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2024/12/04 21:36 |
”複雑な想い” ~門を叩きし者side南利美~  
南 利美 回顧録”MINAMI” より。


※このお話はレッスルエンジェルスサバイバーのプレイ結果から管理人Nが創作したものです。
 このお話は”南利美視点”で書かれています。
いつもの風間社長視点ではないのでご注意ください。
 この辺りを了承の上”つづき”をご覧になってくださいね。

 

 ”実妹ハイブリット南入団について”

 私がプロレス入りした時、妹(ハイブリット南)はまだ10歳でした。
私がプロレス入りした時も妹は「ふーん。お姉ちゃんは変わった事するのね。」と一言。
 プロレスには興味なかったんだと思うわ。
この頃・・・はね。

 私はNEW WINDに入団してから正月の時と地元で興行がある時くらいしか家には帰らなかったし、妹とは年が離れていた事もあって会話なんてほとんどしなかったから、妹がいつからプロレスに興味を持つようになったかは知らなかったの。
 大体私の凱旋興行だって観にきた事ないのよ(笑)
”絶対プロレスは嫌いなんだ”と思っていたわ。
 
 妹からプロレス入りしたいと聞いたのは・・・確か4年目の終わり頃だったと思う。 吉田が入団してくる前だったから。
 えっ? どう思ったかって??

 ・・・複雑な気持ちだったのは確かね。
私はプロレスの怖さも楽しさも知ってるし、辛い部分も面白い部分も知ってるわけじゃない?
 だから・・・なんとも言えない複雑な気分だったの。
しかも妹は「NEW WINDに入りたいの。」と言う。
 これには参ったわ。
確かにNEW WINDは最高の団体だし、入るならNEW WINDが一番勉強になると思う。
 それはレスラーとしてはそう思うわ。

 だけどね・・・姉という立場で見たら・・・やっぱ嫌ね。
NEW WINDに入るという事は、同じリングに立つという事。
 つまり対戦する確率は高いわけじゃない?
やり難いのは確か。
 レスラーである以上は、対戦相手が親であろうが身内だろうが恋人だろうが・・・倒すべき相手。
 これは理屈ではわかっているし、体も勝つための動きはすると思う。
だけど・・・心が納得・・・もしくは割り切れるかはやってみないとわからないじゃない?
 その辺りはやっぱり不安だったわね。

「他の団体ではダメなの?」
「・・・レスラーになる事には反対しないのね?」
「反対も賛成もしないわ。 ただ甘い世界ではないのは覚悟しなさい。」
「もちろん分かっているわ。 そして分かっているからこそNEW WINDに入りたいの。」
 妹は強い決意を感じさせる口調だった。
私が反対しても、妹は諦める事はないだろうという事をこのとき悟ったわ。
「・・・かなり強い意志のようね。」
「うん。本気よ。」
「聞いてもいいかしら。何故レスラーになりたいの?何故NEW WINDなの?」
「最強の団体だし、それに・・・お姉ちゃんに勝ちたいから。」
「最強の団体になりつつあるのは認めるけど・・・レスラーになるのは私に勝ちたいからなの?」
「そうよ。何がいけないのかしら?」
「どうして私に勝ちたいからレスラーなのかしらと思ってね。」
「どうしてって? いじめられた仕返しをリングで出来るじゃない?」
「あのね!・・・そんな気持ちならレスラーになんかなるな!!
私は思わず怒鳴りつけてしまったわ。
「・・・ごめんお姉ちゃん。今のは冗談のつもりだったの。」
「・・・」
私は黙ったまま言葉の続きをまったわ。
「まさか怒るなんて・・・お姉ちゃんはプロレスが大好きなのね?」
「・・・プロレスを愛している・・・と言って欲しいわ。」
「私はそんなお姉ちゃんのプロレスが大好きなのよ。自慢のお姉ちゃんに近づきたい、追い越したいという気持ちがあるわ。私も完璧な試合を見せてみたい。 完璧な試合でお姉ちゃんを倒したいって。」
「・・・あなたに倒されるようなら・・・引退決定だわ。」
「じゃ、あと1年ちょっとね。入団したらすぐ引導を渡してあげるわ。デビュー戦で」
 まったく・・・可愛げがないわね。
誰に似たのかしら・・・

「楽しみにしてるわ。 で、一応社長には話しておいてあげるけど。」
「・・・社長さんって若いわよね?」
「私よりは年上よ。確かに若く見えるけど。」
「私も会うわ。 興味あるし。」
「はあ?」 

 そんなやりとりがあった後、私は妹を社長に紹介したの。

「へー南の妹か。 そっくりだな。」
のんきな社長の言葉になんだかイライラした私は・・・
「どこが似てるのよ?!」
と思わず怒鳴ってしまった。
「・・・全部だけど・・・誰がどう見てもそっくりじゃないか。あえて違いをいうなら南よりも”若い”というくらいで・・・グゲエ・・・南・・・悪かった・・・ギブ・・ギブ・・・」
 私は思わずスリーパーで社長を絞めあげていた。
「あ。。。」
「ゲホッ!・・・チョークで入れるなよ・・・反則だぞ。」
「5カウント以内なら反則じゃないわ。 ・・・って姉ならいいます。」
私が言おうとしたセリフを妹に取られた。
「社長さん、いつもこんな姉の面倒を見てくださってありがとうございます。」
「私こそ貴方のお姉さんにはお世話になってます。 南のアドバイスは的確だし、とても助かっていますよ。」
 この野郎・・・猫被ったな・・・
「まあそうですか。 姉をよろしくお願いしますわ。 で、私の入団の件ですけど・・・」
 このバカ妹も・・・猫被ってる。
「今度5期生で吉田というのが入団したんですけど、まだ一部屋残っていますし、来年の6期生まで新人を取る予定はありません。 貴方がその気なら私は歓迎します。 南の妹さんなら、センスは抜群のはずですし。」
「じゃあ・・・」
「6期生としてお迎えする用意はしておきます。ただし、ちゃんと体を作っておいてください。 うちの練習は厳しいですよ。 何しろ口うるさい小姑が一人いますから。」
 社長はチラリと私を見ながら言う。
「・・・小姑って私の事かしら?」
「お姉ちゃん自覚あるの?」
プチン・・
「あるわけないだろ~~!!」

 あーなんだか今思い返しても腹が立つわ。
あの時の妹と社長のコンビネーションアタックは抜群だったし。

 「入団は決定事項としておくが、外部・内部には伏せておく」と社長は言ったわ。
 あのヒールな表情をしている社長を見た限り、くだらないイタズラでも思いついたんでしょうね、きっと。

 帰り道なんだか嬉しそうな妹とちょっぴり不機嫌な私は無言で歩いていたわ。

「お姉ちゃん、私やっぱりNEW WINDにしてよかったわ。」
「話早かったしね。 あと1年・・・15歳でデビューできるなんてちょっと羨ましいわ。」
 私は16歳でNEW WINDに入団した。
他の同期よりも1歳年上という事は、アスリートとして伸びる時期を一年無駄にしたという事だ。
 最初のうちこそ経験の差でリードできたけど、いつの間にか遥には抜かれてしまっていたし。
「あと1年私も早かったら・・・」
「ううん、そうじゃないわ。社長さん面白い人だったし・・・それに・・・」
「・・・それに?」
「結構いい男だったわ。お金もあるみたいだったし・・・狙ちゃおうかしら。」
 え、ええっ!?
「ちょっとあなた・・・」
私は言葉が続けられず口をパクパクさせてしまっていた。
「何?」
「・・・年が離れすぎじゃないのかしら。」
ようやく冷静さを取り戻したのだが・・・
「愛がれば年齢は関係ないのよお姉ちゃん。」
「小娘が知ったような口をきくんじゃないの!」
私は思いっきり妹の頬をつねり上げた。
「痛い・・・痛い・・・」
「プロレスはもっと痛いのよ!」
私はもう片方の手で逆側の頬もつねり上げる。
「ひゃん・・・ひゅう・・・ひゅりー・・・ひょー・・・ひ」
”ゃいぶ”と言われる前に手を離した上げたわ。
「いひゃい・・・痛いわね!」
「5カウント以内なら反則じゃないわ。反則カウントを取ったみたいだったけど残念ね。」

 なんだか心配の種が増えた感じね。
”・・・全部だけど・・・誰がどう見てもそっくりじゃないか。あえて違いをいうなら南よりも”若い”というくらいで・・・”
 さっきの社長の言葉をなぜか思い出したわ。
「若い方がいいのかしら・・・」
 もっとも社長の場合年齢のわりに常に若い子に囲まれているわけだから、若いのには慣れているとは思うし、大丈夫かな・・・

・・・って私は何を考えてるのかしらね。  
 
 さ、妹に負けないように自分を磨かないと。
強く・巧くなって・・・あとお肌も磨いて・・・若さをたも・・ってってどうしてこんな事ばかり考えるのかしら。

  
 なんだか妹と社長のせいでリズムが崩れたわ。
明日から頑張りなおさないと・・・

 遥に負けてばかりいられない。
カンナやみこと、武藤・結城も凄く成長して来てるし・・・このまま簡単に抜かれるわけにはいかないわ。

 あと1年早くNEW WINDが旗揚げしてたとしたら、絶対に違ったのに。

 色々と複雑な気持ちだわ・・・

 

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2006/11/11 01:00 | Comments(0) | NEW WIND編

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