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『もう一度あの日のように~再会~その33「工夫」』
NEW WIND社長 風間 新 手記より。

※このお話は、長編リプレイ『NEW WIND編』および『栄光のスターロード編』の『創作アフターストーリー』です。
 このお話の設定には、ゲーム上では再現できない設定を盛り込んでいますので、ご注意ください。
 単独作品としても十分楽しんでいただけるように留意しておりますが、登場人物の設定などは『NEW WIND編』に準拠していますので、NEW WIND編を読まれているとより楽しめると思います。

 ※※再会試合について※※
 この試合に関しては、ほぼリアルタイムでお話が展開します。

 今回は18分過ぎから22分過ぎまでの出来事です。


 

 どうにかリングへと戻る事は出来た伊達だが、さすがに動きが鈍くなっている。南の徹底した右ヒザ狙いは成功しつつあるようだ。
「タアッ!」
 それでも右足でローキックを放つ伊達。
バシッ!っといい音がするが、南はキックを受けても平然とした顔で前に出る。
「クッ!」
 左のジャブ掌底を連打する伊達。
「ハッ!」
 南はそれをガードすると、右のストレート掌底を放つ。
「!」
 伊達はそれをヘッドスリップで避けるとお返しとばかりに右のストレート掌底を放った。
「ハアッ!」
 これを南は待っていた。南はその右腕をキャッチするとそのままその腕に飛びつき、伊達の体を前方に一回転させて、腕ひしぎ逆十字固めを決めた。
「あぐううッ…」
 大分時間はあいたが、伊達は試合序盤に右腕に集中砲火を浴びている。伊達は足をばたつかせながら必死の形相でロープを目指す。
「まだまだっ!」
南は一瞬右手をフリーにすると伊達の右足首を捕獲。
「あぐっっ」
 腕ひしぎ逆十字から腕とヒザを同時に決める複合関節技へとチェンジし、伊達の右腕と右足にダメージを与える。
「あれはドリカンニーサレンダー!?」
「ドリカンニーサレンダー?聞いたことがない技だな。」
 上戸は現役時代関節技をほとんど使わなかったのでその方面に知識がない。
「そりゃそうでしょ。国会議員となったあるレスラーのオリジナル技で、その人以外ほとんど使い手がいない幻の技だしね。ただ…」
「ただ?」
「南さんの入り方・極め方ともに完全に変形だから別の技とも言えるわね。」
 関節技に関しては豊富な知識を持つラッキーが素早く解説を入れた。
「なるほど。新しいサザンクロスロックなのかもな。」 
 その間に何度も悲鳴をあげた伊達だったが、なんとかロープへと逃げることができた。
「くっ…」 
 伊達は立ち上がろうとするが右足に力が入らずバランスを崩してしまう。
「だ~て!だ~て!」
 伊達コールが沸き起こり、その声援に支えられるように伊達は立ち上がった。
「相当効いているな。」
「ええ。右足のダメージもだけと、右腕も心配ね。」
 伊達は構えをとるが、試合開始前に比べると明らかに右腕が下がっていた。右腕へのダメージで腕が上がらなくなってきているのだろうか。
「試合時間20分経過、20分経過」
 両者はじわじわと間合いを詰めていく。
「ハッ!」
 先に動いたのは伊達だ。打撃には行かずに南の懐に飛び込んだ。打撃を警戒していた南の反応は一瞬遅れた。
「おおっ!」
 伊達のスピード感溢れるフロントスープレックスが決まる。
「ぐっ…」
「まだまだっ!」
 伊達はそのままクラッチを外さずに起き上がると、もう一度南をフロントスープレックスで投げ飛ばす。
「かはっ…」
 伊達はまだクラッチを外さない。今度は高さをつけてフロントスープレックス!
「伊達ってロコモーション使ったっけ?」
「記憶にないわね。」
 伊達はまだクラッチを外さない。素早く起き上がると高速のフロントスープレックス! 
「おおっ!」  
 伊達がフロントスープレックスを放つ度に客席は歓声を上げる。毎回投げる角度や、スピードを変えるなどして、色々なフロントスープレックスで観客を魅了する。
「ふふ。同じ技でも色々と工夫をすれば、別の技のような印象を与える事ができますからな。若手選手にとってはいい手本になるでしょう。」
 そして8度目!伊達は時計周りに回転し、旋回式フロントスープレックスを狙う。
「このっ!」
 ついに南が反撃に出た。伊達のクラッチしている両腕をかんぬきに決めてぎりぎりと絞り上げたのだ。
「あぐっ…うっ」
 右腕を走る痛みに伊達が顔を歪めた。
「また渋い技を…」
「派手な技ばかりがプロレスじゃないってことよ、マッキー。」
 それにしても、南はなぜ伊達の腕を狙っているのだろうか?右足を狙うのはわかるのだが…でもきっと意味があるのだろうな。
「ハアッ!」
 南はかんぬきに決めたまま後方へと伊達を放り投げた。
「南のかんぬきスープレックスが炸裂!伊達の背中と両腕に衝撃が走ったぁ!」
 実況は少々大げさだと思うけど、伊達の右腕へのダメージは確実だろう。
「タアッ!」
 だが、伊達はケロリとした顔で素早く立ち上がると、すぐに南の立ち上がりを狙って右ハイキックを放った。そして、そのハイキックは、やや遅れて立ち上がってきた南の右側頭部をそのままノーガードで打ち抜いた。
「タアッ!」
 伊達は回転を加えると、今度は右足を軸にしてスピンキックを南の左側頭部に叩き込んだ。南はそのまま崩れ落ちる。
「カバー!」
 伊達は南の左足を抱えるとフォールに入る。
「OK!」
 バンッ!
「ワンッ!」
 バンッ!
「トゥ!」
 南の反応は鈍い。意識が飛んでいなければよいのだが…
「おおおっ!」
 南は右肩をカウント2.5で上げてみせた。
「まだよ、まだ終われない。」
 南はヒザをつかないように腕で反動をつけて立ち上がった。ヒザをついて起き上がるのは伊達戦では危険すぎるのだから当然だろう。

『片ヒザを ついた瞬間 勝機見え』と募集したNEW WIND川柳で歌われているように、片ヒザをついてダウンした瞬間、片ヒザをついて立ち上がろうとした瞬間というのは伊達にとって勝機!なのである。
 なにしろ、伊達遙が必殺技として愛用している伊達遥式シャイニングウイザード、『シャイニングフェニックス』は片ヒザをついた瞬間を狙って放たれる技なのだから。

【22:35】


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2008/05/09 18:00 | Comments(0) | もう一度あの日のように

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