NEW WIND社長 風間新 手記「新たなる夢のはじまり」より
※こちらはレッスルエンジェルスサバイバー2のリプレイとなります。
旧作版のNEW WINDとはお話上のつながりはありませんが、登場人物などは一部同じものを使用しています。
◇4年目5月
「残念だったな。」
「ふん。あんなチンケなベルトでは必死になれませんわね。」
新女のシリーズに参戦していた市ヶ谷は、サンダー龍子からフォールを奪うなど暴れまわり、最終戦では新女の至宝NJWP王座に挑戦。かなりのところまで王者を追い詰めたが、最後は六角葉月の必殺技ラビリンススリーパーで無念のギブアップ負け。
しかし“負けて強し”の内容で、“NEW WINDのビューティ市ヶ谷”という存在を新女のレスラーおよび新女のファンに植え付けるには十分な活躍だったはずだ。
旗揚げ3周年記念シリーズ“WIND OF WIND”
☆第2回WIND OF WIND シングルリーグ戦参加メンバー☆
ロイヤル北条、十六夜美響、オーガ朝比奈、南利美、ビューティ市ヶ谷、マイティ祐希子、ソニック・キャット、メイデン桜崎
所属選手のみでのシングルリーグ戦となるが、今の充実ぶりならかなりハイレベルなリーグ戦になるだろう。
小鳥遊はTWWAシングル王者となった為リーグ戦を免除。来月に予定しているとあるプランへの出場を確定している。
シリーズ2日目“WIND OF WIND公式リーグ初日”
「いって~~、生意気なんだよっ!」
朝比奈は桜崎に張られた顔を抑えながら、地獄突きで桜崎の動きを止め高々と持ち上げた。
「終わりだあああっ!」
“右旋回”して桜崎を急角度で叩きつけそのままフォール。桜崎はピクリとも動かず3カウントを聞いた。
「14分57秒、フィニッシュバスター・バーニングエンドからの片エビ固めで、オーガ朝比奈選手の勝ち!」
私は所用でバックステージへと戻ったのだが、そこで意外な光景を目にした。
「先輩!」
「なんだ、越後か。」
越後の声は怒気を含んでいる。
「今の試合、わざわざバーニングエンドを出す必要はなかったのでは!。」
越後の瞳はまっすぐ朝比奈の顔をとらえている。
「…やりすぎだってのか?」
「フィニッシュバスターで十分だったと思います。」
越後は正義感が強いからなあ。
「このっ」
朝比奈は右手を振り上げた。
「っ…」
越後は殴られると思い歯を食いしばった。
「ふっ…」
朝比奈は右手を広げるとポンと越後の頭の上に置いた。
「確かにな。フィニッシュバスターで十分とれただろうよ。だがな、越後…お前にはまだわからねえかもしれねえけど…あれはオレがあいつを認めた証拠なんだよ。」
「認めた証拠?」
「ああ。今日の試合でオレはあいつを単なる後輩とは思えなくなった。手ごわいライバルになりそうだと感じたからこそ、バーニングエンドを使ったんだ。」
朝比奈はぽんぽんと越後の頭を叩く。
「ま、お前相手だったらフィニッシュバスターもいらねえけどな。」
「ぐっ…」
「悔しいか?越後。」
朝比奈はあえて聞く。
「…そりゃ悔しいですよ。私はリーグに出られないのにあいつは…桜崎はリーグに出ている。たった半年の差なのに…」
「そうか。悔しいなら強くなれ!…ってまあオレも偉そうに言える立場じゃねえけどな。強くならないとダメだぜ、越後。」
「は、はい!」
越後は力強く返事をした。
越後はまっすぐだな。あれをいい方向に伸ばしてやりたいものだ。
「やったあああっ!」
「くっ…そんな馬鹿な…」
北条は祐希子の新技“高速ジャーマン”でまさかの3カウントを奪われてしまった。
このところ北条は負けが目立つな。実力では上のはずなのに、いったいどうしたことだろう。
「これが災厄の女神の力よ。」
悪の幹部にぴったりの雰囲気を持つ十六夜の災厄パワーに蹂躙され、正義の味方ソニックはなすすべなく敗れてしまった。
「ソニック劇場には引き込めませんでしたか。」
「いや…引きずりこんだ上で敗れましたな。さすがは十六夜というところでしょう。」
さすがは十六夜だな。
「悪く思わないでね、麗華。」
「…こんな手で来るとは思いませんでしたわ。」
ドラゴンスクリューから素早く丸めこまれ、まんまと3カウントを許した市ヶ谷は呆然としていた。
「次はこうはいきませんわよ。」
「ええ。楽しみにしているわ。」
発想の勝利といえるだろうが、このフィニッシュは私としては少々期待外れだった。
第82話へ
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