飲み干す。
「ごっそさん。で、なんだよ急に呼び出したりして。」
私はすぐには質問に答えず、お代わりを入れ終えてから口を開いた。
「ああ、聞きたいことがあってな。」
「なんだよ。もう写真集はゴメンだぜ。」
小鳥遊は明らかに警戒している。
「写真集はこの間大ヒットしたじゃないか。あの世界的なカメラマン“鷹羽キシン”先生の撮影で…」
「あの話はよせ。私は今でも夢に見るんだ。」
小鳥遊は嫌そうな顔をする。
「そうか。とにかく今回はそういうことじゃないんだよ。ただ聞きたいことがあってな。」
「そうか。で、なんだよ聞きたいことって?」
小鳥遊は警戒を弱めた。
「小鳥遊、おまえ何km/h投げられる?」
「なんだよ、藪から棒に。限界までやったことはねえが……ま、100kgくらいじゃねえの?」
「100km/hか…もうちょっと投げられそうだけどな。」
「うーん、まあ120kgくらいならイケルだろうよ。」
「120km/hか。悪くないな。もう一寸なんとかできないか?」
「うーん頑張れば140kgくらいならなんとかなりそうだけどな。」
「140km/hか。それなら会場中が驚くだろうな。」
「…まあ驚くだろうね。」
小鳥遊は首をかしげた。
「よし、なら決まりだ。」
「何がだよ。」
「今度九州ドームでとある興業があってな。そこから小鳥遊にオファーが来たんだ。」
私の言葉に小鳥遊が驚いた顔をする。
「へえ、九州ドームで興行とはすげえな。」
「そうだろう。」
「で、どんなオファーなんだ?」
小鳥遊の目がキラキラしている。
「ああ、そのドームの興行で投げてほしいそうだ。」
「投げる?どういう意味だ?」
小鳥遊は?という顔をする。
「試合開始前のセレモニーだよ。そこで一発投げてほしいそうだ。」
「なんでえ、試合のオファーじゃねえのか?」
「ああ。試合のオファーじゃないが、うちとしても名前を売るチャンスなんだ。知ってのとおり、旗揚げ1周年記念興業が近づいているからな。」
「そうか。ところで、九州ドームでやるってこたあ、男子だよな?」
「ああ男子だとも。」
私は力強く頷いた。
「そうか。そりゃ名前を売るチャンスだな。よし引き受けよう。」
「おお、頼むぜ!バシッと投げてきてくれよ。」
「おお。140kgでも150kgでも投げてやるよ!」
「おーそれはスゴイ。期待しているよ。」
「おお。期待してくれや。」
小鳥遊はニヤリと笑った。
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コメント
無題
大将、「キロ」が違う、違う~~!!(笑)
posted by 水瀬URLat 2008/12/25 18:38 [ コメントを修正する ]