ガールズ・ゴング誌 掲載 伊達遥、南利美 手記より。
※このお話は全126話で終了した、長編リプレイNEW WIND編および栄光のスターロード編のアフターストーリーです。
ただし、リプレイではなく創作になりますので、通常のゲーム上ではありえない展開になっております。
その辺りをふまえた上で続きへとお進みください。
単独でも楽しめるとは思いますが、人物の設定などはNEW WINDに準拠していますので、NEW WIND編を先に読んで頂く事をお勧めいたします。
※※ご注意事項※※
ストーリーの都合上、登場人物に恋愛などの設定が加味されています。
そのような表現が苦手な方はご遠慮ください。
☆ガールズ・ゴング 1月26日号 掲載 伊達遥 手記
最初に復帰の打診を受けた時は驚きました。
なぜなら…私はこれまで一度も『復帰』を考えたことがなかったからです。
私の中では、「プロレスラー伊達遙は永沢舞に敗れた引退試合で終わった。だから、もう二度とプロレスラーとしてリングに上がることはない。」と思っていたのです。
「プロレスラーの引退というのは休業という意味だ。」とファンの皆さんの間で言われていることはもちろん私も知っています。
数多くのプロレスラーが引退→復帰の道を選んでいるのですから、それも仕方ないことだと思います。
私は現役時代に遣り残したことはないと思っていましたし、復帰したいと思ったことは一度もありませんでした。
でも、打診を受けた時…心の奥で何かが燃えるのを感じました。
それは…終わったはずのプロレスラーの魂でした。
私は、プロレスが嫌いになってプロレスラーを辞めたわけじゃありません。
プロレスが大好きだから…自分が思うプロレスが出来なくなったから、リングを去ったんです。
終わったのではなく、終わらせた…というのが正しいのかもしれません。
プロレスラー伊達遙の時計の針は止まっていただけだったのかもしれませんね。
そして私は、『もう一度あの日のように、あの大好きだったスカイブルーのリングに立ってみたい。もし出来ることならもう一度、私の最高のライバルだった南さんと試合がしてみたいと思ったのです。』
もちろん私のかわいい弟子であり、大切なお友達である舞と組んでの復帰…という考えも少しだけありましたけど、それよりも「もう一度南さんと試合をしたい。」という気持ちの方がずっとずっと強かったのです。
私にとってのはじまりは南さんです。
南さんは、一番のライバルだった人…私のレスラー人生は、南さんの背中を追いかけることからはじまりました。
私は…もう一度あの日のように…スカイブルーのリングで南さんと…戦いたい。
それが叶うのならということで、一夜限りの復帰を承諾しました。
最近は朝晩の散歩やランニング程度の運動しかしていませんでしたから、体力的には不安はあります。
でも…プロレスラー伊達遥としてスカイブルーのリングに復帰するからには恥ずかしい試合はしません。
あの頃と変わらない自分を見せるために今、私は自分の体をいじめています。
伊達遥が伊達遥としてリングに立つために。
ファンのみなさんに5月の新日本ドームでお会いできることを楽しみにしています。
そして、対戦を承諾してくださった南さん。
私より早くに引退している南さんの方が私より大変だと思います。
対戦を承諾してくださったこと感謝しています。
きっといつも完璧を目指す南さんのことだから、完璧に仕上げて復帰してくると思っています。
私もそれに負けないように、完璧に仕上げてみせますね。
5月の新日本ドーム、覚悟してくださいね。
私の『暴れん坊なヒザ』が、南さんをKOしたがっていますから。
伊達 遙
☆ガールズ・ゴング 2月1日号 掲載 南利美 手記
遙が復帰を了承したと聞いたときはさすがに驚いたわ。
遙はもうリングに戻ることはないと思っていたし、私自身も戻るつもりはなかったから。
でも、遙が私を対戦相手に指名したと聞き、私は即座に復帰を承諾した。
おかしいわよね。私が引退したのは約9年前…もう引退してからの時間の方が現役でいた時間よりも長くなっているというのに。
これは無謀な挑戦だといわれるでしょうね。
それに色々と問題はあったけど、それを全てクリアしてでも戻るってすぐに決めた。
「遥に、伊達遥に今までの借りをまとめて返すチャンスだと思うから。」
これは偽らざる本音よ。
「完璧な体を作って、完璧な試合をしてみせるわ。」
私の中に眠っていたプロレスラーとしての気持ちに火がついたのね。
「利美の決めたことなら尊重するけど、無理はするなよ。」
私を一番理解してくれるあの人はちょっと心配そうに言ったわ。
「大丈夫。無理はしないわ。」
ごめんね…これは嘘よ。
リングにあがる前に「無理はしない」と思っていても、リングに上がると無理をしてしまうのが、プロレスラーなのだから。
痛くたって「効いてない、効いてない。まだやれる!」と思うのがプロレスラーなのだから。
それに遙のことだから、完璧に仕上げてリングに戻ってくるはず。
そして、私の方が遙よりも2年近くブランクは長いのだから、私も気合をいれて体を鍛え直さないといけないわね。
完璧な南利美としてあのスカイブルーのリングに戻ってみせる。
そして完璧な私で、遙から完璧な勝利を奪ってみせるわ。
「遙、勝機は逃さないわ。」
私と遙の再会まで、あと3ヶ月。
待ち遠しいわ。
南 利美
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南さんかっこよすぎです。
この両者の試合が楽しみです。