NEW WIND社長 風間新 手記「新たなる夢のはじまり」より
※こちらはレッスルエンジェルスサバイバー2のリプレイとなります。
旧作版のNEW WINDとはお話上のつながりはありませんが、登場人物などは一部同じものを使用しています。
◇4年目4月
シリーズ初戦、ロザンヌ・チャンを相手に零がプロデビュー。
もともと体が出来ていた上に、どういうわけか零は入団時点でプロレスの基本を身につけていたので、デビューまで早かった。
試合には敗れたものの打撃技のセンスの片鱗は見せてくれたひとまず合格点だろう。
「負けちゃった…」
しかし、敗北にどよ~んと落ち込む零。
「気にすんなって。誰だって、いきなり先輩レスラー相手じゃ勝てねえよ。」
朝比奈が零を優しく慰める。
「勝ちたかった…」
「そりゃ誰だって勝ちたいさ。負けたいプロレスラーなんていないからな。」
必死に零を励ます朝比奈。なんだかいい光景だな。
「朝比奈、お前…いい兄貴だな。」
「おいおいオレは一応女だっつーの。兄貴はないだろうよ。」
茶化す小鳥遊に対し、朝比奈はむっとして言い返す。
「ふ~ん。朝比奈は“男前路線”が売りで女性人気はあるんだけどな~まあ、おまえもやはり女だったか。」
「だ~っ…なんだよ、社長までよ…」
このやりとりを聞いていた零が「ふふっ…」と笑った。
「おっ…零が笑った。…なんだ。笑うとかわいらしいじゃないか。」
「だから言っただろ!こいつは慣れれば可愛いいやつなんだって!」
確かにそうかもしれない。私は認識をあらためることにした、
「そういえば……「大将、大将!」と小鳥遊の後を追っかけてばかりいた朝比奈が後輩の面倒を見るようになるとは…成長したな。」
「そりゃそうだろ。あいつだって再デビューから…もうすぐ4年目に入るからな。」
「そうかもう4年目になるのか……小鳥遊もそろそろ結果を見せてくれよ。」
私は小鳥遊にハッパをかけた。
「わかっている。あいつには今度こそは負けられねえ。」
「頼むぜ、小鳥遊。」
「ああ。」
こうして小鳥遊は、負けられない覚悟…いや勝つという強い気持ちを持ってTWWA王座へ挑戦する。
私が練り上げたプランを実現させるためにも、ここは絶対に勝ってほしい。
「だっしゃあああっ!」「ぬおおおおおおっ!」
小鳥遊がガルムズボンバー、ダイビングフットスタンプと得意技を繰りだせば、メガライトはメガライトでベリー・トゥ・ベリー、フィッシャーマンズバスターといった強烈な技でお返しする。
「このおおおおおっ!砕け散れえええっ!」
小鳥遊のフィニッシュホールド、ガルムズディナーをまともに食らったメガライトはフォールを許さず立ち上がる。
「このおおっ!」
追撃しようと接近した小鳥遊に蹴りを入れて動きを止めると、メガライトは素早くバックをとってベリー・トゥ・バックでぶっこぬいた。
「ぐああああっ…」
呻き声を上げる小鳥遊をメガライトがフォールするが、小鳥遊はカウント2.8で肩を上げる。
「ナロオオオオオオ!」
「だっしゃあああああっ!」
それぞれロープへと飛んだ二人はラリアットを同時に繰り出す。
「ぐううう…」
「ぬううう…」
ダメージが大きい二人はぐらぐらと揺れるが、両者とも倒れずに踏みとどまった。
「メガライトおおおおおおおっ!」
先に回復した小鳥遊は右ヒザをメガライトのボディに打ち込んだ。
「がはあああっ」
フットスタンプやダイビングフットスタンプで腹部に大きなダメージを受けていたメガライトはたまらず崩れ落ちた。
「フォールだあっ!」
小鳥遊は最後の力を振り絞ってカバーにいく。
「そのまま決めろ~~!」
トニー館レフェリー3度目のマットを叩いた。
「スリー~~!!!」
勝利を確認した小鳥遊がダウンしたまま右腕を突き上げた。
「ただいまの試合は29分35秒、29分35秒…ガルムズファングからの片エビ固めで、勝者ガルム小鳥遊!!これによりまして、ガルム小鳥遊選手が新チャンピオンとなります!!」
大きな歓声と拍手が沸き起こるなか、小鳥遊はベルトを巻いた。
「だしゃああああああっ!!」
小鳥遊は両腕を突き上げて歓声にこたえる。
ガルム小鳥遊、TWWA認定世界王者に輝く!!
これでNEW WINDは次なるステージへと進めるな。
「来月が楽しみですな。」
「ええ。その先も楽しみですけどね。」
私とダンディさんが考えたプランに関しては、3周年記念興行で発表をしたいと思っている。ようやく…ここまで来たな。という感じだね。
第81話へ
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