NEW WIND社長 風間新 手記「新たなる夢のはじまり~飛翔編~」より
※こちらはレッスルエンジェルスサバイバー2のリプレイとなります。
旧作版NEW WINDとはお話上のつながりはありませんが、登場人物などは一部同じものを使用しています。
◇4年目3月
あまり触れていなかったが、所属選手たちの芸能活動はかなり活発になっている。
映画出演のオファーだけは断っているが、CM出演・CD発売・写真集発売・一日署長といったオファーにはなるべく答えるようにしている。
この3か月だけでも、十六夜・市ヶ谷・南の3人がCDを発売し、桜崎・小鳥遊がCM出演を果たしている。
ちなみに十六夜と南のCDはかなりの売れ行きだが、市ヶ谷のCDだけがチャートの動きが鈍い。
作詞・作曲・編曲・バックバンドは市ヶ谷財閥のバックアップで超一流なのだがなあ…
「オーホッホッホ。わたくしの美しい歌声に皆買うのを尻ごみをしているのですわ。」
「いや…値段だろう。」
売れ行きが鈍いのは通常のCDよりも高い値段設定のせいだろう。それもこれも初回限定版に豪華写真集がついているせいなのだが。(なお撮影は小鳥遊のファースト写真集を大ヒットさせた世界的なカメラマン鷹羽キシン氏)
豪華写真集つきで1万円では…この売上も仕方ないか。そもそもこれではCD付き写真集だよなあ。
桜崎のメイド喫茶のCM(主に深夜のアニメ枠で放送)は大好評で、系列店の売上が4倍に跳ね上がったそうだ。
「嬉しいですわ。メイド喫茶にご奉仕できましたわね。」
なお小鳥遊の出演した“働く男のタフネスドリンク”のCMはインパクトが強く、商品もよく売れているようだ。
「やれやれまさか安全ヘルメットを被るハメになるとはね。」
「似合っていたぞ。…変な男が被るよりもずっとね。」
「たはは…褒められてもあんまり嬉しくはないけどな。」
でもよく似合っていたぞ。CM制作会社も上手いキャスティングをしたものだな。
「HA!HA!HA!…NEW WINDのレスラーはリングの内外で大活躍のようですね。」
突然事務所にある男が現れた。その男は覆面をしていた。
「…いつのまに?」
「ふふ…そこは聞かないのがお約束ですよ。」
男は覆面の鼻が気になるのかしきりに手をやっている。
「確かアポはあったはずですね。おおかた霧子君が案内してきたのでしょう。」
「ふふ…そのとおりです。」
「で、カルパッチョ真岡さんの紹介ということですが…」
しかしあのカルパッチョ真岡以外にも覆面のレフェリーがいるとは思わなかったな。
「ええ。私はミスターDENSOU。人呼んで“さすらいの緑マスク”です。」
ミスターDENSOUはにたりと笑った。
「さすらいの緑マスクとはまさにそのままですね。」
ミスターDENSOUの覆面は緑色がベースだ。
「HAHAHA!」
「ところでひとつ質問ですが…」
「なんでしょうかな。」
私は一呼吸置いてから聞いた。
「いつも覆面姿なのでしょうか?」
「HAHAHA!よくぞ聞いてくれた。当然です。さすらいの緑マスクとしては当然ですよ。シャンプーもこのまましているくらいですからね。まあこの間常磐線南千住付近で少々やってしまいましたが。HAHAHA!」
ミスターDENSOUはマスクの鼻を直す。
「サ○ケですか。あなたは。」
「HAHAHA!まあそれはともかく…」
「そうですね。ご用件をお伺いしましょうか。」
「おう。実は…テストをしてもらいたいんだ。」
ミスターDENSOUはまじめな顔つきになっていた。
「ほう…テストですか。」
私はミスターDENSOUの話を聞くことにした。
「か、勝った!」
越後がタッグ戦とはいえ格上の祐希子からスーパーミサイルヒップ(スワンダイブ式ダイビングヒップアタック。別名“空にそびえる くろがねの城”)で3カウントを奪取。
「くっ…やるじゃない。」
「次はシングルで勝ちますよ。」
越後は確実に成長しているな。
「いいケツだったぜ。」
レフェリーのミスターDENSOUが越後に腕を上げながらミスターDENSOUはニヤリと笑った。
「なんか嫌な言い方ですね。」
「HAHAHA!すまねえな、セニョリータ。」
ミスターDENSOUは大口を開けて笑う。
「レフェリングは問題ないのですがな。性格的に少々問題ありかもしれませんなあ。」
やれやれテストはどうしたものか…もう少し考えてみるしかないな。
第2部飛翔編-4年目終了へ
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