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『もう一度あの日のように~再会~その34「情熱」』
NEW WIND社長 風間 新 手記より。

※このお話は、長編リプレイ『NEW WIND編』および『栄光のスターロード編』の『創作アフターストーリー』です。
 このお話の設定には、ゲーム上では再現できない設定を盛り込んでいますので、ご注意ください。
 単独作品としても十分楽しんでいただけるように留意しておりますが、登場人物の設定などは『NEW WIND編』に準拠していますので、NEW WIND編を読まれているとより楽しめると思います。

 ※※再会試合について※※
 この試合に関しては、ほぼリアルタイムでお話が展開します。

 今回は22分過ぎから25分経過までの出来事です。



 しかし、伊達の武器はシャイニングフェニックスだけではない。伊達は南の起き上がるタイミングに見当をつけるとロープへと走る。右足をややひきずっているが、ダッシュするスピードにはさほど影響がないようだ。
「タアッ!」
 起き上がった南の顔面へ伊達の華麗なる鳳凰の舞、ジャンピングニー『フェニックスJ』
「くッ…」
 あわててガードをしようとした南だが、伊達のスピードが速く受けきれない。
「あああっ!」
 南は直撃する瞬間首を捻ることでダメージを逃がしたが、それでもかなり効いている。
「タアアアッ!」
 伊達はそのままニーリフト『フェニックスニー』をボディへと叩き込む。
「がふッ…」
「伊達!もう一丁!」
 場内のファンからの声に応えるようにもう一度フェニックスニー!
「グッ…」
「み、みなみさんっ!」
 ようやくセコンドに復帰した相羽が声を飛ばす。第3試合で白石が決めたヒザ蹴りも相当のものだったが、伊達の“暴れん坊なヒザ”はやはり一味も二味も違うな。
「気持ちの乗せ方ですな。なぎさ君にはここまで想いを乗せる事は残念ながら出来ていない。」
 南の体がくの字に折れたところで、伊達は南の首根っ子を両腕で捕まえると南の無防備な顔面に向かって暴れん坊なニーリフト!
「ああああああっ!」
 場内からは歓声と悲鳴が入り混じった声が飛ぶ。
「おおっ!」
 だが南は両腕でひざを抱え込んで直撃をさけていた。
「まだまだっ!」
「くっ…」
 伊達は次の南の動作を予期し、身構える。
「はるかっ!」
 南はそのまま足を抱えたまま、サザンスクリューの態勢に入ったのだが…左に捻ると見せかけて、逆方向へと回転した。
「あ~っと、危機を回避した南、サザンスクリューと見せかけてなんと曼荼羅捻り!」 
「あぐあっ…」
 完全に受身のタイミングを外された伊達は大きく呻いた。南はそのままクラッチを外さず、足4の字固めに移行する。ある意味王道ムーブメントだな。
「南、足4の字固めだ!これは苦しい!」     
「いえ、この技は足4の字だけど違う技よ。」
「どういうことだよ?」
「あれは変形足の4の字固め、通称『グランドクロス200』…もっとも有名なのはナガタロックの名称かしら。敬礼をつけなかったから、グランドクロスの方になるかな。入り方も多少違うし南さんなら『グランドサザンクロス』あたりかも。」
 正面を向き合う形になる通常の足4の字固めとは違い、やや体が斜めになっているし、足のロックも違う。
「グランドクロスか…」
「確か、社長の好きな足関節技でしたな。」
「ええ。使い手は決してカッコいいとは言えないのですが、このグランドクロス200という技はカッコイイと思いましたからね。」
 のんきな本部席の会話とは違ってリング上では伊達が悶絶している。その苦しがり方はこの試合で一番だ。
「遥さん!遥さんっ!」
 永沢がこの試合で一番大きな声を張り上げる。
「伊達、ギブアップ?」
「ノー!」
 容赦なく絞り上げる南。
「あうっ!ぐうっ…」
 何度も悲鳴を上げる伊達。
場内のビジョンに二人の戦いを見つめる後輩、吉田龍子の姿が映し出される。
 食い入るように二人の攻防を見つめる吉田…そしてこちらも食い入るように試合を見るO坂次長。その手に持ったポップコーンのカップが握り潰されている。そしてその二人の間で、前に乗り出しながら二人の攻防に目を輝かせる元伊達ファンのマスターシュ黒沢記者が確認できた。
「……だてええ!!」
 伊達のピンチを見過ごせずに黒沢記者が叫んだように見えたが、画面はリング上のシーンに切り替わったので確認出来なかった。だが、その声に反応するように伊達はロープへとにじり寄る。
「黒沢くんの魂は変わってはいなかったか。」
「だから言ったでしょう。あの日のままだと。」 
「だ~て!だ~て!」
 場内から大伊達コールが発生した。
「だ~て!だ~て!」
 少しずつだが声援に応えるようにロープへとにじり寄っていく伊達。
「頑張れ!遥さん!」
「南さんも負けないで!」
 関係者席の結城と武藤が声を張り上げた。
「くっ…」
 南も負けじと必死に絞り上げる。
「あぐあっ!」
 伊達の動きが止まる。歯を食いしばり、足へのダメージに耐えている。
「遙さん!」
 永沢の声に反応し、伊達は肘を支点にて、苦しみながらもロープを目指す。
「絞れ!南!」
「逃げろ!伊達っ!」
 観客からの声援が入り混じる。
「まだっ!」
「あぐうっ!」
 南の絞りに呻く伊達。
「遙さん!」
「南さん、絞って!」
「姉さん!」
「あぐっ!」
「だ~て!だ~て!」
 永沢が両手を叩きながら声を張り上げ、もう一度伊達コールを促す。
「だ~て!だ~て!だ~て!だ~て!」
 永沢の声にシンクロして、場内から伊達コールが起こり始めた。
「だ~て!だ~て!だ~て!だ~て!」
 場内は伊達コール一色に染まる。伊達の表情に生気が戻りはじめ、ロープへと進むスピードがわずかに上がった。
「み・な・み!み・な・み!」
 相羽とハイブリットがコールしながら、頭の上で両手を打ち鳴らす。
「み・な・み!み・な・み!」
 元の常連客たちがまずそれに呼応し、やがて場内からもそれにあわせて声が出る。
「み・な・み!み・な・み!」
 伊達コールをかき消すように沸き起こった南コール。それに負けじと永沢が必死に声援を促す。
「だ~て!だ~て!だ~て!」
「み・な・み!み・な・み!」
 それぞれへの声援がぶつかりあう。
「解説席にじゃなかったら、声援を送っているところなんだけどなあ。」
「私もよ。」
 そして…ついに…
「おおっ!」
 伊達は2分近くの時間をかけてようやくロープへと辿りつき、場内から大きな拍手が巻き起こった。。
「試合時間25分経過、25分経過!」
 ギブアップの可能性がなくなったところで、リングアナのコールが入った。


【25:45】


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2008/05/10 18:00 | Comments(0) | もう一度あの日のように

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