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2024/03/29 08:20 |
30のお題”こうかい”
 ジャスティス5の続きではなく、いきなりお題SS投入です。

 追加されたお題の一つである”こうかい”に挑戦です。
ある意味”挑戦”なシナリオでもありますが、”こうかい”の方がしっくりきそうです。

 
軍団NEW WINDの道場奥には、かつて開かずの間と呼ばれた謎の扉があったそうだ。
 だが、あるとき所属レスラーの結城千種と武藤めぐみは、その禁断の扉をあけてしまったのだった。
 
 その中はボスの隠れ作業場になっており、中ではボスがまったくない絵心を鍛えようと、隠れて特訓していたのだった。

 ボス曰く、「鍛えていればできるもん!」といったとか言わないとか。
しかも、舌をかんでしまって「鍛えていればできるとん。」(※)といったとも聞く。



「あの二人、最近よく道場にいくけど、なにしてるんやろ。」
 NEW WINDのエースを務める藤島瞳は、結城と武藤がたまに姿を消すことを不審に思っていた。
「きっとなにかあるのよね。よ~し、こっそり尾行しゃおっと。」

 そして数日後の夜。
結城と武藤が道場の中に入ったのを確認し、藤島はそっと中に忍びこんだ。

「電気はつけていないわね。つまり練習するわけじゃないのね。」
 藤島は物音を立てないように気をつけながら、奥へと進む。
「おっかしいなあ。」
 結城を武藤の姿はすでにない。
「絶対中に入ったはずなのに。」
 藤島はキョロキョロとあたりを見回す。
「あれは・・・開かずの?なんであそこから灯りが・・・」
 扉の隙間から灯りが漏れる。
「おかしい・・・なんかある・・・」
 藤島はそっと扉へ近づいた。

「人の気配がする・・・」
藤島はそっと耳をそばだてた。

「あん、ボスったら、そこ違~う。」
「あ。すまん。違ったか。」
「まったくボスったら、心がわかってないんだから。」
「ス、スマナイ。」
「ちょっと替わりなさいよ。私がお手本を見せてあげる。・・・千種いくよ。」
「うん。」
「こうやるのよ、ボス。」
「あ~めぐみ上手~。そこをグリグリするとイイの。」
「代われ武藤。私がやる。」
「なによ、折角楽しんでいるのに。」
「見ているだけで我慢できるかっ!」
「こうか、こうだろ。」
「あ~そうそう。イイよボス。でも、もっと優しくね。」
「おう。こんな感じかな。」

「・・・中で何をやってるのよ。あの二人が怪しい関係かもとは思っていたけど、そこにボスまで絡んでいるなんて・・・許せないわ。」
 藤島は意を決してドアノブを右手でつかみ、思いっきり引っ張った。

「なにをやってるのよ、こんなところで!!!・・・あれ?」
 中は藤島の想像していたのとは違っていた。
 どんな想像かは想像にお任せするとして、中では紙に向かってペンを握っているボスと、その両サイドでその紙を覗き込んでいる結城と武藤の姿があった。
「あ、藤島。」
「・・・どうしたんですか、血相変えて。」
「・・・なにをやってるのよ、こんな所で」
「・・・どうしてまた増えるかな・・・しかもよりによって・・・」
「ね。」
「・・・そうね。」
三人はなんとなく目が泳いでいる。
「ちょっと、それ見せてよ。」
 藤島は紙をさっと取り上げた。
「あっ!」

fujishima


「これ、誰?」
「・・・」
 ボスは言葉が出ない。
「あははっ・・・」
「・・・だから言ったのに。」
 結城と武藤はフォローできない。
「い、一応・・ふ・・・」
「ふ?」
 藤島は聞き返す。
「・・・藤島のつもりなんだけど・・・」
 ボスは消え入りそうな声で答えた。
「・・・」
「・・・」
「・・・」
 沈黙の空間。
「・・・ありがとうボス。一生懸命書いてくれたのね。」
「・・・ああ。」
「・・・それはわかるんだけど・・・」
 藤島は右手でポリポリと頬をかく。
そしてニコっと笑うと「私、もっと可愛いよ。」と一言。

「・・・何気にきついね、今の一言。」
「・・・すごい自信。」

「ふ、藤島がかわいすぎるのがいけないんだぞ。どうやったって実物より可愛くなるわけないじゃないか!」
 開き直るボス。
「まあね。私は無敵のアイドルだし、当然だけど・・・もうちょっと頑張ってね。」
「・・・これでも頑張っているほうだと思うよ。ボスにしたら。」
「めぐみっ!」
「だって千種も見たでしょう?WEB拍手に沈めてある朝比奈さんらしき、幼稚園児の落書き。」
「・・・み、見たけど・・・」
「うちのボスには絵心なんてないの。だからこの際はっきり言ってやればいいのよ。絵は描かない方がいいって。」
「まあね。うちのボスに期待されているのは文章であって、絵じゃないもんね。」
「しくしく・・・」
「ボス、もっと頑張ってね。」

 その後Nボスは、公開した事を後悔し、公海へと航海に繰り出し、その後紅海か黄海に向かったという。




 はい、ということで軍団NEW WINDシリーズお馴染みの開かずの扉の中の開かずの間のお話です。

 これが出た場合はイラストが使われるという(苦笑)
 SAIに慣れようと頑張ったのですが、昔から全然進歩しませんね。
それでも沈めてある朝比奈(?)よりかは、まだマシだとは思いますが。

 なお冒頭部分での※は公式の川柳での間違いが元ネタです。
鍛えていればできるもんさん の名前の入力ミスをネタにしました。


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2007/10/22 19:57 | Comments(0) | 45のお題

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