NEW WIND社長 風間 新 手記より。
※この手記は基本的にリプレイですが、風間 新 社長視点で書かれており、創作要素を多分に含んでいます。
ここでの各登場人物の設定は公式なものでなく、管理人N独自のものです。
それをご了承の上、つづきへとお進みくださいませ。
※この手記は基本的にリプレイですが、風間 新 社長視点で書かれており、創作要素を多分に含んでいます。
ここでの各登場人物の設定は公式なものでなく、管理人N独自のものです。
それをご了承の上、つづきへとお進みくださいませ。
「なにィ!?」
◇5年目10月◇
今月はいきなり月初から大変な事になってしまった。
先月の試合で負傷した伊達が欠場するのは規定路線だった。
エースである彼女に無理をさせて悪化させるのは避けたかったからだ。
伊達の欠場が決まった直後、彼女に映画出演の話が来た。
時代劇で、父の残した剣術道場を守るために奮闘する女性師範役だそうだ。
あまりセリフはないのだが、ストーリーの上では大事な役だそうだ。
確かに伊達ならピッタリかもしれないな。
が、この映画出演がカンナは気にいらなかったらしい。
「組みたくない。」
と一言だけ言うと、WWCAタッグの返上を申し出てきた。
「そもそもあのチャンピオンからとっても嬉しくないですから。」
とついでに一言。
どうもJrレベルの選手とWWCAのナンバー2で保持していた王座を評価していないらしい。
「みことと組んで、AACに挑戦したい。」
これを受け第4戦大分大会でAAC王座への挑戦決定。
3期生νジェネVS2期生コンビでの王座戦はちょっとした世代闘争なのかもしれない。
そして冒頭に戻るのだが・・・
「なにィ!?」
用事を済ませ会場へ移動中の私の携帯電話が鳴り、私は報告を受け大声を出してしまった。
会場へ向け移動中の選手たちが大きな事故に巻き込まれたらしい。
よりによって・・・肝心な大分大会への移動中にだ。
・・・といっても彼女たちが事故にあったわけではないが、事故車の何台か後を走っていたため、引くに引けず、進むに進めずの状態に陥ってしまったらしい。
時間的に・・・無理だ。
私は中止、払い戻しの指示を出し、急ぎ会場へと向かう事にした。
文句を言ってくるお客様もそれなりにいたが、11月シリーズで再度大分大会を開催、AACもやるということで納得してくれたようだが・・・事故起こした奴に損害賠償請求したいよ・・・まったく。
☆第5戦熊本大会☆
今日の入りは5000人収容の会場に4529人。
メインイベントがカトリーヌ・チャンVS吉田龍子のWWCAJrなら健闘と言える入りだと思う。
ま、吉田龍子の地元ってのもあるし、”龍子”ってだけで親戚のサンダー龍子と勘違いして来た人も結構いたみたいだしね。
”メインイベント”&”タイトルマッチ”というキーワードで勘違いしたらしい。
おっと!・・・私を責めるのはお門違いですよ。
Jrはいらないと思っていたのだけど、WWCAから指名がきたらやるしかないよね。
吉田も地元でのタイトル戦とあって燃えてるみたいだし。
吉田はまだ基本技だけしか使えないけど、メインイベントでどんな試合を見せてくれるか楽しみだ。
◇WWCAJr◇
若手・新人らしい気合と基本技だけの試合。
キャリアに勝るカトリーヌ・チャンがリードをしていたのだが、フィニッシュ宣言をして放った技に客席驚愕!!
なんと出した技は・・・高速のボディ・スラム。
これには客席も、私たち本部席も・・・口アングリ。
いや・・・WWCAさん・・・なんか仕込んでおいてよ・・・。
これはもちろんカウント2.5でクリアした吉田。
「バカにするな!」
と叫んでDDT2連発。
これを1発目をカウント2.8、2発目は2.9で返したカトリーヌ。
「これで終わりにしてやるよ!!」
とフィニッシュ宣言した吉田が放った技は・・・ボディスラム!
「おいおい!」
と思ったがなんとこの技で決まってしまった。
×カトリーヌ(14分58秒 ボディスラム→体固め)吉田○
ボディスラムでこれだけ盛り上がる試合もないけど・・・
なんだかなあ・・・
◇最終戦福岡大会◇
「社長、今日は見ててくださいね。こないだ思いついた新技で勝ちますから。」
珍しく武藤が興奮気味に話しかけてきた。
「へー新技ね。どんな技なの?」
「そうですね、竜虎原爆ってところですよ。 強そうでしょ?」
竜虎原爆・・・?
「めぐみったらEWAでヒントを得たって帰りの飛行機の中でうるさかったんですから。」
「何よ!」
「はいはい。わかったからケンカしないの!ともかく楽しみにしてるよ。」
武藤と結城はアップをしにリングへと移動していった。
「ちょっと、社長!」
「なんだよ南・・・怖い顔して。」
「今・・・言った事本心かしら?」
「え・・・楽しみにしてるって言った事?」
「・・・本心なのね?」
南の目が冷たく光る。
「あ・・いや・・その・・・」
「今日のカード分かってていったんでしょうね?」
今日のカード・・・南&永沢VS武藤&結城・・・
しまった・・・
「ひどいですう社長!私たちを実験台にすることを許可したんですう!」
「社長・・・よくわかったわ!」
なんなんだ・・・一体。
南と永沢に責められる私・・・だが一応中立の立場なんですけど私。
◇メインイベント◇
今日のメインは南&永沢VS武藤&結城。
伊達が欠場している為、永沢は南と組ませて教育してもらっている。
「ドラゴンタイガー! いっきまーす!!」
試合終盤、永沢のドラゴンタイガー・・・いやテキーラサンライズが武藤に決まった。
カウントは2.8。
テキーラだと言ってるのに永沢的にはドラゴンタイガーらしい。
「このお!」
フライングニールキックで反撃した武藤。
「竜虎原爆!!」
今度は武藤がフィニッシュ宣言。
果たして竜虎原爆とはどんな技なのだろう。
ニールキックを食らいふらふらと立ちあがった永沢のバックをとった武藤は永沢の左腕を永沢の体の前でアームロック風にロック。
さらに右腕を永沢の体の前でフルネルソン風(片腕だからハーフネルソン?)にロック。
永沢を正面から見たら、”アニマル!”って感じのポーズに見えるんだよな。
なんとなく笑える体勢だ。
それにどこかで見たような・・・
そのまま後方へブリッジする武藤・・危険な角度で永沢がマットへ。
南は唖然としていや笑いが止まらずカットに入らない・・・いや入れない。
そのまま・・・3カウント。
「18分53秒、18分53秒・・・」
「竜虎原爆!」
いつもならすぐに入る仲間リングアナの決め技コール。
間が開いたので武藤が技の名前を伝える。
「社長・・・これ言ってもいいんですか?武藤のイメージが崩れますけど・・・」
小声で私に確認する仲間リングアナ。
何を言いたいのかはわかっているので私は・・・
「・・・ま、そういうのも面白いんじゃないかな。逆に堅いイメージが取れるだろう。ぷっ」
「わかりました。」
と言って仲間リングアナは表情を引き締める。
が・・・どことなく頬が緩んでいる。
「失礼いたしました。只今の試合は・・・18分53秒・・・」
「竜虎原爆!」
「”へなーらサンセット”によりまして勝者 武藤めぐみ!」
この瞬間会場大爆笑。
私も、仲間リングアナも・・・ダンディ須永氏も・・・井上さんも・・・対戦相手だった南をはじめ、武藤&結城を除く選手が大笑いしている。
リフェリーのトニー館もマットを叩いて笑い転げている。
”孤高の天才”武藤めぐみと”へなーらサンセット”ミスマッチな組み合わせだ(笑)
永沢のキャラでのドラゴンタイガー=テキーラ事件よりも衝撃・・・いや笑撃度は大きい。
「竜虎原爆・・・」
「あっははは。アンタはもう少し勉強した方がいいわね。それは”へなーらサンセット”っていう技よ。」
「へ・・なーらサンセット・・・ですか?」
「そうよ。もう引退してるけど女子プロレス界の誇る(?)”伝説のパフォーマンスレスラー”のオリジナル技なのよ。元々は永沢が今使っているテキーラを掟破りで仕掛けようとして”間違えた”らしいけどね。」
南はおなかを抱えている。
どう見ても試合を終えたばかりのレスラーとは思えないな。
「笑いすぎて腹筋が痛いわ。今日のどんな技より効いたわよ。」
とわざわざマイクで言い放ち、南は永沢とさっさと退場。
この南のマイクに再び会場は爆笑の渦。
気づけばパートナーの結城の姿も消えていた。
「ちょ、ちょっとお! 何よこれ!!」
しかもこの大会・・・テレビ中継されてるし・・・地元の福岡での試合なんだよなあ。
◇控え室◇
「舞といい武藤といい勉強不足ねえ。ちゃんと事前に確認しなさいよ。」
「・・・私あの技で負けたの恥ずかしいです。」
「見た目はアレだけど結構嫌な角度で来るのよね・・・あの技。」
「効いたですう。」
「・・・でも確かにあの技で負けたくないわね・・・」
この南の言葉に控え室にいた選手たちが一斉に頷いたのは言うまでもない。
「私の竜虎原爆が・・・へなーら・・・だなんて・・・」
数日後に発売された週刊女子プロレス誌および週刊レッスル誌では・・・
”孤高の天才はお笑いのセンスも天才?”と書かれていた。
そしてこの試合を見たのだろう、武藤へコメディ映画の出演オファーが来たのだが・・・武藤は当然拒否してきた。
ま、AACタッグも予定してるから受けられても困るんだけどね・・・
こちらから管理人に拍手及びメッセージを送ることができます。
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むとめも、「伝説のパフォーマンスレスラー」の試合を観たらさらにショック受けるんじゃないでしょうか(笑)。