NEW WIND社長 風間新 手記「新たなる夢のはじまり~飛翔編~」より
※こちらはレッスルエンジェルスサバイバー2のリプレイとなります。
旧作版NEW WINDとはお話上のつながりはありませんが、登場人物などは一部同じものを使用しています。
「み・な・み!み・な・み!」
のたうちまわる南へとファンが大声援を送る。
「ぐっ…ま、まだっ!」
南は腹部を抑えながら、ふらふらと立ちあがった。
「チャンスだ、大将!」
朝比奈に言われるまでもなく、好機到来だと十分わかっているはずだ。
「だっしゃああああっ!」
小鳥遊はジャンボスープレックス(パワーボムの体勢で持ち上げてそのまま自分の後方へと投げとばす技)で躊躇なく南を場外へと放り投げた。
「うおおおおおっ!」
どよめき、ざわめく場内。
「さすがのパワーですな。」
「南は大丈夫でしょうか…」
「きちんと受身はとっていました。ですが、ダメージを完全に吸収できるわけではありませんからな。効くのは確かでしょう。」
小鳥遊はゆっくりと場外へと降りる。
「小鳥遊!中!中!中!」
トニー館レフェリーが「リング内に戻れ!場内でやれ!」と促すがこんな事を聞くレスラーはいない。
「楽しいディナータイムの始まりだ。鉄柵の味をしっかりと味わってもらおうか!」
小鳥遊は鉄柵へ向かってのジャンボスープレックスを放った。
ドガアアッ!
「ぐううっ…」
胸板を打ちつけ南がうめき声を上げた。
「しゃあああっ!」
先ほどのお返しをした小鳥遊はリングへと戻り雄叫びを上げた。
南はカウント16で立ち上がり、カウント19でなんとかリング内へと滑りこんだ。
「やってくれる…わね。」
さすがに南はダメージの大きかったが、まだ動くだけの体力は残っていた。
「蓄積ダメージが少なかったですからな。」
そう、南は序盤戦でダメージをあまり受けていない。その分だけまだ余力が残っていた。逆に小鳥遊の方が蓄積ダメージは大きく、リング上での動きに精彩を欠いていた。
「だっしゃあああ!」
掴みかかるスピードが鈍い。
「もらった!」
南は巧みに小鳥遊を捕まえると、小鳥遊の巨体を軽々と持ち上げ、この試合2度目となる腕極めノーザンライトボム…サザンクロスボムで脳天をマットへと突き刺した。
「うわあああっ…」
その威力に観客が悲鳴交じりの声を上げた。
「うおおおおっ!」
だが…小鳥遊は化け物だった。
「なっ…」
南がフォール入る前に大魔人のごとく両腕を横に広げながら起き上がってみせた。さすがの南もこれには驚きを隠せない。
「だっしゃああああっ!」
小鳥遊は強烈な大外刈りで南をなぎ倒すと、さっきまでの動きがうそのような素早い動きでコーナーへと昇り、みたび飢餓地獄…ダイビングフットスタンプで質量を伴う華麗な舞で飛んだ!!
「ぐうううっ!」
“一度食らった者は2日の間物を食せない、まるで飢餓地獄のようだ”といわれる小鳥遊のダイビングフットスタンプを3発ももらってしまっては…南は、これから6日間は何も食べられないかもしれないな。
「うおおおおおおおっ!」
クールビューティと評される南だが、中には熱き魂が眠っている。雄叫びとともに南は立ち上がり、フォールを許さない。
「はああああっ!」
サザンクロス・アームロックでギブアップを迫るが小鳥遊もロープへと逃げる。
「だああああああっ!」
先に起きあがった小鳥遊は、上半身を起こした南の胸板を地獄蹴り(走り込んでのサッカーボールキック)で蹴り飛ばした。
「ぐはっ…」
もんどり打って南は倒れた。
「決めろ、大将!」
セコンド朝比奈の声が飛ぶ。
「これでフィニッシュだ。砕け散れえええっ!」
小鳥遊はロープへ飛び反動をつけてガルムズディナーを狙う。
「!」
南は突進してくる小鳥遊の足へドロップキックを突き刺した。
「うぐっ!」
小鳥遊はガクンと片膝をついてしまった。
「完璧なる勝機…見逃すわけにはいかない!」
スカイブルーのリングにフェニックスが飛んだ。
両腕を大きく広げ小鳥遊の顎先を下からカチあげた。
悲鳴と歓声が入り混じる中、南が片エビでフォールにいく。
バンッ!「ワンッ!」
バンッ!!「トゥ!!」
トニー館レフェリーは左右に首を振ってから右手を振りおろした。
バンンッ!!「スリー!!!」
カン!カン!カン!カン!…
南の勝利を…新時代の幕開けを告げるゴングが鳴り響いた。
「ただいまの試合は22分37秒、22分37秒 シャイニングフェニックスからの片エビ固めで勝者南利美!!」
“どわあああああああっ”と場内が沸いた。
「この結果によりまして、南利美選手がMAX WIND2代目女王となります!」
確かにこの時、時代が動いた。
「勝った…」
南はマットに両膝をついたまま両腕を突き上げた。
「み・な・み!み・な・み!」
1万5千人を超える大観衆が総立ちとなって、勝者を讃える。
この日…スカイブルーのリングを新たなる風…南風が吹き込んだ。
月明り その4?へ
PR
この日が来るのを心待ちにしてました
だけど、真のエースになるためにはこれからが大事です
追う者より、追われる者の方がずっと大変ですからね
これからも精一杯応援しますから、頑張ってください
P.S
フィニッシュがシャイニングフェニックスって所に、すごく感慨深い思いがしました