編集部より。
これは連載126回にて終了した、『NEW WIND社長風間新手記』を加筆・修正した改訂版です。
無駄な部分をそぎ落とし、表現にも手を入れてあります。
印象が変わるかもしれませんが、NEW WINDの歴史を再度振り返っていただければと思います。
これは連載126回にて終了した、『NEW WIND社長風間新手記』を加筆・修正した改訂版です。
無駄な部分をそぎ落とし、表現にも手を入れてあります。
印象が変わるかもしれませんが、NEW WINDの歴史を再度振り返っていただければと思います。
◇2年目10月◇
氷室のファンクラブが結成された。
クールな感じで女性ファンの方も多い南と比べ、おっとりした感じで人気の氷室は男性ファンが圧倒的に多い。氷室曰く「運命。」だそうだが。
ようやく宿舎の改築が終わり、2部屋を増築することが出来た。これで新たな人材を確保できるようになるが、新人募集は来春の予定。それまで募集する予定はない。
今月の興行の柱は3大タイトルマッチ。
ジュニア王座は、南のたっての希望で伊達VS南。
タッグ王座には、ジュニア王座を争うライバル、伊達&南組が挑戦。
そして最終戦で組まれたAACヘビーには、その段階でのジュニア王者が挑戦すると言う事になっている。
伊達のモチベーションを高めることも出来るし、南だって上手くすれば無冠から一気に3冠王者になる事も可能だ。
☆AACジュニア選手権試合☆
『伊達遙VS南利美』シリーズ開幕戦でいきなりこのカード。
ちょっと勿体ないような気もするが、今月は世界タッグ選手権を5戦目に、最終戦では世界ヘビー選手権を組んでいるので仕方なし。
以前は南有利のカードだったが、最近は伊達に押されている。南はこの試合に勝って、ライバル伊達からジュニア王座を奪取し、ライバルより先にヘビー王座挑戦したいところだ。
南の意気込みは攻めの徹底ぶりでわかる。
リバースハーフボストンクラブ(逆片エビ固め)、サザン(ドラゴン)スクリュー、サザンブレーカー(変形ヒザ十字固め)で伊達のメイン武器であるヒザを破壊しに行く。
ヒザ破壊に関する徹底ぶりは半端じゃない。繰り出すドロップキックも、ヒザ狙いの『低空バージョン』とにかく出来るかぎりヒザを狙う。
ボディスラムやアームホイップを決めれば、立ち上がる前にヒザへのストンピングを見舞うなど、とにかく伊達のヒザを破壊しにいく。
そしてかなり痛めつけたところで、前回同様、リング中央でネオ・サザンクロスロック!
『これは決まったか』と思ったが、なんと伊達は高速でエスケープ。
そしてまたもこの技の離れ際に・・・シャイニングフェニックス!!
だが、今度は南が一枚上手だった。
「そう何度も通用すると思って?」
巧みに腕でブロックし、伊達の蹴り足をキャッチするとカウンターのサザンスクリュー!
「あうっ!」伊達は悲鳴を上げ、ヒザを抱えて倒れこむ。ここで南は、サザンブレーカーを狙うが、伊達はそれよりも一瞬早く立ち上がり、フェニックス・ニー!
痛めた右ヒザでの攻撃だが、南のボディを的確に貫いている。威力はそれほど落ちていないようだ。
「ぐう・・・」
ふらついた南が思わず片ヒザをついた瞬間、痛めつけられた足とは逆の左足でのシャイニングフェニックス! 南はそのまま3カウントを聞いた。
「23分3秒、シャイニングフェニックスからの片エビ固めで勝者、伊達遙!」
「南さん・・・いい試合でした・・・ありがとう。」
「今日のところは負けを認めるしかないわね。左で決めに来るなんて思わなかったわね。今日はやられたけど、次は左足も極めてあげるわ。」
今回は伊達との握手に応じた南。この二人で今度は世界タッグへ挑戦だ。
☆AAC認定世界ヘビー級タッグ選手権試合☆
王者ジョーカー・レディとデスピナに伊達と南が挑戦する。
7月と同じカードだが、この数ヶ月で二人とも大きく成長した。団体内外からの『今度こそ』の期待は当然高まっている。
伊達、南ともに『デスピナよりは上だが、ジョーカーよりは下』という風に見られている。
二人が王座奪取の為にとっ戦法は、、デスピナ狙い。
だが、それは王者組の予想の範囲内。素早いタッチワークを駆使し、デスピナがローンバトルになるのを嫌う。
最大の勝機は35分を過ぎたところ。
お馴染みの光景だが、リング中央で、必殺のネオ・サザンクロスロックが決まった!
デスピナをギブアップ寸前まで追い詰めるが、惜しくもエスケープされてしまった。
デスピナはなんとかジョーカーに替わり、替わったジョーカーが南を追い詰めていく。
伊達にタッチする隙をうかがう南だったが、巧みなタッチワークを駆使する王者組に完全に捕まってしまった。
最後はカットに入る伊達をジョーカーが押さえている間に、デスピナのミサイルキックで南が3カウントを喫してしまった。
「無様な試合だったわ。」
南は納得いかない表情だったが、勝てない相手ではなかっただけに仕方ないことかもしれない。
☆AAC認定世界ヘビー級選手権試合60分1本勝負☆
『AAC認定世界ヘビー級王者』チョチョカラスVS挑戦者『AAC認定世界ジュニアヘビー級王者』伊達遥
AACが認める世界王者に、AACが認める若手No1が挑む。
下馬評は9:1でチョチョカラス。
伊達の成長が著しいとはいえ、チョチョにはまだ勝てないというのが一般的な見方だ。
私は『伊達遥というプロレスラーには不思議な力が宿っている』というのを感じているので、ここは勝つ可能性もあると思っていた。
だが・・・しかし、予想とはまったく違う試合展開になってしまった。
試合開始から15分間は完全に王者チョチョのペース。
まさに一方的としかいいようがなかった。
伊達が時折エルボーで反撃をしているが、流れを引き寄せることがまったくできない。
(・・・なんてこった。)
私は世界との差を痛感したのだが・・・
フィニッシュを狙いにいったチョチョの『渾身のミサイルキック』を、伊達が回避!
凄い勢いでチョチョがリングに叩きつけられてしまう。
「Oh!」
かなりのダメージを負ったようだ。
立ち上がったチョチョは・・・「よくもよけてくれたわね?」という目で伊達を睨む。
再びチョチョは伊達をダウンさせると、起き上がりを狙ってミサイルキック!!
そしてドゴン!!という音が響く。どうやら伊達は再びミサイルキックを回避した。
ミサイルキック自爆2連発で、チョチョは大ダメージを負ったようだ。
ここぞ!ばかりに伊達が攻め込む。
チョチョの起き上がりを狙い、フェニックスニーを強烈に突き刺す。カウント2.5。
さらに起き上がりを狙った『必殺』のシャイニングフェニックスはカウント2.99
今までの伊達だったら『必殺』シャイニングフェニックスが返されたら、動揺しているところだったが、今回は折込ずみだったようだ。
VSチョチョカラス用というか、ヘビー王座挑戦用に開発した新技、フェニックス・スープレックスが残っているからだ。
「勝機!見逃すわけにはいかない!!」
伊達の新技フェニックス・スープレックスが炸裂。
形としては裏ダブルリストアームサルトに近い。
フェニックスが翼を広げて飛翔しているイメージらしい。(らしいというのは伊達が詳しい説明をしてくれないから)
バン!
「1!」
バン!
「2!」
レフェリーのトニー館が右手を高く振り上げ、首を左右に振ってから振り下ろした。
バンッ!
「スリー!」
決まった!!
この瞬間AACジュニアへビー王者伊達遥は、ジュニア王者の身分のまま、ヘビーのベルトを手に入れてしまったのだ。
「只今の試合は21分31秒、フェニックス・スープレックスによりまして、勝者、伊達遥! AAC認定世界ヘビー級王座は伊達遥の腰に巻かれる事になります。 伊達選手はこれでJr&ヘビーの2冠王者となります!」
「完璧なフィニッシュでしたね。途中までは完全に王者ペースだったのですが・・・ミサイルキックの失敗で流れが変わりましたね。 あっ、伊達選手がマイクを要求していますね。これは珍しい光景ですよ」とダンディさん。
「・・・あの・・・社長・・・」
伊達がマイクを持つなんて初めてじゃないのか?
「はい?」
不意をつかれた私は、声が少し裏返ってしまった(苦笑)
「・・・あの・・・ジュニアのベルト・・・返上したい・・・だめ?」
私は、隣に座っているAAC関係者に確認する。
「伊達選手、それは可能だそうです。」
「じゃあ・・・返上します。・・・私・・・ヘビーに絞るから・・・」
ヘビー&ジュニアヘビーの2冠王者に輝いた伊達だったが、その場でジュニアベルトを返還し、ヘビー王座に集中する事を宣言した。
このヘビー王者戴冠をきっかけに伊達遥は一気にトップレスラーへの道、そしてスターへと飛翔していくのだった。
氷室のファンクラブが結成された。
クールな感じで女性ファンの方も多い南と比べ、おっとりした感じで人気の氷室は男性ファンが圧倒的に多い。氷室曰く「運命。」だそうだが。
ようやく宿舎の改築が終わり、2部屋を増築することが出来た。これで新たな人材を確保できるようになるが、新人募集は来春の予定。それまで募集する予定はない。
今月の興行の柱は3大タイトルマッチ。
ジュニア王座は、南のたっての希望で伊達VS南。
タッグ王座には、ジュニア王座を争うライバル、伊達&南組が挑戦。
そして最終戦で組まれたAACヘビーには、その段階でのジュニア王者が挑戦すると言う事になっている。
伊達のモチベーションを高めることも出来るし、南だって上手くすれば無冠から一気に3冠王者になる事も可能だ。
☆AACジュニア選手権試合☆
『伊達遙VS南利美』シリーズ開幕戦でいきなりこのカード。
ちょっと勿体ないような気もするが、今月は世界タッグ選手権を5戦目に、最終戦では世界ヘビー選手権を組んでいるので仕方なし。
以前は南有利のカードだったが、最近は伊達に押されている。南はこの試合に勝って、ライバル伊達からジュニア王座を奪取し、ライバルより先にヘビー王座挑戦したいところだ。
南の意気込みは攻めの徹底ぶりでわかる。
リバースハーフボストンクラブ(逆片エビ固め)、サザン(ドラゴン)スクリュー、サザンブレーカー(変形ヒザ十字固め)で伊達のメイン武器であるヒザを破壊しに行く。
ヒザ破壊に関する徹底ぶりは半端じゃない。繰り出すドロップキックも、ヒザ狙いの『低空バージョン』とにかく出来るかぎりヒザを狙う。
ボディスラムやアームホイップを決めれば、立ち上がる前にヒザへのストンピングを見舞うなど、とにかく伊達のヒザを破壊しにいく。
そしてかなり痛めつけたところで、前回同様、リング中央でネオ・サザンクロスロック!
『これは決まったか』と思ったが、なんと伊達は高速でエスケープ。
そしてまたもこの技の離れ際に・・・シャイニングフェニックス!!
だが、今度は南が一枚上手だった。
「そう何度も通用すると思って?」
巧みに腕でブロックし、伊達の蹴り足をキャッチするとカウンターのサザンスクリュー!
「あうっ!」伊達は悲鳴を上げ、ヒザを抱えて倒れこむ。ここで南は、サザンブレーカーを狙うが、伊達はそれよりも一瞬早く立ち上がり、フェニックス・ニー!
痛めた右ヒザでの攻撃だが、南のボディを的確に貫いている。威力はそれほど落ちていないようだ。
「ぐう・・・」
ふらついた南が思わず片ヒザをついた瞬間、痛めつけられた足とは逆の左足でのシャイニングフェニックス! 南はそのまま3カウントを聞いた。
「23分3秒、シャイニングフェニックスからの片エビ固めで勝者、伊達遙!」
「南さん・・・いい試合でした・・・ありがとう。」
「今日のところは負けを認めるしかないわね。左で決めに来るなんて思わなかったわね。今日はやられたけど、次は左足も極めてあげるわ。」
今回は伊達との握手に応じた南。この二人で今度は世界タッグへ挑戦だ。
☆AAC認定世界ヘビー級タッグ選手権試合☆
王者ジョーカー・レディとデスピナに伊達と南が挑戦する。
7月と同じカードだが、この数ヶ月で二人とも大きく成長した。団体内外からの『今度こそ』の期待は当然高まっている。
伊達、南ともに『デスピナよりは上だが、ジョーカーよりは下』という風に見られている。
二人が王座奪取の為にとっ戦法は、、デスピナ狙い。
だが、それは王者組の予想の範囲内。素早いタッチワークを駆使し、デスピナがローンバトルになるのを嫌う。
最大の勝機は35分を過ぎたところ。
お馴染みの光景だが、リング中央で、必殺のネオ・サザンクロスロックが決まった!
デスピナをギブアップ寸前まで追い詰めるが、惜しくもエスケープされてしまった。
デスピナはなんとかジョーカーに替わり、替わったジョーカーが南を追い詰めていく。
伊達にタッチする隙をうかがう南だったが、巧みなタッチワークを駆使する王者組に完全に捕まってしまった。
最後はカットに入る伊達をジョーカーが押さえている間に、デスピナのミサイルキックで南が3カウントを喫してしまった。
「無様な試合だったわ。」
南は納得いかない表情だったが、勝てない相手ではなかっただけに仕方ないことかもしれない。
☆AAC認定世界ヘビー級選手権試合60分1本勝負☆
『AAC認定世界ヘビー級王者』チョチョカラスVS挑戦者『AAC認定世界ジュニアヘビー級王者』伊達遥
AACが認める世界王者に、AACが認める若手No1が挑む。
下馬評は9:1でチョチョカラス。
伊達の成長が著しいとはいえ、チョチョにはまだ勝てないというのが一般的な見方だ。
私は『伊達遥というプロレスラーには不思議な力が宿っている』というのを感じているので、ここは勝つ可能性もあると思っていた。
だが・・・しかし、予想とはまったく違う試合展開になってしまった。
試合開始から15分間は完全に王者チョチョのペース。
まさに一方的としかいいようがなかった。
伊達が時折エルボーで反撃をしているが、流れを引き寄せることがまったくできない。
(・・・なんてこった。)
私は世界との差を痛感したのだが・・・
フィニッシュを狙いにいったチョチョの『渾身のミサイルキック』を、伊達が回避!
凄い勢いでチョチョがリングに叩きつけられてしまう。
「Oh!」
かなりのダメージを負ったようだ。
立ち上がったチョチョは・・・「よくもよけてくれたわね?」という目で伊達を睨む。
再びチョチョは伊達をダウンさせると、起き上がりを狙ってミサイルキック!!
そしてドゴン!!という音が響く。どうやら伊達は再びミサイルキックを回避した。
ミサイルキック自爆2連発で、チョチョは大ダメージを負ったようだ。
ここぞ!ばかりに伊達が攻め込む。
チョチョの起き上がりを狙い、フェニックスニーを強烈に突き刺す。カウント2.5。
さらに起き上がりを狙った『必殺』のシャイニングフェニックスはカウント2.99
今までの伊達だったら『必殺』シャイニングフェニックスが返されたら、動揺しているところだったが、今回は折込ずみだったようだ。
VSチョチョカラス用というか、ヘビー王座挑戦用に開発した新技、フェニックス・スープレックスが残っているからだ。
「勝機!見逃すわけにはいかない!!」
伊達の新技フェニックス・スープレックスが炸裂。
形としては裏ダブルリストアームサルトに近い。
フェニックスが翼を広げて飛翔しているイメージらしい。(らしいというのは伊達が詳しい説明をしてくれないから)
バン!
「1!」
バン!
「2!」
レフェリーのトニー館が右手を高く振り上げ、首を左右に振ってから振り下ろした。
バンッ!
「スリー!」
決まった!!
この瞬間AACジュニアへビー王者伊達遥は、ジュニア王者の身分のまま、ヘビーのベルトを手に入れてしまったのだ。
「只今の試合は21分31秒、フェニックス・スープレックスによりまして、勝者、伊達遥! AAC認定世界ヘビー級王座は伊達遥の腰に巻かれる事になります。 伊達選手はこれでJr&ヘビーの2冠王者となります!」
「完璧なフィニッシュでしたね。途中までは完全に王者ペースだったのですが・・・ミサイルキックの失敗で流れが変わりましたね。 あっ、伊達選手がマイクを要求していますね。これは珍しい光景ですよ」とダンディさん。
「・・・あの・・・社長・・・」
伊達がマイクを持つなんて初めてじゃないのか?
「はい?」
不意をつかれた私は、声が少し裏返ってしまった(苦笑)
「・・・あの・・・ジュニアのベルト・・・返上したい・・・だめ?」
私は、隣に座っているAAC関係者に確認する。
「伊達選手、それは可能だそうです。」
「じゃあ・・・返上します。・・・私・・・ヘビーに絞るから・・・」
ヘビー&ジュニアヘビーの2冠王者に輝いた伊達だったが、その場でジュニアベルトを返還し、ヘビー王座に集中する事を宣言した。
このヘビー王者戴冠をきっかけに伊達遥は一気にトップレスラーへの道、そしてスターへと飛翔していくのだった。
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思えばここから、伊達と南が逆転したんですね・・・
感慨深いw