NEW WIND社長 風間新 手記「新たなる夢のはじまり」より
※こちらはレッスルエンジェルスサバイバー2のリプレイとなります。
旧作版のNEW WINDとはお話上のつながりはありませんが、登場人物などは一部同じものを使用しています。
南と北条はリング上でゆっくりと円を描きながら、じりじりとお互いの間合いを狭めていく。
「緊張感ありますね。」
「間合いを詰めるだけで緊迫感を出せるというのはトップレスラーでも難しいのですが、どうやら南はキャリア2年目にしてそれを身につけたようですな。」
二人の醸し出す雰囲気に飲まれ、観客たちは二人の動きに集中していく。
きゅっ!
タックルに行こうとする南のシューズが音を鳴らす。
「!」
それを察知した北条はバックステップで間合いを取る。
「!!」
しかし南はお構いなしに突っ込んでいく。
「このっ!」
北条がキックを出してけん制するが、その動きを南は完全に見切っていた。
「甘いわね、北条!」
南はサイドステップしてキックを交わすと、スピードを上げて北条のバックに回り込む。
「ぐっ…」
スリーパーががっちりと決まる。
「…甘いのはソッチだ。」
北条は首の力で南を投げ飛ばす。
「そんな技で…あぐうっ…」
南の立ち上がりにあわせて、北条はいきなりパーフェクトキック!!
「おおおおっ!」
これは想定外だったか、南は完全に不意をつかれてしまった。
「くうっ…」
「南っ!」
首を振りながら立ちあがった南に向かって北条はショルダータックルで突っ込んでいく。
「ぐうっ…」
「あぐあっ…」
北条の強烈なタックルを受けて呻きながらも南はフロントスリーパーで切り返す。
「ふんっ!」
北条はそれをうまく切ると離れ際に掌底を放つ!
「くっ…」
南がひるんだところへ今度は頭を振りおろす。
ゴン!と鈍い音がするが、南は冷静に北条の首に腕をまわした。
「…南は上手くなりましたな。北条の攻撃をきっちりと受けた上で、一番油断の生じる技の終わり際を狙っている。」
「受身の技術が向上したのでしょうね。関節技のセンスの高さはすでに証明していましたが、ここ最近秘めたるポテンシャルが解放されてきているような気がします。」
だが北条はこのスリーパーを自力で振りほどき、完璧なフォームのドロップキックを打ち込んだ。
「くっ…」
デビュー直後ならドロップキック一発で大きなダメージを受けていただろうが、今の南は成長している。ドロップキックなど効いていないとばかりに素早く立ち上がると、鋭い動きで南は突っ込んでいく。
「ハッ!」
しかし北条は南の突っ込んでくる勢いを利用してブレーンバスターで完璧に投げ飛ばした。
バアアアアン!といい音をさせて、南が綺麗に受け身をとった。
「うーん…綺麗な受身ですね。」
「ですな。これは北条が完璧なタイミングで投げたのが影響しています。南が突っ込んでくるスピードが早かった分、北条もスピードの速いブレーンバスターを完璧なタイミングで放つことができました。ワン・ツーのタイミングです。これは非常に受け身がとりやすいんですな。ダメージは相当軽いでしょう。」
ダンディさんの言葉通りに南は北条よりも先に起きあがると、素早く北条の起き上がりに合わせてバックをとった。
「南十字の煌めきみせてあげるわ。」
南は完璧なブリッジのクロスアームスープレックスで投げ飛ばす。
「OK、フォール!」
トニー館がフォールにいくが、北条はカウント2と同時に肩をはね上げた。
「完璧すぎましたな。」
「完璧すぎた?」
「ええ。今のサザンクロスいやクロスアームスープレックスですか。角度もブリッジもスピードもすべて完璧でした。完璧すぎた故に北条は受身がとりやすかったのです。」
なるほど。完璧すぎたからこそ…決まらなかったのか。
「先ほどのブレーンバスターと同じですか。」
「そういうことですな。ただし…」
ダンディさんは言葉を切った。
「ただし?」
「…南は今の技でフォールをとるつもりではなかったようですがね。」
この間に北条がヘッドバットを決め、それを耐えきった南はフロントスープレックスで北条を投げ飛ばした。
第60話へ
PR
うんうん、南さんも着実に成長してますね
さて、クロスアームでフォールを取る気がなかったと言う事は・・・
関節技で勝負を決める為の布石・・・リング中央への移動の為ですかな?