ペースをつかんだ王者組は、一気にとどめを狙う。
「いくよっ！『ヘル＆ヘブン』！」
「ＯＫ、めぐみっ！」
結城が永原を抱えあげ、武藤がロープに飛ぶ。
武藤のフライングニールキック＋結城のバックドロップという脅威の合体技で、ＫＯ率がかなり高い技だ。
天国か地獄か・・・という意味でつけられたネーミングらしいが、食らった側は地獄だろう。
「させるかっ！」
だがこれは相羽が場外から武藤の足を掴み転倒させ、カット。
永原はそれをみて空中で体勢を入れ替えボディプレスで押しつぶす。
「カバー！」
「ＯＫ！」
バン、バン・・・
「このっ！」
これはカウント２で肩を上げる。
相羽はこの間に武藤を場外に引きずりおろし、ＤＤＴで武藤の動きを止めている。
「ジャーマンバリエーション１」
永原が右の人差し指を突き立てる。
「いくぞっ！」
「決めるわよっ！」
永原が右側から相羽が左側から結城を抱え上げる。
「二人がかりのジャーマン？！」
「二人がかりのバックドロップは見たことがあるけど、ジャーマンはあまり記憶に無いね。」
綺麗なブリッジで結城を投げた二人はそのままホールド。
「ノーノー、カウントとらないよ。」
二人がかりのフォールになるので、フォールはとらないという。
「このっ！」
武藤が戻ってきて、ブリッジしている相羽と永原の足を思いっきり蹴飛ばしカット。
「よくもっ！」
相羽を引き起こすと、武藤はロープへ振り、即追いかけてダッシュする。
ロープから跳ね返った直後に、フライングニールキックを叩きこみ、相羽をダウンさせた。
「永原っ！」
武藤は返す刀で永原へもニールキックを放つが、これを永原は回避、行き場を失ったニールキックはパートナーの結城に誤爆。
「しまった・・・」
という顔をする武藤のバックに永原が回りこみ、がっちりとクラッチする。
「ジャーマンバリエーション２！」
永原が叫ぶ。
「今よっ！」
この声に反応した相羽が永原の腰をクラッチする。
「いっけえ～っ！！」
相羽は脅威のブリッジで永原ごと武藤をジャーマン！
相羽の架けた人間橋の上に、永原の人間橋。
２重の人間橋がリング上に完成！
「あれは・・・眉山！」
「凄い・・・あれを女子でやるとは・・・」
武藤には試合権利がないのでフォールには行かない。
ただ・・・この技は永原にもダメージが残る技なのであるが。
「このっ！」
ここで蘇生したのは結城。
ニールキック誤爆から立ち直ると、相羽をキャプチュードで投げ飛ばし、永原をバックドロップで投げ捨てる。
「カバー！」
バンっ！
バンッツ！
「まだまだあ！」
永原は勝負を諦めない根性の持ち主。カウント２．９でギリギリ肩を上げた。
「やるわねっでも・・・・」
永原を引き起こす結城。
「させるかっ！」
バックドロップを狙う結城にエルボーを叩き込み、パートナーを救出する。
「ジャーマンバリエーション３！」
今度は相羽が宣言する。
「凄いですね。まだバリエーションあるんですか？」
「というより、ジャーマンの連携しかないのが凄いよ・・・」
「たあっ！」
相羽がジャーマンで結城を後方に投げ捨てる。
クラッチは外してあるので、結城は一回転してしまう。
「エイッ！」
今度はその結城を永原がジャーマン。
「連続ジャーマンでしょうか。」
「これは結構効いたんじゃない？」
バン！
バン！
結城は動かない。
「させないっ！」
ダウンしていたはずの武藤が飛び込んでカット。
「きわどかったですね。」
「結城選手なら返したかもしれないけど・・・」
「微妙でしたね。」
「邪魔するなっ！」
相羽は武藤を捕らえ、エースクラッシャー。
これで動きが止まった武藤を無理やり引き起こす。
「ジャーマンバリエーション４！」
「まだあるのっ？」
永原も結城を引き起こし、ジャーマンクラッチ。
「王座への！」
「夢の架け橋！」
「人間橋だあっ！」「人間橋です！」
永原のジャーマンと相羽のジャーマンが同時に火を噴く。
バン！
「ワンっ！」
バン！
「トゥー！」
里香とすずも声を合わせカウントをとっていた。
レフェリーはタメを作ってから、かすかに首を左右に振ると右手を振り下ろした。
バンッ！！
「スリー！！」
まさかの結末に観客総立ち。
「２４分３５秒 ジャーマンスープレックスホールドにより、勝者、永原ちづる！」
リングアナのアナウンスに歓声。
「最後は、同時ジャーマン・・・ですね。」
「うん。綺麗な人間橋だったね。」
「あの瞬間、あの橋の向こうにベルトが見えましたよ。」
「まさに『王座への 夢の架け橋 人間橋』だね。素晴らしい技だったと思う。威力も、ブリッジの美しさも、全て完璧な一撃だったわね。」
「魂が震えました。技へのこだわり・・・美しいです。」
「どうだっ！」
勝ち誇る永原と相羽。
「やるじゃない。役不足は取り消してあげるわ。」
武藤が負けたとはいえ上から目線を崩さない。
「そう。でも・・・チキンは取り消さないけどね。」
「なんですって？取り消しなさい！」
「いやよ。当分あなたはチキンよ。千種のコーチンは取り消してあげるわ。」
「やった！嬉しいね、めぐみ。」
「嬉しくないわよ。」
「私はコーチンじゃなくなったんだよ、嬉しいよね、めぐみ？」
結城はうるうるした瞳で武藤を見る。
「・・・それに関しては嬉しいけど、なんで私がチキンなのよ。」
納得がいかない武藤だったが、千種が嬉しそうにしているので、まあいいかと思ってしまった。
この結果しばらく武藤はチキン扱いされるが、それを返上するのはまた別の話になる。
「こだわりのジャーマンで王座を取れたのは嬉しいです。」
「これから二人でドンドン力をつけていって、いつかシングル王座をとってみせます。」
「どっちがとっても、最初の防衛戦にはお互いを指名することになっています。」
「ボクが先ですけどね。」
「私が先よ。」
この軽い言い争いに笑いが漏れる客席。
「その時のフィニッシュは？」
「ジャーマンに決まってるじゃない。」
「ジャーマンですよ。ボクの人間橋で、王座への夢の架け橋を架けてみせます！」
「『王座への 夢の架け橋 人間橋』か。私たちももっと頑張りましょう、すずさん。」
「そうだね。今日はいいものを見たよ。」
「私たちはジュニア王座戴冠を目指しましょう。」
「そうだね。そしていつか、あの二人とベルトをかけて試合してみたいね。」
「いつか出来るといいですね。」
里香とすずは、リング上の二人にもう一度拍手をおくった。
（終）
『王座への 夢の架け橋 人間橋』
出演
永原ちづる、相羽和希
結城千種、武藤めぐみ
越後しのぶ、キューティ金井、富沢レイ
岩井里香＆小早川すず（上野女子プロレス）
自分の句ですから、好き勝手に書いていますね。
えっ？「他のでも好き勝手に書いているだろう？」って？
「その通り！正解！」
明らかに他に比べて長くなりましたので分割してお届けしました。
しかも４分割になるですし・・・（苦笑）
本当はなら、『栄光のスターロード』編もしくは『星明りの少女』で書く予定だったのですが、王座戦がジャーマンで決まらなかったので書けませんでした。
なお今回の設定は今までとは違う団体でイメージしています。
里香＆すずは私の別作品「夢のリングへ」（リング・ドリーム基準）からの出張です。
どういう子たちか知りたい方は「夢のリングヘ」（全５話）をお読みくださいませ。
なお作中のジャーマンのバリエーションは全て実現出来る範囲で考えています。
別の視点から試合を語らせる方法は、普段風間でやっていましたが、掛け合いにすると新鮮な感じですね。
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コメント
バリエーション３で終わりにしようかな・・・とも考えましたが、二人でジャーマンという絵が欲しかったので、４で〆ました。
レベル１スターライトにしましょう（笑）
この話は続きもかけそうですけど、あえてここまでにしておきます。
綺麗なままで終りたいので（笑）
レベル１スターライトにしましょう（笑）
この話は続きもかけそうですけど、あえてここまでにしておきます。
綺麗なままで終りたいので（笑）
posted by Nat 2007/06/29 00:32 [ コメントを修正する ]
良いですねジャーマンコンビ(≧▽≦)/！
めぐちぐ相手にタッグ王座を奪うとはジャーマンコンビ恐るべし(笑)
いつかシングル王座のベルトを争う相羽ＶＳ永原のジャーマン対決が見てみたいです(^-^)
めぐちぐ相手にタッグ王座を奪うとはジャーマンコンビ恐るべし(笑)
いつかシングル王座のベルトを争う相羽ＶＳ永原のジャーマン対決が見てみたいです(^-^)
posted by ゼロat 2007/07/02 12:48 [ コメントを修正する ]
ジャーマンバリエーションの3は特に強烈ですね～ジャーマンを必殺技にしている二人なので、説得力は抜群です。ぜひこの必殺連携を武器に防衛を重ねて欲しいところです。
ジャーマン馬鹿一代な永原と組むことできっと、相羽も真のジャーマン馬鹿に開眼することでしょう。LV2スターライトジャーマンとか…（微妙）