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『もう一度あの日のように~再会~その32「なんでボクが…」』
NEW WIND社長 風間 新 手記より。

※このお話は、長編リプレイ『NEW WIND編』および『栄光のスターロード編』の『創作アフターストーリー』です。
 このお話の設定には、ゲーム上では再現できない設定を盛り込んでいますので、ご注意ください。
 単独作品としても十分楽しんでいただけるように留意しておりますが、登場人物の設定などは『NEW WIND編』に準拠していますので、NEW WIND編を読まれているとより楽しめると思います。

 ※※再会試合について※※
 この試合に関しては、ほぼリアルタイムでお話が展開します。

 今回は15分経過から18分過ぎまでの出来事です。



「中に戻れ、中に!」
 トニー館の指示を無視し、南は場外へ降りると伊達の足を引っ張って場外へと引きずりおろした。
「悪く思わないでね!」
 南は伊達の右足を極めにいく。
「させないっ!」
 伊達は空いている左足で南の顔面を蹴り飛ばす。
「グッ…」
 鼻を押さえ、南は2歩ほど後ろにさがった。その間に伊達は右足を右手で押さえながら起き上がると、痛む足で強烈なミドルキックを放った。
「かはッ…」
 南は重いキックをノーガードでもらってしまった。
「タアッ!」
 さらに痛む右足でハイキック!
 ガスッ!
 南はとっさに腕を上げてガードしようとしたが間に合わず、伊達のハイキックは、南の左即頭部を綺麗に打ち抜いた。
「わあああああっ!」
 場内から歓声があがる。
「タアッ!」
 伊達は崩れ落ちる南を追撃。素早く頭を掴んで左右のヒザ蹴りを連打で南のボディに叩きこんだ。
「あぐっ…ぐうッ…」
 南が苦悶も表情を浮かべる。表情の歪みが、伊達のヒザ蹴りの威力を物語っている。
「南~~!!」
「うわっ!今凄いのが入ったな。アレはやばいんじゃねえ?」
「今の連打は厳しいわね…」
「なんだか、こっちまで腹が痛い。」
「まったくだわ。」 
 伊達のヒザを何度も受けたことのある上戸と内田は、自分のことのように顔を歪めていた。
 南は左手で腹部を押さえ、右を床に突き立て体を支えている
「こら戻れ~!中!中!中~!!」
 リング上からトニー館が戻るように促すが、伊達は戻る素振りを見せずに南から距離をとる。
「南さん、大丈夫ですか?」
 セコンドの相羽が南のもとに駆け寄った。
「…」
 南は上体を起こしたが、言葉を発することができない。
「みなみ~!!」   
 そこへ伊達が叫びながら南へと突進してきた。勢いをつけて“暴れん坊なヒザ”を叩き込むつもりかっ!
「くっ、和希ゴメン!」
「えっ?」
 南は謝りながら相羽の首根っこを掴んで自分の前へ押し出した。
「えっ?ええっ??」
 戸惑う相羽の前に伊達が迫る。
「うっそおおおおお!」

 ドゴオオオオッ! 

相羽の腹部を伊達の“暴れん坊な右ヒザ”が貫いた。
「ゲホッ!…アグウウウウ」 
 相羽の体は1メートル近く持ち上がり、そして勢いよく後方へと2メートルほど吹き飛ばされてしまう。
 ガシャッ!!
「ぐえっ!」
 さらに相羽は背中を鉄柵に打ち付け、そのままダウン。
「あぐううう…なんでボクが…」
 両腕で腹部を押さえ悶絶する相羽。セミの試合でジーニアスのムーンサルトプレス&スワンダイブ式ダブルムーンサルトプレスを受けている。あれから一時間以上間隔はあいているものの、腹部へのダメージはそう簡単には抜けないはず。これはキツイだろう…
「ごめん、和希。無駄にしないから。」
 セコンドへヒザを叩きこんでしまった事に戸惑う伊達。南はその隙を見逃さない。素早く懐に潜り込むとボディに腕を廻し、やや斜め方向へのフロントスープレックス!
「あうぐッ…」
 着地点はマットのない硬い床だ。強かに背中を打ちつけた伊達は、たまらず呻き声を上げた。
「まだまだっ!」
 南は伊達の首を掴んで引き起こすと、バックドロップの態勢に入った。
「おおおっ!」
 まさか、場外でのバックドロップか?と場内は緊張感と興奮に包まれる。
「遥さん、逃げて!」
 永沢が危険を察知して叫ぶが、伊達の反応は鈍い。それでも左ヒジを打ち込んで南の動きを止めようとしたのだが、南はお構いなしに伊達の体を持ち上げた。
「あああっ!」
「うっそだろ!危ないって!」
「待って!南さんの右手のクラッチが違う!」  
 南は持ち上げる直前までは、左側から組み付いて両腕を伊達の腰に廻していたのだが…いつのまにか右腕は伊達のヒザを抱えている。
「抱え式バックドロップかっ?」
「いや南、ここで持ち上げたまま半回転する。あ~っとそこには鉄柵!」
「まさか!」
「いや、そのまさかだろっ!」
 内田と上戸が驚きの声を上げた。
 ガシャアッ!
「ああっ!南そのまま伊達の右ヒザを鉄柵に落とした!ニークラッシャーオン・ザ・鉄柵だあっ!」
「あぐあっ…」
 伊達は右ひざを両腕で抱えて倒れ呻いている。ちなみにその隣では相羽がダウンしたままだ。
「勿論反則ではあるのですが、プロレスではコーナーや鉄柵などを上手く使う事も大事な要素ですからな。最近の選手はただ鉄柵にぶつけるだけですが、使い方は色々あると言う事ですよ。」
「なるほど。」
 南は一足先にリングに戻ると、右腕を天高く突き上げた。
「うおおおおっつ!」
「いいぞ、南~!!」
 南に歓声と拍手が降り注いだ。

 うーん、凄い。本当にこれが数年ぶりの復帰戦なのだろうか? 
『肉体を削り、魂を削り、削るものがなくなって引退した』と彼女たちの事を言っていた人たちは、この二人の試合を観て何を感じているのだろうか。
「この試合、見逃すな。」と言い続けた私は正しかった。もう一度あの日に戻ったとさえ思う。二人とも全盛期みたいじゃないか…いや、この試合に関しては全盛期以上にすら感じるよ。ただ、スタミナがどこまで持つかが気になるところだ。

「だ~て!だ~て!」
 伊達コールに後押しされるように伊達が起き上がる。
「シックスティーン!」
 トニー館の場外カウントが続いている。
「セブンティーン!……エイティーン!」
 伊達はカウント18でなんとかリングへと滑り込んだ。
「いいぞ~!」
 場内からは大きな拍手が送られた。
 
 【18:25】


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2008/05/08 18:00 | Comments(0) | もう一度あの日のように

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